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世界からお届け!SDGs通信 台北編。住居の格差是正のため、政府が公営住宅を建設

  • 2023.1.31
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世界からお届け!SDGs通信 台湾編。住居の格差是正のため、政府が公営住宅を建設

適正価格と居住性を重視した、公営住宅「社會住宅」の拡充

市部は不動産価格が高騰する一方、賃金は上がりにくく、マンション購入は高嶺の花となっている。そこで台湾政府は「住居の格差」を是正するべく、社会的弱者や若者でも快適に暮らせる公営住宅「社會住宅」を2016年から建設。現在、台北市では2万戸あまり建設する予定で、すでに6120戶が入居済みとなっている。

居住性を高めるため、建物の美観や日当たりにもこだわりがあり、電気やガス、水道にはスマートメーターを採用。耐震構造やバリアフリー設備も整えられ、託児所や幼稚園、介護施設も併設している。さらに屋上にはソーラーパネルを設置し、環境にも配慮。屋上には菜園があり、収穫された野菜を共同キッチンで調理してシェアできるようになっている。

入居期間は最大6年となっているが、台北市都市發展局(トゥースーファーツァンチュィ)では住民が地域に根付けるよう、「青年創新回饋計畫」というプログラムを実施している。地域コミュニティに深く関わりたいと願う入居希望者を対象に、イベントの企画を発案させ、審査の結果、入居させるという流れもつくっている(特典として高倍率な入居抽選が免除となる)。具体的には親子イベントや運動会、ヨガ、料理教室のほか、法律や医療に関する講座などが開かれ、住民同士が交流を深めている。

ハード面でもソフト面でも質の向上を図る台湾の「社會住宅」。その取り組みは建築界やデザイン界からも注目され、高い評価を得ている。

台北の公営住宅「廣慈社會住宅」
2022年夏に完工した「興隆D2社會住宅」。
台北「興隆社會住宅」の菜園
「興隆社會住宅(シンロンサーホェイズーツァイ)」の菜園。住民が野菜を栽培。
台北市民イベント「圓山花博園區」
「圓山花博園區(ユェンサンホワポーユエンチュィ)」のイベントには市民が多く参加。
台北「青年一期社會住宅」と「青年公園」親子イベント
「青年一期社會住宅(チンニェンイーチーサーホェイズーツァイ)」と「青年公園」が催した親子イベント。

Information

社會住宅

台湾で整備されている新しい公営住宅。1950〜90年代に建てられた「國民住宅」とは異なり、居住性やデザインを重視。賃貸のスタイルで、入居者の4割が経済的、社会的弱者となっている。

HP:https://www.rent.gov.taipei/

profile

片倉真理

かたくら・まり/台湾在ライター。雑誌や書籍の執筆・企画などに携わる。著書に『台湾旅人地図帳」『台湾探見」など。雑誌『&Premium』の連載「&Taiei」は丸4年を迎える。「CREA Web」でも台湾土産に関する連載をもつ。

Instagram:@marikatakura

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