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箱根駅伝で育英大・新田颯サプライズ爆走 1区リードしながら考えていたのは

  • 2023.1.5
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箱根駅伝のスタートとゴール地点、東京・大手町の読売新聞東京本社前にある「絆」の像

「第99回東京箱根間往復大学駅伝」は2023年1月2~3日に行われ、駒澤大学が2年ぶり8度目の総合優勝を果たした。出雲、全日本に続いて大学駅伝三冠を達成した。

今大会では、想定外のヒーローも誕生した。育英大学4年の新田颯選手だ。オープン参加の関東学生連合チームの第一走者として往路1区(21.3キロ)を快走、一時は区間賞を取りかねない勢いだった。無名選手でも、箱根で活躍できることを見せつけた。

長身、大きなストライド

往路1区は、全10区間で争われる箱根駅伝の出だしを決める重要区間だ。選手がテレビの実況中継に映る時間も長く、注目度が高い。各大学は準エース級を投入、これまでに数多のヒーローが生まれてきた。

今回は、ややスローペースのスタート。参加20校の有力大学の第一走者は互いにけん制しあい、集団が動かない。その塊からいち早く、1人で抜け出したのが関東学生連合の新田選手だ。長身、大きなストライドで軽快に飛ばす。

同連合は、チームとして出場できなかった大学から、予選会で優れた成績を残した選手をピックアップ、特別編成されている。記録や順位は参考にとどまり、正式にはカウントされない。

そんな「日陰」の存在にもかかわらず、新田選手は精力的にトップを爆走した。10キロ地点では1分以上も、2位集団を突き放す。

ゴール近くになって足にアクシデントがあり、トップを譲ったが、力走ぶりは、沿道はもちろんテレビで観戦するファンを沸かせた。ツイッターでは一時、「新田」「育英大」がトレンド入りした。

自分の大学をしっかり宣伝

育英大学は群馬県高崎市に本部を置く私立大学。2018年に創立されたばかり。全国的な知名度は乏しい。サッカーの強豪校として知られる前橋育英高校などを運営する学校法人群馬育英学園が設置者だ。

新田選手は熊本県出身。中学時代はハンドボールの選手で、陸上競技を本格的に始めたのは高校に入ってからだ。全国大会で活躍することはできなかった。

しかし、日刊スポーツによると、大学に入ってから1万メートルの自己記録を4分も縮めることが出来たという。

同紙のインタビューに新田選手は、競技生活はこれで終わり、と答えている。大学卒業後は「群馬トヨタで営業をしながら、休みの日は育英大のサポートをしたい。群馬トヨタは市民ランナーのマラソンに力を入れていて、そういったところのサポートや仕事を任させている。そこをメインにやる予定」と語っている。

箱根駅伝に出場する大学は、いずれも駅伝の名門校。高校駅伝などで活躍した有力選手をスカウトして戦力アップを図っている。それだけに、大学進学時には、名門大から声がかからなかったという新田選手の活躍は、多くの駅伝ファンにとっても新鮮だった。

新田選手は、走りながら、自分の大学を「しっかり宣伝してやろう」と思っていたという。その思いは十二分に達成された。来年以降、育英大学に進学を希望する高校生ランナーが増えそうだ。

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