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お正月は七福神巡りのチャンス! 全国“七福神巡り”スポット10選

  • 2023.1.9

7つの寺社を巡って御朱印などを集め、福を招くという“七福神巡り”は、古くから日本人が親しんできたお正月行事。基礎知識や日本全国のおすすめ七福神巡りスポットをご紹介します。

おめでたい七福神巡りで新年に福を呼び込もう。

七福神を祀っている神社・仏閣を巡拝する“七福神巡り”。ご利益研究家の藤本宏人さんに、起源や歴史について教えてもらった。

「諸説ありますが、由来は室町時代に人気になった“七難即滅、七福即生”という経文。火難、水難など自分の力ではどうしようもできない7つの災難から守ってもらうには、同じ数の神様が必要だということで、七福神が生まれました。当時の七福神巡りは魔除けの意味が強く、“魔を除けておかないと福は続かない”と考えられていたようです。庶民の間でブームになったのは、江戸時代中期。元々は和歌や俳句を詠むような上流階級の人々が春の情景を求めて行っていた遠足でしたが、それを見た庶民の間で“巡拝をすると上流階級の方々のようにお金持ちになれる”という噂が生まれ、江戸を中心に、各地で瞬く間にお参りとして開催されるように。お正月や春と秋のお彼岸に和歌や俳句のコンテストと一緒に行われ、大流行したといわれています」

近代になり、御朱印や御分体をいただく今のスタイルが確立。

「明治時代は文明開化の波に押されて下火になっていましたが、大正時代には人気が復活。神社やお寺の風物詩として定着し、7つの寺社にお参りした記録として印章(御朱印)が押される仕組みも誕生しました。小さな御分体を各参拝所で頒布し、宝船に乗せて全員集合させるというお守りも生まれ、7体全て集まると願いが叶うという願掛けも大人気に。戦時中は中断しましたが、戦後の復興に合わせてお正月を楽しみ、一年の無病息災と商売繁昌を祈る行事として人気がよみがえりました」

七福神巡りをすることで、“七福”のご利益が期待できる。

「お金・仕事・人間関係に関して、良いことは増大し、避けたいことは減少する。これで六福ですね。七福の7つ目の福は、全体が良くなること、といわれています」

お正月は七福神巡りのチャンス。

「通年で開催しているところもあるのですが、地域によって信仰が異なるため、基本的にはお正月の松の日(1月1日~7日または15日)までに行うといいといわれています。新年をおめでたい気分でスタートしたい人は、ぜひトライしてみてください」

七福神

諸説あるが、室町時代の僧侶・瓊春(けいしゅん)が、中国で流行していた「七賢人墨画」を真似て水墨画に描いた日本の神様が、現代の七福神に最も近いといわれている。この七福神が福を呼ぶと人々の間で噂になり、大流行したそう。七福神が宝船に乗るようになったのは江戸時代。当時、いい初夢を見るためのアイテムとして大ヒットした錦絵に、宝船に乗った七福神が描かれ、縁起がいいと定着した。

恵比寿天(えびすてん)
日本の神話である『古事記』や『日本書紀』に登場する、七福神の中で唯一の日本古来の神様。手に持った釣り竿で、運気や売り上げを上げてくれるといわれている。

大黒天(だいこくてん)
インドから伝来した神様。出雲大社の祭神“大国主命様”と同一という説も。トレードマークの打ち出の小槌は仕事の象徴なので、仕事運が上昇するご神徳がある。

弁財天(べんざいてん)
インドの川の神様。日本神話に登場する水の神と同一という説も支持されている、七福神で唯一の女神。美と芸術の神様として有名で、美貌と健康を保ち、財を築くという。

毘沙門天(びしゃもんてん)
インドの戦いの神様。仏教の守護神としても認められ、お寺でお祀りされている。力と戦略の神様で、勝負に勝つというご神徳から、合格祈願や勝負運アップに。

福禄寿(ふくろくじゅ)
中国の神様。見ると縁起が良いとされる南極老人星(龍骨座のα星カノープス)の化身とされている。鶴や亀と一緒に描かれている健康を司る神様で、長寿のご神徳がある。

寿老人(じゅろうじん)
中国の神様。仙人になるための道教という信仰の開祖、老子の化身といわれており、仙人っぽい見た目が特徴。不思議な術が使えるとされ、知識や教養が上がる。

布袋尊(ほていそん)
9世紀に中国に実在したお坊さんがモデルだとされる中国の神様。人々を救うとされる未来の仏様、弥勒菩薩の化身ともいわれていて、未来を良くするというご利益がある。

日本全国七福神巡りリスト

数々の由緒ある神社・仏閣がそろい、旅行気分を満喫しながら、時間をかけて巡ることができる。全国各地の個性豊かな七福神巡りを楽しんで。

なにわ七幸〔大阪府〕 商人の街、大阪を代表するパワースポットを巡る。

「移動距離が長いので、2日間でゆったり巡るのがおすすめ。専用の色紙か集印帖に全ての御朱印を授かると満願となり、なんと2年間、四天王寺の御芳名板に名前が記載されるというスペシャルな特典が!」(藤本宏人さん)

