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否定相次ぐジョージ・マイケルの自伝映画、遺族やLGBTQ当事者の見解とは?

  • 2023.1.19

元ワム!のメンバーである故ジョージ・マイケルの自伝映画の計画。主演を務める俳優の名前が浮上するなか、その配役に待ったがかかったり、遺族が声明を出したりと、早くも黄色信号が出ている。(フロントロウ編集部)

ジョージ・マイケルの自伝映画、主演はテオ・ジェームズか

クリスマスの定番曲である「Last Christmas」で知られるワム!のジョージ・マイケルは、2016年のクリスマスに53歳という若さで死去。そんなジョージの伝記映画の計画が現在浮上している。

ジョージの伝記映画の主演として白羽の矢が立っているのは、ドラマ『ホワイト・ロータス/諸事情だらけのリゾートホテル』のテオ・ジェームズ。

画像: ジョージ・マイケルの自伝映画、主演はテオ・ジェームズか

まだテオがジョージを演じることは正式決定ではないが、関係者は「脚本は最終段階に入っていて、プロデューサーは主役を探しているところです。テオの名前は誰もが口にしています。彼はこの役にぴったりでしょう。これはジョージの物語です。全てを含めてね」とDaily Mailに話しており、テオが最有力候補として挙げられているよう。

ちなみにテオは今年、トーク番組『Watch What Happens Live』に出演した際に、ジョージを演じることについては「ぜひやりたい」とコメント。「彼はアイコンだ」としたうえで、「彼は少しギリシャ系が入っていて、僕は少しギリシャ系が入っている」と、接点を明かした。

「また」とストレート・ウォッシングに批判が集まる

テオがジョージ・マイケルを演じるかもしれないというニュースを、LGBTQ+のニュースを中心に扱うメディアThe Advocateがインスタグラムにアップすると、それに、LGBTQ+であるシンガーのアダム・ランバートが反応。

画像1: 「また」とストレート・ウォッシングに批判が集まる

アダムは以前からジョージの伝記映画を見たいと語っており、ジョージ役を演じたいと英Metroのインタビューで明かしたこともあった。そんなジョージ役の進展に喜んでいるのかと思いきや「またストレートの人がゲイのアイコンを演じるんですね。やったー」と皮肉交じりにコメント。

画像2: 「また」とストレート・ウォッシングに批判が集まる

ハリウッドでは依然、LGBTQ+であることをカミングアウトすると与えられる役が限定されるという問題が続いている。そんななか、ストレート/シスジェンダーの俳優がLGBTQ+の役まで演じてしまう「ストレート・ウォッシング」は、LGBTQ+の俳優のチャンスをさらに奪ってしまっているというが問題視されている。この問題については、“グレー”だとする役者(クリステン・スチュワート)もいれば、もうLGBTQ+の役は演じないと宣言している役者(ダレン・クリス)、そもそも役者のセクシャリティを詮索するべきではないとする役者(ベネディクト・カンバーバッチ)など、俳優の間でも意見が割れている。

ゲイの“アイコン”をストレートの役者が演じる問題点とは

アダムはその後、米Varietyにストレートの俳優がゲイの役を演じることについて聞かれて、論点をこう説明した。

「私が皮肉交じりにした実際のコメントは、ストレートの俳優がゲイの“アイコン”を演じることについてです。少し違うますよね。私は決してゲイのキャラクターはゲイの俳優が演じるべきだとは思っていません。それはおかしいと思います」

画像: ゲイの“アイコン”をストレートの役者が演じる問題点とは

「クィアの人間として、多くの機会が閉ざされてきました。このような物語が語られるようになっていることは大きな前進ですが、将来的にはカミングアウトしている俳優が主役に挑戦する姿を観ることができればと思います。まだあまり観る機会がないですから」

「 『これは演技だから。そう言うなら、ゲイの俳優はゲイの役だけ演じてるべきだってことか』と否定する人たちもいますが、例えば(LGBTQ+である)クリステン・スチュワートが(LGBTQ+ではない)ダイアナ妃役で素晴らしい演技を見せましたよね。ただ現代においては、そのようにLGBTQ+の人が非LGBTQ+のキャラクターを演じることが限りなく少ないのです。だから私はただ、平等な機会が欲しいだけなのです」と、LGBTQ+の俳優に非LGBTQ+の主人公を演じる機会が少ないなかでは、せめてゲイのアイコンは当事者が演じるべきだと思っているという持論を展開した。

ちなみに、LGBTQ+アイコンであるフレディ・マーキュリーを題材とした映画『ボヘミアン・ラプソディ』やエルトン・ジョンの伝記映画『ロケットマン』ではそれぞれ、主演を演じたのはどちらもストレートの俳優だった。

ジョージ・マイケルの遺産管理団体は「支持」を否定

今回のジョージ・マイケルの自伝映画はジョージの遺産管理団体から許可も得ていると、テオ・ジェームズの起用を報じたDaily Mailは報じたが、報道を受けて遺産管理団体がそれを否定するコメントを発表。

画像: ジョージ・マイケルの遺産管理団体は「支持」を否定

「ジョージの愛するファン、そして彼の音楽を愛するすべての皆さん、ジョージ・マイケルの家族が彼の人生についてのいわゆる伝記映画を支持したとする記事が掲載されました。ジョージの家族とGMEを代表して、この話には何の真実もなく、私たちはこのプロジェクトについて何も知らず、いかなる形でも支持しないことを明確にしたいと思います」

映画の製作については2021年に英Sunが報じており、当時、ジョージの遺族は「映画を進めることに前向き」だったものの、ジョージの姉、父、元恋人といった関係者の間で意見に不一致があり保留になったと報じていた。

※この記事は2022年1月19日に公開されたものに加筆して再掲載したものです。

(フロントロウ編集部)

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