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「めぶく。」を掲げる群馬県・前橋。大自然や地域を盛り上げる人達との出会いを感じる旅へ

  • 2023.1.28

こんにちは、TABIPPOのくっぴーです。今回は、人生初の群馬県・前橋市を訪れました。

群馬と聞くと、正直これといった特徴は浮かばず。地元の人も「なにもないよ」というので"ワクワク"というよりは"どんな街なんだろう?"という心境で訪れました。

実際訪れてみると、『2021年世界のベストホテル39』や『ベストデザインホテル』で入選している「白井屋ホテル」があったり、日本百名山の赤城山もあります。

この旅を通して関わった方々からは、"他の地域では見られないほどのパワー"を感じることができ、最高の旅になりました。

この記事ではその魅力を、個人的な熱意をもってご紹介したいと思います。

前橋駅に到着!街を散策しながら目的地へ

photo by kuppy

さて、人生初の群馬県、そして人生初の前橋市に到着し、心はワクワク。

今回は、最近話題になっている「白井屋ホテル」に宿泊できるとのことで、さらに楽しみな気持ちが抑えきれない10月の朝。

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10月も下旬となると、街には紅葉した木々が立ち並び、どこを歩いていても絵になります。人々が歩くスピードは東京の人ほど早くない印象で、すでに喧騒を離れた落ち着きを感じるのもまた良い。

創業300年の老舗が再生。さまざまなアートが点在する「白井屋ホテル」

photo by kuppy

早速「白井屋ホテル」にチェックイン。ここは創業300年の歴史を持つ、老舗が2020年に生まれ変わったホテルでありながらも、内装・外装ともに感じられるアートの美しさから日々、人々を魅了させ続け、ホテルラバーズからも人気の宿です。

『五感を総動員してアートやデザインをゆっくりと味わい尽くす』と謳われるホテルのデザインは、オファーが絶たないほどの人気を誇る建築家・藤本壮介さんによる設計。

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2014年から6年半もの年月をかけて作り上げてきたという「白井屋ホテル」は、前橋市の中心市街地を活性化するまちづくりのプロジェクトの一環として大きな存在を担っています。

ホテルに入った瞬間から落ち着く香りがして、仕事や移動での疲れが一気に吹っ飛びそうなほどの空間に息を呑みました。

100%自然素材のアロマオイルを調香したものだそうですが、じつは、その香りも藤本壮介さんとアロマデザイナーによってデザインされているのだとか。

もちろん内装はどこを切り取ってもおしゃれ。現代アートが感じられる作品があちこちに並べられていたりする反面、緑も空間の中に取り込まれており、"人がそこに居てよい雰囲気が視覚からも感じることができます。(なんなんだこのホテルのポテンシャルは)

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外観も、独創的かつ素晴らしいデザインで、今流行りのサウナを貸し切りで楽しめる施設もあります。

サウナ好きの私にとってはたまらないホテル………!

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ホテルのアートは全て、ホテルのオーナーで、群馬県前橋市出身の起業家であるJINSの田中社長が選び、空間は建築家の藤本壮介さんが実際に形にしていったモノなので

photo by 白井屋ホテル

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また、オーナーの田中さんは”新しく作ったホテルが地元にうまく馴染むように”、地元の若者が訪れやすいように”と、ホテルの敷地内に「ブルーボトルコーヒー白井屋カフェ」や、「白井屋ザ・ベーカリー」、「白井屋ザ・パティスリー」を併設。

そして”地元の人がホテル周辺を気軽に利用できるように”と、ホテル敷地内を自由に通り抜けできるような仕様にするという仕掛けも施されたのだそう。

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田中さんは、行政と共に、『前橋市では、さまざまなこと・ものが芽吹き、未来を作っていくまちである』ことを表す市のビジョンをドイツのコンサルティング会社と考案し、前橋出身のコピーライター、糸井重里さんに『めぶく。』という一言に置き換えてもらった。そのビジョンを象徴するものとして白井屋ホテルが生まれ変わりました。

“新しいものをたくさん作っていこう!”その時点で素晴らしいとは思いますが、"持続可能"という文脈で、地元の方にも愛される施設を作る。これが「めぶく。」が表す素晴らしさなのかなと思います。

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メインダイニング「the RESTAURANT」では、群馬出身のシェフ・片山ひろさんがキッチンに立ち、地元群馬の食材を振舞います。

