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スガ シカオ、デビュー25年を経てもなお「新鮮で初々しいアルバムが作れた」

  • 2023.1.29

【音楽通信】第129回目に登場するのは、一度聴いたら忘れられない艶やかなハスキーボイスでわたしたちを魅了する、デビュー25周年を迎えたシンガーソングライターのスガ シカオさん!

「いまでもデビューの頃と同じ新鮮な気持ち」

【音楽通信】vol.129
1997年のメジャーデビュー以降、一度聴いたら忘れられないハスキーで艶やかな歌声と、ポップだけれどファンキーなサウンド、幅広い世代の心をとらえるソングライティングで、数多くのヒット曲を世に送り出してきたシンガーソングライターのスガ シカオさん。

スガさんご自身の楽曲はもとより、スガさんと武部聡志さんらトップミュージシャンで結成されたバンド「kokua」によるNHK総合テレビ『プロフェッショナル 仕事の流儀』主題歌「Progress」や、SMAPへの「夜空ノムコウ」、KAT-TUNへの「Real Face」や嵐への「アオゾラペダル」などの楽曲提供者としても、その優れたセンスを世に知らしめています。

そんなスガさんは、2022年2月にデビュー25周年を迎えました。2023年2月1日には、3年の歳月をかけて完成した25周年を締めくくるニューアルバム『イノセント』をリリースされるということで、音楽的なルーツなどを含めて、お話をうかがいました。

――あらためてスガさんが学生時代によく聴いていた音楽や、影響を受けたアーティストから教えてください。

学生時代からデビューまでは、ほとんどブラックミュージックしか聴いてこなかったです。70年代から2000年代までのソウル全般、ファンク、ニュージャックスイング、ディスコ、ブラックコンテンポラリー、R&B、ネオソウル、ジャズフュージョン、ヒップホップ……と寝ても覚めても、そういった音楽ばかりを聴きあさっていました。

当時はレンタルCDが全盛の時代だったんですが、いろいろな音楽が聴きたくて、レンタルショップにあるCDとレコードを全部借りて聴き終えてしまったほど。日本のポップスも、あげたらキリがないくらいたくさん聴いていました。当時聴いていたレジェンドアーティストたちに、いまはかわいがってもらっています。

――学生時代はたくさんの音楽に触れていたのですね。その後、スガさんは社会人生活を経て、1997年2月26日にシングル「ヒットチャートをかけぬけろ」でメジャーデビューされましたが、音楽の道を選んだきっかけはなんだったのですか。

大学を卒業してからは会社員をしていたのですが、4年半勤めてアラサーに差し掛かる頃、アーティストになる夢を諦めきれず、27歳のときに退社を決意しました。当時メジャーデビューの限界は“30歳”だと言われていたので、「30歳までがんばってダメだったら潔く諦めよう」と思って、勝負をかけました。

――昨年、デビュー25周年を迎え、今年は26年目に入りますね。当時と現在での内外での変化や、振り返ってみてのお気持ちはいかがでしょうか。

いまでもデビューの頃と同じ新鮮な気持ちで音楽に向かえています。音楽業界は大きく変わってしまいましたが、パソコンの前でギターを持って集中してイメージを広げて曲を作る、自分の内面に潜って歌詞を削り出してくるといったスタイルは、当時とまったく一緒です。

ただ、25年を経て、自分の武器になる声や歌詞やリズムなどには、あの頃より自覚的になったと思います。

「これ以上はもうできないと思える」新作が完成

――2023年2月1日に、ニューアルバム『イノセント』をリリースされますが、スガさんの楽曲は揺れ動く心情や強い言葉もスガさんの歌声を通すとすんなりと耳に馴染んで生々しくリアルに響きますね。まずは今作が完成した手応えからお聞かせください。

デビューして25年も経って、こんなにも新鮮で初々しいアルバムを作れたことを素直に喜びたいです。出来上がっていくときのドキドキ感、思い通りにいかないときの焦燥感も含め、完成したときのやり切った感はすごかったですね。手応えというか、これ以上はもうできないと思える作品になりました。

