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だから途中で飽きられる…「話が面白くない人」に決定的に欠けている4つの心構え

  • 2023.1.27
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どうすれば、人を魅了する話し方ができるようになるのか。音声プラットフォーム「Voicy(ボイシー)」を運営する緒方憲太郎さんは「『話す力』で人を魅了するということは、滑舌の良さや声の通りの良さで『きれいにしゃべる』こととはあまり関係がない」という――。(第1回/全3回)

※本稿は、緒方憲太郎『新時代の話す力 君の声を自分らしく生きる武器にする』(ダイヤモンド社)の一部を再編集したものです。

スタジオでポッドキャストを録音している女性
※写真はイメージです
きれいな話し方が人を魅了するわけではない

僕が運営している音声プラットフォームのVoicyには、1000人以上のリスナーが毎日集まるようなパーソナリティの番組が数百あります。

日々、多くの人が「話を聞きたい」と集まる話し手たちは、日頃、どんなことに気をつけているのでしょうか。「話す力」の高い人は、そうではない人と比べて、一体何が優れているのでしょうか。

僕は普段から、Voicyの人気パーソナリティに、「話す力」についてヒアリングを重ねています。さらに僕が普段お会いする著名人や経営者の中にも、「話す力」が高い人がたくさんいます。

こうした人々を観察・研究した結果、「伝わる技術」にはいくつかの共通点があることが見えてきました。

僕はVoicy上でたくさんの声の発信に触れる中で、衝撃を受けた事実がありました。それは、必ずしもきれいに話せる人が聞き手を魅了しているわけではない、ということです。

「きれいに話す」こととは別の技術が必要

実際、Voicyの中には、話し方は決してきれいではないけれど、その人らしい独自性が受けて、どんどんとファンを魅了しているパーソナリティがたくさん存在します。

一方で、きれいに話す訓練を受けたアナウンサーの中で、「話がおもしろい」と評価されて自分のラジオ番組を持ったり、講演会で人気を博したりする人はごく一部しかいません。

「話す力」で人を魅了するということは、滑舌の良さや声の通りの良さできれいにしゃべることとは、あまり関係がありません。

ですから、もし今、あなたが「自分は声がダメだ」「きれいにしゃべれないから無理」などと尻込みしているなら、心配無用。

きれいに話すことができなくても、「話す力」は高められます。

目指すのは、「きれいに話す」ことではなく、自分らしさをしっかりと伝えて、相手と良い関係を築くこと。

それには、「きれいに話す」こととは別の技術が必要になります。

ここでは、Voicyの人気パーソナリティたちを長く観察・研究して気づいたうまい伝え方の共通点や、僕自身の経験を通して培ったスキルなどを整理して、みなさんに「伝わる技術」をお伝えします。

では、始めていきましょう!

「伝える」ことと「伝わる」ことの違いを意識する

「伝わる技術」を習得するために、みなさんに意識してほしいことがあります。

それが、これからお伝えする4つの心構えです。普段の会話ではあまり意識していないかもしれませんが、この4つのポイントに気を配るだけでも、あなたの話し方は大きく変わっていきます。

「伝わる技術」を磨く前に、まずは「伝わるためのマインドセット」を整えましょう。

1つ目の心構えが、「伝える」ことと「伝わる」ことの違いを意識するということです。

普段、みなさんは仕事仲間と会話をするとき、「伝える」と「伝わる」のどちらを意識していますか。

きっと多くのビジネスパーソンが、仕事では「(事実を)伝える」ことを意識し、目的に沿った話し方をしているはずです。用件をなるべく「短く」「分かりやすく」「端的に」、話すように心がけているのではないでしょうか。

一方で、「伝わる」というのは、話し手の思考や感情の振動が聞き手に伝わって、聞き手が話し手の状況に共鳴するイメージです。

「伝わる」話し方は、「伝える」という行為を完了するだけでは足りません。

「伝わる」と「伝える」では目的が違うわけですから、話し方も変える必要がある。それなのに、大半の人がその違いを意識せず、同じように話しています。

想像してみてください。仕事で伝えるときと同じような話し方で家族や友人に話したら、距離を感じませんか?

では、「伝わる」話し方とは一体、どんなものでしょうか。

身につけるべきは「伝わる」技術

「伝える技術」は難しくはありません。「ロジカルに」「要点を絞って」「端的に」話せばいいのですから、コツさえつかんで練習すれば、誰でもすぐに「伝える」ことができるようになります。

しかし「伝わる技術」を意識してきた人は、少ないのではないでしょうか。「伝わる技術」と言われても、何をどう変えればいいのか分からないと戸惑ってしまうはずです。

この「伝わる技術」を身につければ、相手との距離がぐっと縮まり、よりコミュニケーションが円滑になるという大きなメリットがあります。

ですからここでは、この2種類のうち、「伝わる技術」にフォーカスします。

「自分に」興味を持ってもらう意識を持つ

2つ目の心構えが、自分に興味を持ってもらう意識を持つことです。

人は、興味のない話を聞くことに苦痛を感じます。話の内容か話し手に興味がなければ、よほど別のメリットがない限り、話を聞いてくれません。

しかし常にメリットのある話をしたり、内容を興味深くしたりすることは、プロでも大変です。あなたがあなたらしく自然に話すことで、あなた自身に興味を持ってもらう。そうすれば、あなたが好きな話をしているだけで、聞き手は喜んで聞いてくれます。

