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世界からお届け!SDGs通信 バンコク編。山岳民族の生活環境を支援する社会的ブランド「DOITUNG」

  • 2023.1.21
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世界からお届け!SDGs通信 バンコク編。山岳民族の生活環境を支援する社会的ブランド「DOITUNG」

山岳民族たちの生活環境を改善・支援!王室主導の「DOITUNG」プロジェクト

タイ北部など山岳地帯に住む麻薬栽培に依存する山岳民族たちの生活環境改善のため、ラーマ9世・プミポン前国王によって1950年代初頭からスタートした「ロイヤルプロジェクト」。その中で、同様の意思によってシーナカリン王太后が設立した「メーファールアン財団」が手掛ける「DOITUNG」プロジェクトは、タイを牽引する持続可能な活動として世界的にも高い評価を受けている。

ミャンマー、ラオスと国境を接するタイ北部・チェンライのドイトゥン地域。かつてゴールデントライアングルと呼ばれたこの辺りは、1940年代の中国内戦を逃れて移り住んできた山岳民族たちが、唯一貧困から逃れられる換金作物としてアヘンの原料となるケシを栽培していた。市民権もなく教育も受けていない彼らは、生活のために森林伐採を行い、ケシを育て、麻薬密売や売春などに手を染めざるを得ない環境だったのだという。

そんな劣悪な環境を改善・支援するため、1988年に発足したドイトゥン開発プロジェクト。「人と森が確実かつ継続的に共存していくこと」を目的にケシ栽培からコーヒー栽培やマカデミアナッツ栽培へと転作を支援。そして、「DOITUNG」ブランドの元、農業・手工芸品・加工食品・カフェ・観光と、5つの社会的活動を通じて、地域の人々に安定した収入をもたらし生活を豊かにすることに成功している。ドイトゥン地域で山岳民族が天塩にかけて育てるコーヒーやマカデミアナッツは、高品質なタイの代表的なお土産として、タイを訪れた人々にも大変好評だ。

また、代々受け継がれてきた伝統的な手織り布の技術に新鋭のデザイナーがモダンなエッセンスを加えたテキスタイルは世界的にも高い評価を得ており、2021年には4年連続でグッドデザイン賞を受賞。さらにはラーマ9世も愛用していたことで知られている「オニツカタイガー」のスニーカーともコラボレーションを果たしている。
持続可能な社会をめざして取り組むプロジェクトの元祖であり、リーダーとしてタイのSDGsを牽引する稀有な存在なのだ。

オニツカタイガーとのコラボで生まれたスニーカー
2021年、オニツカタイガーとのコラボで生まれたスニーカーは、手織りのファブリックを印象的に使用。
オニツカタイガーとのコラボで生まれたスニーカー
農業・手工芸品・加工食品・カフェ・観光。5つの社会的活動で、山岳民族たちの生活環境の改善を支援。
手織りする作業員
年齢性別問わず、着る人の人生を明るく照らすようなカラフルなコレクション。
農業をする人
農業・手工芸品・加工食品・カフェ・観光。
農作物
5つの社会的活動で、山岳民族たちの生活環境の改善を支援。

Information

DOITUNG

ケシ栽培からコーヒー栽培を進め、タイ北部に住む山岳民族の人々の生活環境を改善するために王室が始めたプロジェクト。
HP:https://www.doitung.com/

profile

平原千波

ひらはら・ちなみ/「1年間だけ住んでみたい」とやってきたタイ暮らしが、なぜか早15年に!バンコクを拠点に活動する旅と猫が好きな編集者・ライター・時々コーディネーター。

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