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燃料高騰や物価高を乗り切る冬のエコな暖房対策は? 専門家が伝授する効果的な暖房器具の使い方

  • 2023.1.14
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冬の家

続く物価高や電気・ガス代の高騰。生活に重くのしかかる負担をうまく乗り切るために、家計管理でどのような節約ができるのでしょうか。冬場は暖房費がかさむ季節。効率よく快適な暖房の使い方など、電力を多く使う冬の省エネについて、消費生活アドバイザーの和田由貴さんにうかがいました。

冬場の暖房器具は、生活スタイルに合わせて選ぶ

暖房

電気代が気になるものの、寒さをガマンするのもつらい季節。効果的に暖房費を抑えるコツはあるのでしょうか。

暖房対策について、和田さんは「特に冬場は生活スタイルによって、どのような暖房器具を選ぶのかが重要なポイントになります」と指摘します。

「暖める効率だけを考えると、エアコンの暖房を使うのがいいように感じますが、エアコンは部屋全体を暖める対流式の暖房器具なので、室内にひとりでいるようなときにはそうとも言い切れません。むしろ自分だけを暖かくする電気あんかやパネルヒーターなどのほうが、効率がよい場合も。ほかにも日当たりのよさなど、住環境によって条件も異なります。だからこそ、自分の生活スタイルに合った器具を選ぶことが大切です」

暖房、こたつ、電気カーペット、電気毛布…電気代が節約になるのは?

暖房器具

エアコンか扇風機かくらいしか選ぶ余地のない冷房とは違って、暖房器具は選択肢が豊富。節約するという視点では、何を選んだらよいのでしょうか。

「1人で使う前提の場合、使い方に柔軟性があるという意味では、こたつよりも電気毛布や電気ひざかけがオススメ。特に電気毛布は敷くこともかけることもできる使い勝手のいい暖房器具と言えます。電気カーペットはほかの暖房器具に比べて電気代がかかりますが、カーペットだけで充分に暖がとれるのであれば、大きな問題はありません。ただし、ほかの暖房器具と併用して使う場合には電気代が高くなる傾向にあるので注意しましょう」

電気カーペットも全面ではなく、自分がいる場所だけ使用するようにしたり、設定温度を上げすぎないようにしたりすれば、極端に電気代が跳ね上がることはないそう。一緒にひざかけを使うなどの工夫をすることで、心地よく冬を過ごすためのアイテムになってくれます。

加湿器

冷房・暖房ともに、設定温度を推奨されることがありますが、あの「設定温度」は、エアコンの設定温度ではなく、あくまで室温の目安を指すそう。

「冬の室温は20℃が目安です。ただ、20℃は体感温度では寒いと感じることのほうが一般的。人間の体感温度は室温だけでなく、いろいろな条件のもとで決まります。そのため、部屋のなかに温湿度計を置いて、自分が快適に過ごせる温度を把握するようにするとよいでしょう」

温湿度計は温度設定が正しくできているかどうかを見るものではなく、「いまの温度が何度なのか」という室温を目視で確認することが目的です。また、同じ室温でも、夏場は湿度が高いと蒸し暑く感じて、逆に冬場は乾燥していることで寒く感じます。適度な湿度は必要ですが、室温によってもその感じ方は異なるのです。

「理想的な湿度は40~60%の間と言われています。室内をこのパーセンテージが保てるように、温湿度計をチェックしながらコントロールできるのがベストです。冬場は極端に乾燥することもあるので、場合によっては加湿が必要になってきます。このように、温度・湿度は目視で確認をして調整できるようになるといいですね」

また、室温の感じ方はそのときの体調によっても異なります。着るものでも調整はできるので、コンディションに合わせて温度調整をしていきましょう。

盲点! エネルギーは沸かすときに多くかかる

湯たんぽ

冬は節電のために、暖房器具として湯たんぽを使う人もいますが、この行動は「エコロス」だと和田さんは指摘します。

「エコだと思ってとっていた行動が、じつはエコに反するもったいない行動であることを“エコロス”と呼んでいます。勘違いや思い込みでもったいないエネルギーの使い方をしていることは意外と多く、湯たんぽもそのひとつです」

パナソニックが2022年4月に行った調査(20~69歳・男女4000人)によると、環境問題に対して関心がある人は60%に上る一方で、エコロス行動に該当していると感じている人も55.4%いるという現状があります。

湯たんぽを使うためにわざわざお湯を沸かして用意している場合には、そのお湯を沸かすための環境負荷とコストが高くつき、電気あんかを使うほうがはるかに省エネでお得なのだそう。

やかん

「お湯を沸かすには、じつはものすごくエネルギーがかかっています。お湯が余ってついでに使うのではなく、湯たんぽ用にわざわざお湯を沸かすのであれば、もったいない行動。その点、電気あんかなど直接発熱するものを体に当てているほうが、ムダがありません」

実際に、電気あんかを2時間使ったとしても、湯たんぽを使うよりもコストは安いと言います。いま湯たんぽは、充電式のものや電子レンジで温めるタイプのものもありますが、省エネを考える場合、1回あたりにどのくらいのコストがかかるのかを明確に把握したほうがよいと和田さんは言います。

「電気の温かさよりお湯の温かさのほうが“エコっぽい”というイメージで湯たんぽを選んでいる人もいるかと思いますが、エコロスが起こる原因は“節約になるだろう”という、なんとなくの思い込みから起こること。この“なんとなく”という部分を見える化することで、意外なムダに気づけるようになります」

冬の暖房器具は、いかにムダなく自分に合うものを選ぶかがポイント。

和田さんは「節約や省エネはガマンやムリをして行うものではなく、暮らしを快適にするための一歩。この機会に正しい知識を得ることで、自分なりの“快適さ”と“節約”を両立した生活を目指しましょう」とアドバイスしてくださいました。

これを機に「エコロス」になっていないか、身の回りの暖房対策をもういちど見直してみてはいかがでしょう。

取材・文/番匠 郁

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