――昨年開催された全国10公演のツアー「大感謝祭 2022」でも披露された、セクシーな歌詞の新曲「バニラ」が1曲目に収録されています。1月18日に先行配信もされましたが、どのようなイメージから、この曲が生まれたのでしょうか。

昔から性的なテーマの曲が大好物で、ほかの誰も触らないテーマなので、ぼくが一人でその歴史をどんどん開拓していこうと勝手に思っています(笑)。「バニラ」はSM的な内面感情を、自分なりに深く掘り下げた曲。メロディやアレンジを作っていく段階で、頭の中のそういった性的なイメージに火がついた感じです。

ーー9曲目「灯火(ともしび)」は、関東電気保安協会「安全のプロ編」CMソングとしても流れていたあたたかいナンバーです。どのようなメッセージを込めて歌っていますか。

関東電気保安協会のCM曲なので、なにか「光」をテーマにした曲を作りたかったんです。まだプロにもなれていなかったデビュー前の時代、はるか遠くのほうにある成功を光に例えて、届かないけれどがんばる景色を描きました。若い友人のアーティストたちも、いままさにそういう状況にいるので、彼らや彼女らに向けて作った曲でもあります。

――切ないラブソングがストリングスとも相まって届く11曲目「国道4号線」は、どのように生まれた曲ですか。

自分でも抑えられないくらいイメージや映像、言葉がどんどん頭の中にあふれてきてしまった曲です。本当はもっと長く歌詞やメロディを足して、壮大な映画のようなストーリーにしたかったんですが、さすがにそうもいかないので、このサイズで打ち切りました(笑)。渋谷で待ち合わせをしているシーンから始まる、映画みたいな切なくも苦しい曲です。

――ヒャダインさんと組まれた13曲目「モンスターディスコ」は、フジテレビ系TVアニメ『デジモンゴーストゲーム』エンディング主題歌としても親しまれたキャッチーなダンスナンバーで、お子さんたちにも響いた曲ですね。

アニメを観ているお子さんに向けて作ったホラーソングなんです。ヒャダインに、「スガ シカオのイメージをぶち壊してくれ」って頼んだら、やれラップやれだの、ここにメロディを作ってだの、無茶振りの応酬を受けて、この曲が出来上がりました(笑)。その結果、歌詞もメロディもいままでやったことのない感じになっていて、ヒャダインに感謝です。

――そうだったのですね(笑)。今作には、25周年を機に立ち上げたファンク集団「ファンクザウルス」の楽曲も4曲収録されています。ファンクザウルスでは、インパクトのある歌詞を陽気に聴かせてくださいますが、ソロと違う点として、ファンクザウルスで意識されている点はどこですか。

ファンクザウルスは、とにかく大真面目にアホなことをやり尽くすバンドなんです。お客さんも一緒になって“ファンクバカ”になってもらって、泣くまで笑ってもらうというコンセプトで始めました。このタイプのバカバカしい歌詞を書かせたら、ぼくの右に出るものは日本にはいません、天才としか言いようがないかも(笑)。ちなみに次のファンクザウルスの新曲のタイトルは『スガ シカオで領収書ください』というバラードです!

――わー、早く聴きたいです! デビュー記念日となる2023年2月26日には、中野サンプラザ公演を開催され、ファンクザウルスの初お披露目もあるようですね。そしてアルバム『イノセント』のツアーも行うご予定は?

