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今さら聞けない「国民年金」と「厚生年金」の違い。正しく説明できますか?

  • 2023.9.1

老後の生活を支える年金制度には、国による制度としての「公的年金制度」があります。公的年金制度には、国民年金(基礎年金)と会社員や公務員の方が加入する厚生年金の2つの制度がありますが、その違いをよく知らないという方もいるのではないでしょうか?

今回は、それぞれ支払う保険料や受給できる金額の違いなど、2つの年金制度の違いについてご紹介していきましょう。

国民年金ってどんな仕組み?

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画像:masamasa3/Shutterstock

公的年金制度は、1階部分の国民年金と2階部分の厚生年金の2階建て構造になっています。

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TRILLニュース作成

国民年金は、日本に住んでいる20歳以上60歳未満のすべての国民が加入する年金制度です。基礎年金とも呼ばれ、最低10年分の保険料を支払うことで受給資格を得ることができます。

保険料は一律で決められており、毎年物価や賃金の変化に合わせて見直しが行われます。令和5年度の保険料は月額16,520円です。

年金受給は原則として65歳から開始され、受給額は【年金額×(保険料の納付月数÷480ヶ月)】で計算されるので、最長40年分の納付実績があると満額を受け取れることになります。

厚生年金ってどんな仕組み?

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画像:umaruchan4678/Shutterstock

厚生年金は、会社員や公務員が加入する公的年金です。厚生年金の加入条件は「適用事務所」と呼ばれる厚生年金保険に加入している企業に「常時使用される70歳未満のすべての方」です。パートやアルバイトの場合でも、条件を満たすことで加入義務が発生します(※1)。厚生年金は1か月保険料を支払うことで、受給資格を得ることができます。

保険料は下記のように収入によって異なり、厚生年金保険料は会社と自分で折半で負担することになります。たとえば、保険料が5万円の場合は、会社が2万5000円を支払い、自分が2万5000円を負担することになります。

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TRILLニュース作成

出典:日本年金機構「保険料額表(令和2年9月分~)(厚生年金保険と協会けんぽ管掌の健康保険)」

年金が受け取れるのは原則として65歳からですが、60歳から65歳になるまでの間、年金額が減額されるが早く受け取ることができる「繰り上げ受給」や、66歳から75歳になるまで年金を受け取らない代わりに年金額が増額する「繰り下げ受給」があります。減額率と増額率は一生変わらないので、受け取る年齢は慎重に決めましょう。

なお、年金受給開始年齢以降も会社などに勤務し、厚生年金に加入している状態のまま老齢厚生年金の受給が始まると、「在職老齢年金」として支給調整が行われ、受け取れるはずだった厚生年金の額の一部、または全部をカットされる場合があります。また、この収入がある期間に繰り下げ受給をしても増額されることはありません。

受給額は、支払った保険料に応じて計算する仕組みになっているため、計算するのは難しいですが、厚生労働省が発表する「令和3年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、 厚生年金の平均月額受給額はおよそ14.5万円 でした。

※昭和37年4月1日以前生まれの場合は繰下げの上限年齢は70歳

年齢以外で年金がもらえるタイミング

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画像:VGstockstudio/Shutterstock

公的年金は老齢に達した方に支払われる「老齢年金」以外にも、障害状態になった方に支払われる「障害年金」、亡くなった方の遺族に支払われる「遺族年金」の3種類があります。

障害年金は病気やけがで障害が残った場合など、一定の要件に該当すれば、国民年金からは「障害基礎年金」が、厚生年金からは「障害厚生年金」が支給されます。支給額は、障害の程度や配偶者の有無、子どもの数などによって変わります。

遺族年金は、国民年金や厚生年金の被保険者が亡くなった場合に、その人によって生計を維持されていた遺族に支払われます。国民年金の「遺族基礎年金」は、死亡した方に18歳に達した年度の3月31日をむかえていない子か、1級または2級の場外状態にある20歳未満の子がいる場合に、その子、またはその子と生計を同じくする死亡した方の配偶者に支給されます。

厚生年金の「遺族厚生年金」は、死亡した方の①配偶者・子、②父母、③孫、④祖父母のうち、いちばん順位の遺族に支給されます。たとえば、死亡した方に、配偶者や子がいた場合は、父母や孫などには支給されません。子の条件は、遺族基礎年金における子と同じです。

将来いくらの年金を受け取れるのか確認してみよう

会社員の方は特に年金の支払いが給与天引きされるケースがほとんどなので、毎月いくらの年金保険料を払っていて、将来いくら受け取れるのか把握していない方も多いのではないでしょうか。

説明したように、国民年金と厚生年金では仕組みも受け取る金額も大きく変わりますので、この機会に確認してみることをおすすめします。



ライター:柳生大穂
編集者/ライター。有限会社バウンド所属。FXや株、投資信託などお金系中心のムックや書籍の執筆・編集を行う。