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蘇る「絵師の輪かざり」。花屋『みたて』の「折々に見立てる、京の暮らし」 Vol.67

  • 2023.1.26
出典 andpremium.jp

四季折々に迎える歳時記を、京都の花屋『みたて』が植物を通して表現。一つの作品を通して、京都ならではの生活が見えてきます。

出典 andpremium.jp

蘇る「絵師の輪かざり」。

柴田是真は幕末から明治中期にかけて活躍した蒔絵師にして日本画家。江戸に生まれ 歳で蒔絵を、加えて11歳からは絵画をも学んだ是真は、四条派の日本画を深く学ぶため24歳で京都へと遊学する。妙心寺の塔頭・大雄院には修業を終えた際に描いた「四季草花図」「唐代人物図」など72面の襖絵が今も客殿に残っている。
その是真の襖絵がある繋がりから始まったのが約3年の歳月をかけた「襖絵プロジェクト」。かつて東京にあった明治宮殿「千種の間」は、是真が100種類以上の草花を描いた花の丸天井図で彩られていた。作品は建物とともに戦火で焼失するものの、現在も残る直筆の下絵をもとに宮絵師が再現し、新たな襖絵が大雄院に完成したのだ。全18面、43の花の丸図が描かれた襖絵は、今年1月から始まった特別公開で目にすることができる。
円の中に収められつつも、生き生きと伸びやかに描かれた草花の姿。後世の絵師たちの手本とされた写実性の高さを、再び植物に置き換えたのが『みたて』の作る「絵師の輪かざり」だ。襖の象牙色とは真逆の漆の黒の上に、冬に花が咲く枇杷をあしらった。無理な形を作ることなく、枝や葉はあるがままに。活躍から100年以上の時を経て、絵師の絵心を伝えている。

photo : Kunihiro Fukumori edit & text : Mako Yamato
*『アンドプレミアム』2021年3月号より。

花屋 みたて

和花と花器を扱い、四季の切り取り方を提案する京都・紫竹の花屋。西山隼人・美華夫妻がすべてを分担し営む。

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