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年金と生活保護は同時受給できるって本当?もらえる金額はいくら?

  • 2023.1.27
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近年、定年後の生活困窮や老後破産という話をよく聞くようになりました。

実際に、日本弁護士連合会の調査によると、70歳代の破産が近年拡大しています。

2002年では70歳代の破産者の全世代に占める割合は2.73%でしたが、2011年には5.02%、2014年には8.63%、2020年には9.35%と、破産者の1割近くを占めるまでに増加しています。

破産者が増えている理由には、老後の大きな収入源となる年金も関係しているのかもしれません。厚生労働省によると、令和3年度の厚生年金保険(第1号)受給者の平均年金月額は145,665円、国民年金の受給者の平均年金月額は56,479円となっています。

厚生年金を受け取っていればなんとか生活できるかもしれませんが、国民年金の月額6万円以下で生活していくのは非常に困難といえるでしょう。

では、老後、働くことができず国民年金しか受け取っていない、もしくは厚生年金でも生活できないという場合、生活保護を受給することができるのでしょうか。

■年金と生活保護の同時受給は可能

結論からいうと、年金を受け取りながらでも生活保護を受給することは可能です。

生活保護とは、世帯収入だけでは国が定めている保護基準(最低生活費)に収入が満たない場合、その不足額を受給できる制度です。

したがって年金収入だけでは最低生活費に満たない場合には、年金を受給しながらでも不足額を受給できます。

最低生活費は地域や年齢、医療費などによって決定します。例えば、最低生活費が13万円の場合、年金収入で5万円を受け取っているのであれば、差額の8万円を受給できます。

■生活保護を受けるための条件

生活保護を受給するためには、世帯収入が最低生活費を下回っているだけでは受給できません。次の条件を満たす必要があります。

・活用できる資産がない
・生活を支える公的制度が生活保護以外にない
・働きたいが働けない
・親族などに援助してくれる人がいない

自宅などの不動産を所有している人や、子供などから扶助を受けている人は生活保護を受けられません。

また、生活を支える公的制度が他にある場合でも生活保護を受給できません。そのため、年金収入で最低生活費を満たしているのであれば、生活保護の受給は不可能です。

資産もない、支えてくれる親族もいない、高齢で働けない、年金収入だけでは最低生活費に届かない、というケースにおいて、「最低生活費−年金収入」で計算される生活保護費を受給できます。

■生活困窮に陥ったら公的支援を受けよう

生活保護とは、国が定めた最低生活費から不足する金額の補助を受けられる制度です。年金を受け取っていても年金収入が最低生活費を下回り、その他の生活保護の受給条件を満たしているのであれば生活保護を受けられます。

老後で「生活に苦しい」と感じた場合には、生活保護を受けることを検討しましょう。

文・手塚大輔(ファイナンシャル・プランナー)
2級ファイナンシャル・プランニング技能士、証券外務員。地方銀行にて7年半勤務し個人営業と法人営業を経験。2014年に独立。保険や不動産、投資、税金などお金に関する幅広いジャンルの記事を執筆・監修している。

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