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思春期男子の「うるせぇ」実はこういう意味だった! 元開成学園校長の解釈に納得。

  • 2023.1.28

「このあいだまでまとわりついてママママ言ってたのに『ウゼェ』って...」「うちなんて壁に穴あけたのよ!?」......。

そんな「思春期男子なぞすぎる!」という世の母の声に応えるべく、開成中学・高校の校長を9年務めた柳沢幸雄さんが「取扱注意な思春期男子の扱い法五箇条」を伝授する1冊が刊行された。『マンガと図解 元開成学園校長が教える 思春期男子の正しい育て方』(宝島社)だ。

時期や長さに個人差はあるものの、小学校高学年から高校生にかけて迎える思春期。これは「自立前の最後のトレーニング期間」なのだそうだ。これまで疑似恋愛のようだった母親からの愛情が重くなって「うるせぇ」と言ったり、不安や不満をうまく言葉にできずに怒ったりする思春期男子。

親は寂しい思いを抱えつつ、どのくらい手放し、どのように見守ったらいいのか、その塩梅に悩むことになる。そこで今回は、思春期男子の育て方(扱い方)を本書からピックアップしてご紹介。まずは、次の5つを肝に銘じておこう。

■思春期男子の扱い法五箇条
其の一 しゃべらせる
其の二 「ダメ」と言わない
其の三 成長をほめる
其の四 得意を伸ばす
其の五 自立を促す

「うるせぇ」にムカつかない

母親が何か言ったり聞き出そうとしたりすると、「うるせぇ」と悪態をつくようになる思春期男子。言われたら結構なダメージを食らいそうだが、これは「正しく成長している証」で、「うるせぇ」は「ねぇ、お母さん」と同義語くらいに捉えることだという。

子どもは思春期になると「自分たちだけの楽しい世界」が生まれ、それを批判されたり根掘り葉掘り聞かれたりすると、うんざりして口を閉ざしてしまう。しかし、口では「うるせぇ」と言いながらも、親の庇護から離れて羽ばたくことを不安に思っている。それが思春期男子。

「うるせぇ」と言っているうちは、まだ親を頼りにしていると解釈し、かといってガミガミ言わず、子どもが離れていこうとするときは少し離れて静観するようにしよう。

思春期男子の「うるせぇ」は「ねぇ、お母さん」と理解する

コツコツでなくていい

毎日ゲームばかりしていて、試験の間際になって急に勉強し始める息子。「もっと早くからやっておけばよかったでしょ(怒)」と言わずにいられる親が、はたしてどのくらいいるだろうか。

親が理想と考える「コツコツ」した勉強法は、実は女の子が得意とするもので、男の子に求めてもできない。男の子には、体力に任せて「ドカンドカン」と勉強するのが向いているという。柳沢さん自身もそんな勉強の仕方をしていたそうだ。

途中経過はあまり気にせず、結果さえきちんと出せればよしとする。ベストコンディションを本番に合わせられるように、子どもが自分で力配分を考えられるように導く。「この子にとってのピークはいつ来るんだろう」という点だけを見るようにしよう。

男の子は「コツコツ」でなく「ドカンドカン」でいい

何でもできるより「これが得意」

かつての日本はジェネラリスト(広範囲の知識、技術、経験を持つ人)が求められた。年功序列型の終身雇用が基本だった以前の企業では、どの部署に配属されても上手くやれるジェネラリストが便利だったからだ。

しかし、新卒で採用された会社に一生勤めることが少なくなった今、すべてにおいて平均的な能力を持っていても、成果主義のジョブ型雇用の社会では通用しないという。

少子化が進み、親は一人の子どもに「どの教科も平均点以上をとって、運動ができて、友だちがたくさんいて......」と、たくさんの才能を求めるようになっている。しかし今の社会では、何か一つ抜きん出ていたほうが活躍の場は広がる。必要なのは、"尖った"部分なのだという。

大学入試もこうした時代を反映し、国公立も私立も総合型選抜(以前はAO入試と呼ばれた選抜方法。書類選考、面接、小論文などが課せられる)に力を入れている。「勉強しないと将来困ることになるよ」と子どもを追い込んで自信を失わせるより、「僕はこれが得意!」と言えるものを探す手助けをしよう。

「どれも平均点以上」のジェネラリストは目指すな

突然無口になったり、親を無視したり、時には怒鳴ったり、親としてはつらいところだが......。柳沢さんによると、これは「栗のイガ」のようなもので、思春期男子は外側をトゲだらけにして自分を守っているのだという。

「厄介だと思うかもしれませんが、出来事にはすべて理由があり、理由が理解できれば、『男の子は宇宙人』と思う回数も減っていきます。やがて、実が十分に熟せば自然と木から落ち、イガも割れているはずです」

「親が話す量は、子どもが話す半分以下にすること」「『勉強しなさい』といういつもの口癖をやめてみる」......と本書に書かれているが、個人的には真逆のことを結構やってしまっていた。わが子が「得意」を伸ばして「自立」できるように、親は思春期男子のなぞを解き、ちょうどいい立ち位置から見守りたいものだ。

■目次
第1章 ママのわけがわからないを大解剖!
思春期男子は大人への第一歩と心得る
第2章 思春期男子に平均点は求めない!
自由に"学ぶ力"を伸ばす
第3章 「得意」はどんどん伸ばして
思春期男子の自己肯定感を高めよう
第4章 自己管理能力を育てて
18歳で思春期男子を旅立たせよう

■柳沢幸雄さんプロフィール
やなぎさわ・ゆきお/1947年生まれ。開成高等学校、東京大学工学部卒業。民間企業を経て、同大学院工学系研究科博士課程修了。ハーバード大学大学院、東京大学大学院で教鞭を執った後、2011年から開成中学校・高等学校校長を9年間務める。2020年から北鎌倉女子学園学園長。東京大学名誉教授。著書に『母親が知らないとヤバイ「男の子」の育て方』(秀和システム、PHP文庫)、『尖った子どもに育てなさい 激動の時代を生き抜く「強み」の見つけ方』(中央公論新社)などがある。

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