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パワハラと言われるから部下と積極的に関わらない→それ、パワハラ予備軍かも?

  • 2023.1.14

近年、たびたび問題になっているパワハラ。あなたの職場ではどんな対策がとられているだろうか? パワハラが起こる原因と有効な対策を、科学的に探った本が発売されている。『パワハラ上司を科学する』(筑摩書房)だ。

著者の津野香奈美さんは社会疫学の研究者として、パワハラや上司のリーダーシップに関する研究に取り組んでいる。科学の目で見た、パワハラ上司の正体とは?

津野さんは自身の研究で、まずパワハラを測定する尺度を開発し、どういう人がパワハラをし、どのくらいの人が受けているのかを明らかにしたという。そして、どのような上司がパワハラをしやすいのか、どのような職場だと発生しやすいのか、受けると健康にどのような影響が出るのかなどを調査してきた。その研究成果が、本書にまるごと詰まっている。

なかには、科学的根拠を知らなければ勘違いしたままになりやすい事実も。たとえば、「うちの職場は社員同士の仲が良いから、パワハラは起こらない」と思っている人もいるのではないだろうか。ところが津野さんの研究では、「上司と部下の仲が良すぎたり、職場の雰囲気がくだけすぎたりしている職場では、パワハラが起こりやすい」ことがわかっているという。

また、「最近は何でもパワハラと言われるから、あえて部下と積極的に関わらないようにしている」という人もいるかもしれない。実は、この回避方法も要注意だ。津野さんによると、「部下と積極的に関わらない、放任型の上司がいる職場では、パワハラが発生しやすい」のだそうだ。

このように個人の経験や勘でパワハラ対策をすると、逆にパワハラを生んでしまう可能性がある。では、どんな対策なら効果的なのだろうか? 本書では、パワハラをしている人に注意する方法と、自分がパワハラ上司にならないための方法が詳しく解説されている。部下をもつ人にはぜひ手に取ってほしい一冊だ。

【目次】
はじめに
第1章 パワハラとは何か
第2章 誰がパワハラをしているのか
第3章 パワハラを引き起こす上司の三大リーダーシップ形態
第4章 なぜパワハラは起こるのか――パワハラが発生するメカニズム
第5章 パワハラ上司にならないためにはどうすればいいのか
おわりに
参考文献

■津野香奈美さんプロフィール
つの・かなみ/神奈川県立保健福祉大学大学院ヘルスイノベーション研究科准教授。東京大学大学院医学系研究科博士課程修了。博士(医学)・博士(保健学)・公衆衛生修士。10年以上にわたり職場のパワハラ等の人間関係や上司―部下の関係性と健康との関連に関するエビデンス(科学的根拠)を継続的に発表している、日本で唯一の社会医学系研究者。研究結果を現場に生かすべく、企業や自治体でコンサルティングを実施している。

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