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話題の本の著者であり、書店員の花田菜々子さんが高円寺に開いた、〈蟹ブックス〉へ。

  • 2023.1.31

ドラマ化された『出会い系サイトで70人と実際に会ってその人に合いそうな本をすすめまくった1年間のこと』の著者として、また〝女性のための本屋〟〈HMV &; BOOKS HIBIYA COTTAGE〉の元店長としても知られる花田菜々子さんが9月、仲間と共に小さな書店〈蟹ブックス〉を開いた。

どうして蟹?一体どんな店?気になることを聞いてきました。

「 誰でも遊びに来られるシェアオフィス兼本屋です 」

中央線カルチャーが色濃い高円寺に誕生した〈蟹ブックス〉は、花田さんが前職の書店で一緒に働いていたグラフィックデザイナーの柏崎沙織さん、服のリメイクを行う當山明日彩さんと3人で営んでいる。

「前職時代から、3人それぞれ本屋以外の仕事を抱えていたので、『シェアオフィスが欲しいね』と話していたんです。そしたら、突然勤めていた本屋が閉店することになり、2人に自分たちの事務所兼本屋をやりませんか? と声をかけて、実現しました。本の選定は主に私が担当。私は固定観念を吹き飛ばしたり、新しい視点をもたらす本が好きなので、そういう本が多め。以前、勤めていた本屋は女性のお客さんがほとんどでしたが、〈蟹ブックス〉は若い男性の来店も多い。フェミニズムの本をごく自然に手に取ってくれる男性が多いことを知ったのは発見でした。また、今注目の作家よりも、流行に関係なく、錆び付かない本が売れるのもこの街ならではだと思う。

店名はインパクトがあって、意味がなく、軽いものにしたくて決めました。店名を聞いて〝いいじゃん!〟という人、〝なにそれ?〟とキョトンとする人、二極化するのもうちの店らしくていい。ロゴマークは漫画『ベルリンうわの空』の著者、香山哲さんに依頼。作品で描かれているような、知らない世界を受け入れて、みんなで助け合って生きていく日常は、私たちがこの場所で目指している風景。香山先生に引き受けてもらえるか不安だったのですが、『蟹?大好きなので任せてください!』とすぐにお返事をいただいて。〈蟹ブックス〉という名前にして良かったと思った瞬間でした(笑)」

花田菜々子
はなだ・ななこ/さまざまな書店を経て独立。著書に『シングルファーザーの年下彼氏の子ども2人と格闘しまくって考えた「家族とは何なのか問題」のこと』(河出書房新社)など。

花田さんに聞いた、働く女性におすすめの3冊。

写真・左/『 あなたの教室 』
著・レティシア・コロンバニ、訳・齋藤可津子(早川書房)
学ぶ機会を奪われたインドの少女と出会った異国の教師が、少女たちのための学校を作ろうと動き出す。「問題を見ないふりをせず、自分たちで変えていこう、変えていけると思える一冊」

写真・中央/『 どうして男はそうなんだろうか会議
―いろいろ語り合って見えてきた「これからの男」のこと 』
編・澁谷知美、清田隆之(筑摩書房)
非モテの苦しみやマウント合戦、マチズモなど。6人の男性と語り合い、見えてきた男の今とこれから。「“男はダメ”ではなく、男性と女性が互いの苦しみを知ることで、新たな気づきが」

写真・右/『 文にあたる 』
著・牟田都子(亜紀書房)
校正者の著者が言葉との向き合い方、本との付き合い方について綴る。「成功者の仕事本のような派手な物語はなく、淡々とした仕事ぶりが描かれていて、この仕事の尊さがしみじみわかる」

〈蟹ブックス〉
住所:東京都杉並区高円寺南2-48-11 2F
TEL:03-5913-8947
営業時間:12:00~20:00
定休日:無休

著者を招いたイベントなども開催。最新情報はツイッター(@kanibooksclub)をチェック。

photo : Wataru Kitao text &; edit : Mariko Uramoto

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