冬は赤城おろし、昼間と夜間の寒暖差や風雨に晒されることによってたくましく育った甘みの強い野菜。赤城山麓で豊かな自然のもとじっくり育った赤城牛など、群馬の地の恵みを受けた上州食材を存分に味わえ、上州の食文化に対するオマージュ、地元の大自然に育まれた食材の数々を、独自の解釈で再構築する一皿一皿はまさに上州キュイジーヌです。

また今回は、ソムリエの児島由光さんが手掛ける、最高のペアリングでお料理を楽しませていただきました。

photo by kuppy

前橋産の養殖うなぎを使った一品。塩加減が絶妙で、特製ソースでいろんな味を楽しむことができ、お酒がとまりません…。

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言わずと知れた、群馬県のブランド牛である「赤城牛」。 柔らかくきめ細やかな肉質が特長で、口の中に入れた瞬間にトロけるような食感が味わえます。(ワインが止まらない…)

シャッター街に人が溢れかえるほど賑わう「前橋BOOK FES」へ

photo by kuppy

今回の旅では、2日間をかけて開催されている「前橋BOOK FES」に参加してきました。

このイベントが開催された2日間、いつもは人気(ひとけ)の少ないシャッター街に、地元の人はもちろん、県外からも人が集まりました。

SNSでこの様子を発信したところ、前橋市出身の人が「これが本当に前橋……?」となるほど、稀にみる人の多さでした。

「前橋BOOK FES」は、“本でみんなが元気になる”をコンセプトに、みなさんの家で眠っている本を群馬県前橋市に集め、その「本」の新しい読み手と縁をつなごうという、これまでにまったく例のないイベント。

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前橋市出身で株式会社ほぼ日”の代表である糸井重里さんを発起人に、約11ヶ月前から前橋市の行政や民間企業がサポートをして共創されてきました。

ここではなんと出品者が本を持ち寄り、一般の方は好きな本や気になった本をその場で手に取り、アプリ上で参加パスポート(1,000円)を発行しておけば何冊でも持ち帰ることができるとのこと。

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パソコンで本をネットサーフィンするのとは違って、"視覚的に"多ジャンルの本を直接見て触れられるのと、出品者の方と会話しながら好きな本を探すことができるということで、あっという間に時間が過ぎてしまいました。

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参加者は老若男女問わず、街も活気付いてる様子。

「最後の最後にあの本と出会えて良かった〜!」という声もあって、なんだかほっこりする気持ちになりますし、ただ単に"盛り上がっているイベント”ではなく、「GIVEしよう」というみなさんの雰囲気がにじみ出ていて、

みなさんの満足度が、幸福度とともに高くなるような催しでした。

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私自身もさまざまなジャンルのコーナーを周り、気づけば熱中すること約3時間。

個人的に、「あ、自分って今こんなジャンルに興味があるんだ、こんな方向に成長したいんだ」という自己理解にもつながったので自己を振り返るメディテーション的な要素もこのイベントの醍醐味かもしれません。来年、また開催されるのが楽しみです。

太陽の前橋プロジェクト「極光行脚」

photo by Hayata Matsuzawa

気がつけば、あたりはすでに暗くなり始めていて街は静かに……と思いきや、前橋市の中心部を流れる広瀬川のほとりが賑やかになっています。

photo by Hayata Matsuzawa

じつは今回、「前橋BOOK FES」と連動して、「太陽の前橋プロジェクト 極光行脚」というイベントも夜に開催が決定。多くの人が広瀬川周辺に集まっていました。

どんなイベントなのか?と概要をひとことで表すと、「光を通して、日常的なものから"旅"する感覚を味わい、多様な視点を育む」イベント。

デンキを通じて、暮らしの可能性を飛躍的に拡張させた私たちの今後の課題。

それは「人類だけで完結できるものではなく、地球との共生にある」との想いから、「宇宙のミライにワクワクする」をビジョンに掲げながら、電気を通して地域とそこに住む人に感動を与える「株式会社ソウワ・ディライト」 代表取締役の渡邊辰吾さんが旗を振って企画と運営をされています。