奥州仙臺(せんだい)七福神〔宮城県〕 仙台市内の7つの寺社でご真言を唱えて運気アップ。

「寺社ごとに異なるご真言を声に出して7回唱えるという特別なご祈願にぜひ挑戦してみて。素敵なデザインの“奥州仙臺七福神オリジナルまくり”を授かって、御朱印を集めるという楽しみ方もできます」(藤本さん)

吉田七福神+達磨大師〔愛知県〕 七福神に達磨大師も! 8福いただく豊橋市の巡礼。

「どのお寺様も温かく迎えてくれるのでおすすめです。とくに大黒天様が祀られている普門寺は、御朱印がアーティスティックな切り絵で素敵。思わずこちらも笑顔になってしまう縁起の良い大黒様です」(お寺・仏像研究家、芸人・みほとけさん)

鎌倉・江の島七福神〔神奈川県〕 鎌倉らしさを効率よく贅沢に味わえる巡礼。

「鎌倉駅側からスタートして、最後は江の島弁財天様で海に沈む夕陽を見る巡り方がおすすめ」(みほとけさん)。「プチ旅行気分を楽しみながら、海やお寺からパワーを吸収。有名なお寺が多くテンションもアップ」(漫画家、コラムニスト・辛酸なめ子さん)

都七福神〔京都府〕 “みやこびと”気分で楽しむ日本最古の七福神巡り。

「特別な色紙に7つのご宝印を集めることで完成する大護符(色紙)が人気」(藤本さん)。「色紙は日本最古らしい風格が。どの寺社も歴史が深く、先人たちの祈りが蓄積されてきた荘厳さに感動の連続です」(みほとけさん)

小江戸川越七福神〔埼玉県〕 古き良き江戸の風情を感じながらゆったり巡る。

「風情豊かな各寺院を、昔の風流人になりきってお参りが楽しめます」(藤本さん)。「徳川家康が領地を与えたことで発展した喜多院に注目。今年の大河ドラマ『どうする家康』の主役、家康公ゆかりの地です」(みほとけさん)

肥前の国七福神〔長崎県~佐賀県〕 グルメや景色も堪能し、旅行気分で訪れたい。

長崎県と佐賀県をまたいで巡拝するため、車での移動が便利。「移動距離が長いので2日間くらいかかりますが、そのぶん情緒満点のコースです。とても珍しい七福神専用のお札が授かれるのも、嬉しい特典」(藤本さん)

善光寺七福神〔長野県〕 善光寺へ続く表参道界隈のそぞろ歩きも楽しんで。

「総距離2.5kmほどなので、1時間半もあれば巡ることができます。善光寺は私が訪れた神社・仏閣の中でも特に気が良いお寺の一つで、その雄大さを目にすれば、今年もいい年になることをきっと確信できるはず」(モデル、クリエイター・本山順子さん)

淡路島七福神〔兵庫県〕 島内をぐるりと一周してたくさんの福を集めよう。

「淡路島そのものが七福神の乗る宝船に見立てられています。最初のお寺で券を購入して各お寺で祈願してもらうのがおすすめ。住職のありがたい法話のほか、参拝記念品や吉兆福笹などがいただけます」(本山さん)

大和七福神〔奈良県〕 1300年以上続く奈良の歴史と自然も味わって。

全部で8か所。「8つ目の三輪山は、大和の信仰の原点。参拝すれば七福が倍増し“八宝円満”のご利益がいただけるとされます。神様の宿る山と私たちの先祖が繋いできた信仰の歴史に、心が洗われます」(みほとけさん)

藤本宏人さん ご利益研究家。七福神巡りに造詣が深く、これまでに100か所以上巡る。「七福神巡りは、可愛い台紙に御朱印を集める楽しさや達成感も。HPが充実している所が多いのでぜひチェックを」

みほとけさん お寺・仏像研究家、芸人。年間100以上のお寺を訪れており、拝観した仏像は2000体を超える。さまざまな仏像になりきる“仏ものまね”を得意とし、お寺や仏像の魅力を発信中。Instagramは@mihotoke_chan

辛酸なめ子さん 漫画家、コラムニスト。スピリチュアルや開運、皇室、ワイドショーネタなどあらゆるジャンルを鋭い観察眼とウィットに富んだ表現で執筆。『辛酸なめ子、スピ旅に出る』(産業編集センター)など著書多数。

本山順子さん モデル、クリエイター。日本仏教検定1級。Hanako.tokyoで神社仏閣を愛でながら街歩きの楽しさを伝えるコラム「本山順子の迷子のお守り。」を連載中。ファッションも素敵なInstagramは@junkomotoyama

※『anan』2023年1月11日号より。イラスト・古谷充子 取材、文・岡井美絹子

(by anan編集部)

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