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世界からお届け!SDGs通信 香港編。香港最後の専門店が作る、香りも優しい竹製の蒸籠

  • 2023.1.7
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世界からお届け!SDGs通信 香港編

香港最後の専門店〈徳昌森記蒸籠〉が作るしなやかで丈夫、香りも優しい竹製の蒸籠

成木になるまで、通常の木であれば数十年かかるが、竹の場合はたった3年。多量の二酸化炭素を吸収し、伐採しても切り株から再び急激に成長するので植え替えも不要。さらに肥料や農薬なども必要がない強靱さで、サステナブルな自然素材の代表格となっている。

香港では、サステナビリティが語られるようになるずっと前から、竹を使った製品が日々の生活で重要な役割を果たしてきた。その一つが主に点心を蒸すために使われる蒸籠(セイロ)だ。

現在、香港で使用されている蒸籠のほとんどがはるかに低価格の中国製。地元の職人は減り続け、西営盤にある〈徳昌森記蒸籠〉一軒のみになってしまった。「最近では、オーストラリアやアメリカへの輸出が中心になっている」と5代目店主の林植鴻(ラム・ジクホン)さん。中国の広州で100年以上前に創業し、香港に移って70年以上の歴史を持つ老舗だ。

〈徳昌森記〉では、原材料の竹は中国から輸入しており、もっとも蒸籠に向いているしなやかで表面が滑らかな上海産の竹を使った、すべてハンドメイドの高級蒸籠と、品質がやや落ちる広州産の竹を使ったマシンメイドの廉価版の2種類を販売している。

素材としてサステナブルなだけでなく、毎日の高温での使用に耐えるほど頑丈で、竹の調理器具を使って調理すると、優しい香りが料理に加わるのも、プラスチックやスチールには真似できない、竹ならではの魅力になっている。

マシンメイドとハンドメイドの蒸籠
左がマシンメイド(26cm、80香港ドル)、右がハンドメイド(23cm、180香港ドル)。同じ大きさでは約2.5倍の価格差がある。
5代目店主の林植鴻さんと奧さんと妹さん
5代目店主の林植鴻さん(中央)。奧さん(右)と妹さんと共に店を切り盛りする。
蒸籠、鍋敷き、料理用の網、カトラリー
蒸籠の他に、鍋敷き、料理用の網、カトラリーなどもあり。
徳昌森記蒸籠の外観
西営盤の静かなエリアに佇む店舗。

profile

甲斐美也子

かい・みやこ/元女性誌編集者で2006年より香港在住のジャーナリスト。著書『週末香港大人手帖』(講談社)。ポッドキャスト形式の音声アプリArtistspokenにて。毎週土曜日香港情報を更新中。
HP:hk-tokidoki.com
Instagram:@miyakoka

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