photo by Hayata Matsuzawa

前橋市は、山や川に囲まれ、豊かな自然が溢れる街。その環境や地域の特徴が、冬に美しいオーロラが鑑賞できるカナダ ユーコン準州と似ているのだとか。

photo by Hayata Matsuzawa

プロジェクションマッピングでは、カナダで観測することができるオーロラが、芸術家・岡本太郎作『太陽の鐘』に映し出されます。

そもそも「極光」とは、遡ること130年前、前橋市出身の詩人・萩原朔太郎がオーロラのことを「極光」と表現したことより名付けられました。

一方で「行脚」については「旅をすることで予期せぬ出会いに遭遇する」こと、それも”日常の中から”という思いが込められています。

一般的に「旅」といえば、海外旅行や国内旅行など日常から抜け出して体験するものを思い浮かべますが、日常を抜け出さなくても、今いる場所で自分の中の視点を変えれば景色・モノの捉え方は変わります。

photo by Hayata Matsuzawa

空き地にデコトラをつくったり、文学館にもプロジェクションマッピングを映し出したりするような、既存社会システムの中で、当たり前となっているものを疑うこと。それだけでなく、「おもしろい」と思うアクションをすること。

そんな視点を地域の老若男女、特に子どもにも持ってもらうという狙いが込められております。

辺り一帯がいつもより少し暗く、プロジェクションマッピングによって映し出される映像や光は、これからの前橋を照らしているようでした。

photo by Hayata Matsuzawa

こちらは、街中での焚き火体験。「ひと手間をかけて楽しむ」ということで、暖をとるにも、薪をくべて火をつけ、暖炉で暖をとるというブームがきているそう。

暖房とは違って実際に"火"なので、遠赤外線で体の芯から温まります。

日本百名山のひとつ「赤城山」へ

photo by kuppy

翌日は天気にも恵まれ、大自然を感じるには絶好の日和!この日は赤城方面に向かい、赤城山周辺を散策しました。

首都圏からおよそ100kmの距離にそびえたつ、赤城山。カルデラ湖を伴う、関東地方で有数の複成火山です。百名山の1つではありながらも、山周辺はなだらかな道が多く、登山初心者にも簡単に訪れることができる山です。

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また今回訪れたのが10月末ということで、山の中腹〜山頂にかけては山が紅葉で真っ赤に染まっていて、一足先に秋を感じることができました。

道中では"スローシティ"を象徴するカタツムリのシンボルを見ることができます。(かわいい)

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"スローシティ"とはイタリア・オルヴィエート市などが発祥で、地域の食や農産物、生活・歴史文化、自然環境を大切にした個性・多様性を尊重する新たなまちづくりを目指すもの。

前橋市は赤城南麓のブランド力向上のため「スローシティ国際連盟」へ申請。2017年に加盟しました。日本では、宮城県気仙沼市に次いで2番目の加盟となり、ヨーロッパ諸国を中心に33か国287都市が加盟している国際的な運動です。

早さと競争力のある生産性を追求する時代に、普段の生活で簡単に手に入るようなものを、手間をかけて自らの手で作り出すことで、忘れかけていた懐かしい暮らしを体験する。

過去の暮らしを取り戻すだけでなく、持続可能な未来に向けた準備につながる幸福な未来を目指す街として、前橋は日本を牽引していきます。

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赤城山付近を、最高の天気のなか、おいしい空気と共に散歩をします。

普段都会の喧騒に揉まれている私としては、空気がおいしくて、鳥のさえずりが心地よくて。人間には自然が必要だなぁと再認識する時間を、赤城山は与えてくれます。

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散歩をしているうちに、赤城大沼のほとりに位置する赤城神社に到着しました。

赤城神社は、大沼湖畔に建つ、朱塗りがとても美しい神社。群馬県のなかでも人気のパワースポットとして名を馳せています。

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湖にかかる朱塗りの橋は、空の青色とのコントラストがとても美しい。湖に囲まれている神社に行くことが初めての私にとっては、まるでドラマのロケ地にでもきたような感覚になりました。 ※現在、啄木鳥橋は改修のため、橋の上部が撤去され、通ることができない状態です。

赤城山と湖の神様である「赤城大明神」のもとに召された赤城姫の伝説から、女神様に願い事を叶えてもらおうと女性にとくに人気のスポット。古くから女性の願いを叶え、お参りをすると美しい子どもを授かるということで地元民にも観光客からも愛されている神社なのだそう。