特に近年は、どんな情報もインターネットで入手できるようになり、一個人だけが知っているような情報は、ほとんどなくなりました。

伝えられる情報の内容に大差がなくなってくると、人は次第に「何を話すか」よりも、「誰が話すか」を意識するようになります。

得られる情報に違いがないなら、自分が興味を持つ人の話を聞きたい──。そう考える人が増えているのです。

実際、Voicyで人気のパーソナリティを観察してみると、その人しか知らない特別な情報にファンが付いているというよりも、話し手が魅力的で、その人柄に魅了された人が、リスナーとして継続的に番組を聞き続けています。

あなたが話を聞いてもらいたいなら、まずは自分に興味を持ってもらうこと。それが自分にとっても話をしやすい環境を作るのです。

そのためにも、人に興味を持ってもらうという意識を持って、会話のスタートラインに立ちましょう。

「話を聞いてくれる」のは当たり前ではない

3つ目の心構えが、自分が話している間は、相手の時間を奪っているという意識を持つことです。

相手があなたの話を聞いてくれるのは、当たり前のことではありません。もし、あなたの話がおもしろくなかったり、役に立たなかったりすると、聞き手にとってあなたと話した時間は、人生のムダ遣い。あなたが話せば話すほど、聞き手は「時間を奪われた」と思ってマイナスの印象を抱くでしょう。

あなたが話すということは、相手の時間を奪っていること。ならば、少しでも相手が「時間を奪われた以上に、聞けて良かった」と思うプラスの価値を提供しようと意識しましょう。

「自分は聞き手の時間を奪っていないか」。そんな意識を持つだけで、会話の内容は大きく変わってきます。

話し手側に、「相手は時間を割いて自分の話を聞いてくれているんだ」という謙虚な姿勢があれば、話をおもしろくしたり、心地良くしたり、工夫しようとする気持ちも強まります。

僕は関西出身ですが、話に対する意識の高い関西人の多くが、「自分の話を聞いてもらいたい」と思う一方で、おもしろくない話をすることには強い罪悪感を抱いています。自分の話がおもしろくなかったり、ダラダラと抑揚のない話に長く付き合わせたりすることは罪深いとさえ思っています。

関西人は話している途中でよく「……あ、この話はオチがないからやめとくわ」などと言います。その言葉にも、そんな価値観が表れています。

辛うじて一人だけまだ起きているが、他の全員が眠りに落ちているビジネスセミナー
※写真はイメージです
最後まで聞いてもらえないことを前提に話す

4つ目の心構えが、自分の話を相手に最後まで聞いてもらえないことを前提に話すということです。

緒方憲太郎『新時代の話す力 君の声を自分らしく生きる武器にする』(ダイヤモンド社)
緒方憲太郎『新時代の話す力 君の声を自分らしく生きる武器にする』(ダイヤモンド社)

「いや~、昨日会社に行ったんですけど、こんなことやあんなことがあって、これをやってあれやって、あの人と会議して……」と長々と説明した挙げ句、「まあでも、まだ全部終わってないので~」と、これまでの話を台なしにするような話し方をしていませんか。

こういった会話は、聞き手が最後まで自分の話を聞いてくれる前提で話しています。最後まで聞かないと要点が分からないという話し方では、聞き手を引き込むことはできません。

Voicyでは、パーソナリティが提供するエピソード一本ごとに、話のどの段階でリスナーが離脱したのかが分かります。

こうしたサービスでは、話し手(Voicyではパーソナリティ)の話を聞き手が最後まで聞く義理はありません。つまらないと思ったら、いつでも別の番組やルームに切り替えることができる。話し手にとっては厳しい環境です。

そんな中にいると、話し手は常に「相手が最後まで自分の話を聞いてくれるわけではない」ということを意識せざるを得なくなります。

おもしろくなかったら聞き手がいなくなる

聞き手がいつでも離脱することができるからこそ、常に相手を飽きさせず、「この人の話を聞いて良かった」と感じてもらえる話し方をする必要があるのです。

Voicyで、当初はトークがうまくなかった人が、話す機会が増えるにつれて「伝わる技術」が磨かれて、話がおもしろくなっていったケースを、僕はこれまでに何度も目にしてきました。

話がおもしろくなかったら、容赦なく聞き手がいなくなる──。

そんな緊張感のある環境の中で話すことを繰り返すと、「話す力」がどんどん磨かれていきます。

もちろん、そんな厳しい環境で話す技術を鍛えるのは、精神的に厳しいと思う人もいるはずです。ならばせめて、「最後まで自分の話を聞いてもらえないかもしれない」と意識するだけでも十分です。

マインドセットを変えるだけで、話し方も自然と変わってくるはずです。

緒方 憲太郎(おがた・けんたろう)
Voicy代表取締役CEO
ビジネスデザイナー、公認会計士。大阪大学基礎工学部卒業後、同大学経済学部も卒業。2006年に新日本監査法人に入社し、その後Ernst & YoungNew York、トーマツベンチャーサポートを経て起業。2015年医療ゲノム検査事業のテーラーメッド株式会社を創業、2018年業界最大手上場企業に事業売却。2016年音声プラットフォームVoicyを開発運営する株式会社Voicyを創業。同時にスタートアップ支援の株式会社Delight Design創業。新しい価値をビジネスで設計するビジネスデザイナーとして10社以上のベンチャー企業の顧問や役員にも就任し、事業戦略、資本政策、サービス設計、PRブランディング、オープンイノベーション設計、その他社長のメンターやネットワーク構築を行う。著書に『ボイステック革命 GAFAも狙う新市場争奪戦』(日本経済新聞出版)

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