ファンクザウルスのステージは参加型ステージなので、お客さんもコーラスやペンライトでガンガンにステージを盛り上げてもらいます。いままでのような聴くライブではなく、騒ぐライブと位置付けているんですよ。そして『イノセント』のツアーもやりたいですが、まだ予定はないですね。

「海外や踏み込んだことのないジャンルに進出したい」

――少し普段のご様子もお聞かせください。音楽活動以外では、おやすみの日はどんなふうにお過ごしですか。趣味や現在ハマっているものもあれば教えてください。

最近、休日に船釣りに行きました。朝5時集合で、東京湾のアジを大量に釣ってきたんです。自分で捌いて、刺身やなめろう、アジフライにして食べたんですが、最高でしたね。あと習い事が好きで、いまも英会話、ギター、たまにボイストレーニングと、いろいろやっています。できなかった何かができるようになると、すごく得した気になるんですよね。

食べ歩きも好きで、70人くらいいる食べ歩き同好会みたいなものに入っているので、日本全国の美味しいものを探して、食べ歩いています。

――多趣味で多彩でいらっしゃるんですね。ではライフスタイルにおいて、普段気をつけていることはありますか。

体型がだらしなくならないように気をつけていますね。トレーニングはもとより、週に2回、10kmは歩いていますし、食べ物もかなり気をつけています。

――いろいろなお話をありがとうございました。最後に、今後の抱負を教えてください。

今年は、活動の幅を少し広げていきたいと思っています。たとえば、海外とか踏み込んだことのないジャンルとかに、どんどん進出していきたいですね。

取材後記

ファンクな要素をポップミュージックにちりばめて、多くの人たちを惹きつけ、何度も聴きたくなる楽曲にして届けてくださる、スガ シカオさん。デビュー25周年というアニバーサリーイヤーを迎えてもなお新鮮さを持ち続けて、また新しい楽曲を聴かせてくれるのはうれしい限りですよね。そんなスガさんのニューアルバムをみなさんも、ぜひチェックしてみてくださいね。

取材、文・かわむらあみり

スガ シカオ PROFILE
1997年2月、シングル「ヒットチャートをかけぬけろ」でメジャーデビュー。同年9月発売の1stアルバム『Clover』以降、これまですべてのオリジナルアルバムがオリコンTOP10 入りを記録している。

2011年、所属事務所から独立。メジャーとインディーズの枠組みに捉われない独自の活動を行ったのち、2014年に両A面シングル「アストライド/LIFE」でメジャーシーンに完全復帰。2017 年にはデビュー20 周年を迎え、自身が主催する「スガフェス!」をさいたまスーパーアリーナと大阪城ホールで開催した。

2021年12 月、デビュー25周年のキックオフ作品としてアルバム『SugarlessIII』をリリース。同年6月には、オリンピックや世界選手権で活躍する一流スケーターたちが繰り広げる「Fantasy on Ice 2022」にて、フィギュアスケーターの羽生結弦とコラボレーションしたことが大きな話題に。2022年2月、デビュー25周年を迎え、全国10公演をまわったホールツアー「大感謝祭 2022」は大盛況のうちに幕を閉じた。

2023年2月1日、25周年を締めくくるニューアルバム『イノセント』をリリース。

Information

New Release
『イノセント』

(収録曲)
01. バニラ
02. さよならサンセット
03. 叩けばホコリばっかし(Short Mix)by ファンクザウルス
04. 痛いよ
05. 獣ノニオイ
06. バカがFUNKでやってくる(Short Mix)by ファンクザウルス
07. 覚 醒
08. 東京ゼロメートル地帯
09. 灯火
10. メルカリFUNK(Short Mix)by ファンクザウルス
11. 国道4号線
12. おれのせい by ファンクザウルス
13. モンスターディスコ

2023年2月1日発売
*収録曲は全形態共通。

(通常盤)
VICL-65749(CD)
¥3,300(税込)

(初回限定版A)
VIZL-2132(2CD)
¥4,950(税込)
*内容:『イノセント』+CD「ファンクザウルス」デビューEP

(初回限定版B)
VIZL-2133(CD+DVD)
¥5,500(税込)
*内容:『イノセント』+DVD「25周年ツアー 大感謝祭2022 東京国際フォーラム ホールA(2022.10.14)」/「バニラ」ミュージックビデオ完全版

取材、文・かわむらあみり

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