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メタボの人に朗報!? 「やせ型は短命・太り型は長生き」と言われるワケ

  • 2015.11.17
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こんにちは。エッセイストでソーシャルヘルス・コラムニストの鈴木かつよしです。

よく、「やせている人は短命で、どちらかというと太り気味の人の方が長生きする」という話を聞きませんか?

国は医療費を抑制するために、「メタボはよくない」と何かにつけて言いますが、有名人などの例を見ても若くして亡くなってしまう人の多くが“やせ型”であるような気がします。先日読んだ医学博士の先生が書いた本にも“長生きしたければ、やせてはいけない”と書いてありました。本当のところ体に良くないのは、“太っていること”“やせていること”のどちらなのでしょうか。

●動物性タンパク質の不足による血管の細さ・もろさが日本人の脳梗塞の主な原因?

筆者は身長171cm、体重84kgで完全な“肥満”体型です。中学校くらいまではやせていたのですが、高校に上がってから体重がつくようになりました。高校時代の3年間は無遅刻無欠席でしたし、社会人になってからもよほどのことがない限り仕事を休んだことがないので、われながら“丈夫”であるとは思います。

実は、冒頭の“先日読んだ本”というのは高須クリニック院長・高須克弥氏が書かれた本で、その中で氏は『肥満イコール悪という考え方は、現代の日本人の思い込み。健康は脂肪あってこそで、普通体型や肥満の人よりも“やせている人”が一番短命である』という趣旨のことを述べているのです。高須医師によると、

・日本人の死亡原因を見ると、肥満との関連が指摘される心筋梗塞は8%にすぎない。死亡率の高いがんや肺炎といった病気に打ち克つには、脂肪の蓄積があった方が断然有利である

・太い動脈にコレステロールが詰まる脳梗塞は欧米型のもの。日本人に多いのは、動物性タンパク質が不足して細くもろくなった血管が詰まったり切れたりして起こるタイプの脳疾患である

というのです。さらに高須医師は次のように続けます。

・(わが国における)脳卒中の件数は、肉や乳製品の摂取が広まった昭和40年代から一気に低下しており、これは弾力性のある丈夫な血管を維持して脳卒中を予防するには肉を食べなければダメだという証拠である

・血中のコレステロールが多すぎるアメリカ人と違い、少なすぎる日本人は血管壁が弱く、破れやすい。わが国では、(日本人としては)コレステロール値が高い人ほど寿命が長い。よって日本人の場合はコレステロールを適度に摂取することを心がけるべきである

いかがでしょうか。ずいぶん、私たちが日頃聞かされている“健康の常識”とは違うことを、高須医師はおっしゃってますよね。

●厚生労働省の大規模調査でも、“やせた人は短命”という結果が……

ただ、高須医師のこういった“理論”を確たるものと見なすには、一定の実証データに基づいたエビデンスが必要です。ここに、2009年に公表された厚生労働省の研究班(研究代表者=辻一郎東北大学教授)による大規模調査の調査結果がありますので、ご紹介しておきましょう。

調査では宮城県内の40歳以上の住民約5万人を対象に12年間にわたって体格と健康状態や寿命との相関関係を追跡しているのですが、40歳時点の平均余命は“太り気味”の人が男性で41.64年、女性で48.05年。“肥満”の人が男性で39.41年、女性で46.02年。それに対し、“やせた人”(病気のせいでやせている人を統計から排除した場合でも基本的な傾向は変わらず)は男性で34.54年、女性で41.79年だったのです。

つまり、最も短命なのは“やせた人”で、太り気味の人より6~7歳早く死ぬという結果が数字で示されてしまったのです。ある一定の制約条件下における調査の結果ではありますが、高須医師の“やせた人は短命”理論が証明されたわけです。

●だからと言って、“肥満”万々歳ということではない!

しかしながら、筆者のような典型的“肥満”体型の者がこのようなことばかり書いていると、「自己管理もできず太り放題のジイさんが自己を正当化して言いたいことを言っている」と指摘されても反論する余地すらありません。そこで自戒の意味を込めて“肥満”の問題点についても触れておきましょう。

前述した厚生労働省の大規模調査では、“医療費の負担は太っている人ほど重くなる”ことも分かっているのです。“肥満”体型の人の場合40歳以降にかかる医療費の総額が男性で1,521万円、女性で1,860万円。これは、どちらも“やせ型”の人の1.3倍の医療費がかかっていることになるそうです。

つまり、肥満体型の人はやせ型の人より長生きかもしれないけれど、生活習慣病やら何やらかんやらで、お金がかかって仕方ない。その医療コストの財源が若い人たちが払う税金に依存しているのだとしたら、なおのこと気をつけなければならない。ということだと思うのです。筆者の場合、さしあたり“70kg台”の体重を目標にして、節制に励むべきなのでありましょう。

【参考文献】

・『その健康法では「早死に」する!』高須克弥・著

●ライター/鈴木かつよし(エッセイスト)

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