『愛と、利と』でヒロインを演じるムン・ガヨンのゾクゾクする演技とは?

韓国JTBCで12月21日から放送中の『愛と、利と』はNetflixでも配信されているが、ムン・ガヨンがクールな演技を披露して注目を集めている。

彼女が演じるアン・スヨンは銀行の窓口係の女性だ。有能で銀行業務もそつなくこなすのだが、大学に行っていないために正規ではなく契約社員になっている。

彼女は、ユ・ヨンソクが演じる係長ハ・サンスの新人時代に業務を指導していた。いわば、ハ・サンスはアン・スヨンのおかげで銀行員としての基礎を学んできたのだが、彼は大卒なのでアン・スヨンより役職が上になった。そのような立場の逆転を何度も経験しながら、アン・スヨンは誠実に仕事に集中している。

ただし、周囲の視線は冷ややかだ。周囲とあまり打ち解けない性格も関係しているが、もう一つ、いつも暗い陰を持っているところも敬遠される原因になっている。

それは仕方がないことだった。アン・スヨンは父親に対する不信感が根強く、絶対に許せないという感情を持っている。それなのに、父親はあえて銀行のそばに食堂を開いて、何かとアン・スヨンに和解の誘いをかけてくるのだ。

こうして『愛と、利と』は、「アン・スヨンの家族問題と職場での立ち位置」と「アン・スヨンとの関係修復に悩むハ・サンスの心理状態」を中心的に扱いながら、「愛と利害はどう結びつくのか」というテーマを描いていく。

それにしても、ムン・ガヨンの感情を抑えた演技が秀逸だ。彼女は『女神降臨』ではラブコメらしい「クスクス笑える」演技を見せていたが、一転して『愛と、利と』ではほとんど笑わず内向的な表情を続けている。また、支店長のセクハラまがいの行為に対しても黙って耐える姿がむしろ不気味であった。

このように、クールすぎる演技を披露しているムン・ガヨンは、『愛と、利と』でさらにどんなふうにゾクゾクさせてくれるのか。それがとても気になる。

文＝大地康