また湖ではカヌーをすることもできます。冬には湖が凍り、そこではなんとワカサギ釣りもできるということで、年間を通してたくさんのアクティビティも楽しむことができます。周辺の山では子どもや初心者向けのスキーやスノーボードもできるそうなので、ぜひ訪れてみてくださいね。

地元民にも観光客にも愛され続ける「桑風庵なかや本店」

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ランチは、赤城山へと向かう道中にある、のどかな雰囲気のお蕎麦屋さん「桑風庵 なかや本店」に向かいます。

風情ある佇まいが魅力的で、平日のランチタイムは近隣住民や、サラリーマンで行列ができることも多いとのこと。

この日は13:30くらいにランチをいただいたので、行列を避けて入店できました。(ラッキー!)それでもお客さんは多かったので、それほど人気店なのでしょう。

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蕎麦はもちろん手打ちで、コシがすごくて食べ応えがあります。セットで注文した天ぷらは衣もサクサク。お腹も心も満たされる……!

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豆知識ですが、このあたりでは蕎麦の量を「〜合」と数えるらしく、一人前は5合ほど。(お酒みたいですね……呑んべえの私は日本酒が飲みたくなりました。)

こういった言語文化の違いを感じることができるのも、旅の醍醐味で楽しいものです。

とんとん広場にて「HUTTE HAYASHI」を堪能

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ここは、株式会社エーアンドブイ企画を運営する林智浩さんがオーナーの、「とんとん広場」。

林さんは、ドイツとイタリアで修行をしハム職人になり、前橋市にてブランド豚肉「福豚」と地元野菜を味わえる、同施設を展開。

前橋市は全国的にも豚が多いものの、そのほとんどが東京に送られて地元で消費されることはないため、地元の前橋市で消費されるよう、国産プレミアム生ハムブランド「HUTTE HAYASHI」を立ち上げたのだそう。

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林さんが作る生ハムは、スパイスを使って作る生ハムとは違って"塩のみを使用"。そのため全くくどくなく、それでいて味わい深い。肉の旨味が凝縮されていて、思わず舌鼓を打つほど絶品の生ハムでした。しっかりお土産に購入させていただきました。

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海外で「生ハムメロン」というメニューがあるように、果物と生ハムの相性が抜群。今回は生ハムと柿を一緒にいただきました。生ハムの旨味と塩味が、柿の甘さと絶妙にマッチして、言葉が出てこないほど。メロンや柿以外にも生ハムと相性の良い果物があるのか、気になりますね。

解放感のある「はなぶさ有機農園」で素材の味を楽しむ!

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ツアーの最後は、同じく前橋市にある「はなぶさ有機農園」へ。ここでは、作物本来の味わいと栄養価を引き出せる、露地栽培で育てられた果物や野菜を収穫することができます!

収穫体験をできる作物は季節によって異なりますが、ブルーベリーだったりさつまいもだったりと種類は豊富。今回はさつまいもの収穫体験をさせてもらいましたが、「収穫する」という体験は小学校以来で、思わず夢中になってしまいました(笑)

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こちらは、農園で採れた栗を贅沢に使ったパフェ。今回は特別に自分たちで盛り付けをすることができました!(今回のモニターツアー特別プランのため、通常は対応しておりません。)

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自分で作ると美味しさが増すというのは本当で、デザインにてこずったものの、よりおいしく感じられました。

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進化をし続ける前橋で、新しい旅を体験しよう

photo by Hayata Matsuzawa

今まで私は、前橋市だけでなく群馬県にすら訪れたことがなかったのですが、結論から言うと、本当に大ファンになりました!

赤城山を中心として雄大な姿を見せる山や川などの大自然。澄んだ空気。

そして何よりも、「もっとおもしろいことをしよう!」「前橋のために何かをやろうとしている人がいたら応援する!」といった、地元の方々の”熱い思い”が一番の魅力で、他の地域には見られない活気を感じられました。

photo by Hayata Matsuzawa

今回行われた「極光行脚」で演出された光は、これからの前橋の明るい未来を象徴しているかのよう。縁もゆかりもなかった前橋に「また来よう!」「前橋のために、自分も何かかかわりたい」と心から思った旅でした。

みなさんも、自然と人の魅力の溢れる前橋市にぜひ訪れてみてはいかがでしょうか。

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