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貯金や持ち家、車があっても「生活保護」を受給できるって本当?

  • 2023.1.13
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経済的に困窮している場合には、生活保護の受給が選択肢になります。「預貯金や財産があっても生活保護は受給できる」という意見もありますが、実際はどうなのでしょうか。

生活保護を受ける際の、貯金や財産の考え方について確認していきましょう。

■生活保護とは

生活保護は、資産や能力を活用しても生活が困窮する人に対して必要な援助を行う制度です。健康で文化的な最低限度の生活を保障するため、状況に応じて生活保護費が支給されます。

生活保護を利用したい場合には、居住している地域を管轄する福祉事務所に相談・申請を行います。

■生活保護を受けるための条件

生活保護を受けるには、資産や能力など以下の4つの活用が求められます。

✓資産の活用:預貯金、生活に利用していない不動産の売却代金を生活費に充てる
✓能力の活用:働ける場合は能力に応じて働く
✓あらゆるものの活用:まずは年金や他制度の給付を受ける
✓扶養義務者の扶養:可能であれば親族などから援助を受ける

これらに取り組んでも収入が最低生活費に満たない場合、生活保護が適用されます。

■貯金があっても受給できる?

貯金があっても、生活保護は受けられます。申請してすぐに受給できるわけではないので、生活を維持するためにもある程度の貯金は必要です。貯金が底をつく前に申請を行いましょう。

ただし、国が定める最低生活費(月額)を上回る貯金がある場合には、「まずは貯金を生活費に充ててください」と指導されます。仮に最低生活費が月20万円の場合、20万円を超える貯金があると生活保護を認められない可能性が高いでしょう。

■財産があっても受給できる?

財産があっても、生活保護を受けることは可能です。ただし、財産の種類や申請者の生活状況によって変わってきます。

生活に利用していない土地や家屋は売却が必要ですが、自分が住む家は持っていても構いません。ただし、持ち家の資産価値が高い場合など、状況によっては売却を求められることもあります。

原則として、自動車は売却して生活費に充てなくてはなりません。ただし、障害のある方の通勤や通院などに必要な場合は、保有を認められることもあります。

その他の財産も、状況によっては認められる可能性があるので、まずは福祉事務所に相談してみましょう。

■生活保護はいくらもらえる?

生活保護では、最低生活費から年金や各種手当などの収入を差し引いた残額が保護費として支給されます。最低生活費は、地域や世帯員の人数などによって異なります。

2022年4月1日現在、高齢者夫婦世帯(68歳、65歳)の生活扶助基準(食費、被服費、光熱水費など)は、東京都区部等で12万1,480円、地方群部等で10万6,350円が目安です。生活扶助のほかに、必要に応じて住宅扶助や医療扶助なども支給されます。

■貯金や財産があっても生活保護は受けられる

貯金や財産があっても、生活保護を受けることは可能です。生活保護は国民の権利であり、恥ずかしいことではありません。

生活が苦しい場合には、ためらわずに福祉事務所に相談しましょう。

文・大西勝士(ファイナンシャル・プランナー)
早稲田大学卒業後、会計事務所、一般企業の経理職、学習塾経営などを経て独立。FP資格や投資経験をもとに、大手金融機関を含む複数の金融・不動産メディアで記事執筆を行っている。

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