1. トップ
  2. 恋愛
  3. 新年を迎えた1月に「カップルで観てはいけない映画」4選【理由はいろいろですが…】

新年を迎えた1月に「カップルで観てはいけない映画」4選【理由はいろいろですが…】

  • 2023.1.15

今回は「1月に見てはいけないデート映画」を4本紹介します。本当はどれもすべて良作なのですが、新年に観てしまうと、テンションが下がってしまう可能性が高いので、もし鑑賞する際にはご注意ください…。

1.『さがす』

安楽死、難病、介護、貧困、自殺…どう考えても初デートには重すぎるテーマ

さがす

この映画『さがす』は、ひとりの女子高校生が突然失踪してしまった自分の父親を探すところから始まります。一体なぜ失踪してしまったのか。どこへ消えてしまったのか。全く事情がわからないまま、物語は予期せぬ真実を明らかにし始める…というミステリアスなサスペンス映画です。余韻を引きずるポイントは、清水尋也演じる殺人犯の芝居が、完璧すぎて普通に怖いです。鑑賞後は、会話がどんよりしそうです。安楽死、難病、介護、貧困、自殺などの重い問題を丸ごと「全部載せ」しております。だからこそ、今起きている問題を考えさせられる秀作ですが、どう考えても初デートには重いです。
また、本作の監督はアカデミー賞で外国語作品として史上初の作品賞を受賞した『パラサイト 半地下の家族』のポン・ジュノ監督の助監督を務めた経験もある片山慎三監督。
ポン・ジュノ監督の弟子経験者だけに、韓国ノワール要素もみられる作品。エグいシーンははしっかりときついです…。とはいえ伏線回収もしっかりしていて、一寸先は読めないストーリーは見応えは抜群の作品なので年末年始のデート以外でぜひ。

2.『マリアンヌ』

パッケージに騙されて見始めると、予想外に疑い疲れしてしまう…

マリアンヌ(字幕版)

パッケージから”スパイ×美男美女の恋愛もの”と安易に選ばれがちな作品です。俳優だけでなくプロデューサーとしても大活躍しヒット作を飛ばしているブラッド・ピットと、『バックトゥザ・フューチャー』『フォレスト・ガンプ』などのアカデミー賞受賞監督ロバート・ゼメキスがタッグを組んだラブ・ストーリー。戦争下の恋愛物語なので、コメディータッチの恋愛ものではなく、深みのある大人の心理描写を味わえる映画に仕上がっていて、さらには戦争の歴史もしっかりと盛り込まれ、とにかく良作です。
しかし、デートには向きません。ブラッド・ビット演じるイギリス将校と結婚したマリオン・コティヤール演じるマリアンヌさん。ふたりは幸せな家庭を築いていると思いきや、妻マリアンヌの正体はドイツの二重スパイかもしれない、という疑惑を旦那が解かなければならなくなっていきます。「マリアンヌはスパイなんか絶対にじゃない。でもどこかで、もしかしたらスパイかもしれない…」と疑ってしまっている時間が、延々と続きます。
気づけばこちらまで疑い疲れしています。疑心暗鬼と言うのは人を無駄に消耗させます。さらには、できる限り避けてほしいと思っていた結末へ。そんなこんなで、なかなか切な苦しい余韻から抜け出せません。デートには避けておくことが無難でしょう。世界一美しい顔と呼ばれたマリオン・コティヤールと、ブラッド・ピットのラブシーンは、芸術的に美しく記憶に刻まれるレベルなので、タイミングを選んでご鑑賞ください。

3.『リリーのすべて』

愛の強さがスゴすぎて、気まずい空気が流れないように注意

リリーのすべて (字幕版)

この作品は実話を基にしていて、1926年デンマークを舞台に、世界最初の性適合手術を受けた男性と彼を献身的に支え続けた妻の愛の物語です。恋人とか夫婦とか親友とか、人間はすぐに関係性に白黒つけたがりますが、我々人間が考え出した関係値だけではけっして測れない、名のつけようのない精神的なつながりが描かれます。究極の愛とはこのことかもしれません。夫が女性になっていく様子をどこまでも献身的に支える妻の強さ。美しい話なのですが、その愛のレベルが高すぎて、下手したら自分たちの愛がちっぽけなものかもしれないと思う可能性があります。
「君もこのくらい人生をかけて、俺を支えられる?」と万が一聞かれたりしたら、言葉を濁すしかなさそうな予感です…。気まずい空気を流したくないデートには向かない気がしてなりません。とはいえ、女性へと変化していく夫を困惑しながらも見守るアリシア・ヴィキャンデルの熱演は、アカデミー賞助演女優賞受賞も納得と思わせる熱演です。

4.『先生、私の隣に座っていただけませんか?』

先生、私の隣に座っていただけませんか?

夫婦の不倫を題材にした作品を描き始めた、結婚5年目の漫画家である妻と、その内容から自身の不倫が知られたのではないかと不安に陥る夫の姿を描きます。そもそもデートで見るにしては題材が題材ですが、ストーリー自体も面白く、構成も秀逸!現実と創作の間を何度も行き来しながら、映画の中で進行していくマンガから目が離せません
劇中で進行するマンガが実際に雑誌で連載されていたとしても、気になってしまうぐらいのコミック部分の面白さも魅力で、そんな主人公が描く世界が現実と交錯していきながら、夫婦の心理戦に肉薄していきます。ラストの展開は、まったく予想がつきません。
ネタバレ回避のために詳しくは言及できませんが、一部映画サイトでは男性の口コミが悪く、女性の口コミが高評価だったり、男女で感想が180度変わるタイプのお話で、女性の執念やしたたかさにしばらく男性は言葉をなくすかもしれません。ジャンルとしてはホラー映画クラスなのではないかとの呼び声も一部では起きていました(笑)。黒木華さんと柄本佑さんの芝居もうますぎて余計に落ち込むかもしれません。爽やかな気持ちで迎えたい新年のデートでは、いやもはやこの作品だけは、あらゆる時期においてもデートでは見ないほうがよさそうです。
唯一おすすめしたいのは結婚が決まったカップルかもしれません…。なぜなら、副作用強めの浮気防止薬みたいな映画だからです。需要の伴っているカップルは、ぜひ!

いかがでしたか?「1月にカップルが見てはいけない映画」を映画ソムリエ・東紗友美がお届けしました。
本当はアラサー女子におすすめで恋愛や人生の参考になる名作や自己啓発してくれる映画などを厳選しているので、ぜひデートではなく、おひとりで見ることをおすすめします!
映画との出会いは一期一会。タイミングを意識した映画選びを。素敵な2023年を過ごせますように。

今回の記事「大人女子のための映画塾」を執筆したのは…
東 紗友美(ひがし さゆみ)
’86年、東京都生まれ。映画ソムリエ。元広告代理店勤務。日経新聞電子版他連載多数。映画コラムの執筆他、テレビやラジオに出演。また不定期でTSUTAYAのコーナー展開。映画関連イベントにゲスト登壇するなど多岐に活躍。

元記事で読む
の記事をもっとみる