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「私...赤ちゃんができました」――産むことを選んだ少女。「後悔しない・させない」ように生きていく<16歳の母 ~助産師が見た、奇跡の出産物語~>

  • 2023.1.3

16歳で彼氏の子どもを妊娠した少女・紗季(さき)。
助産師が彼女に語った、「若年出産」の現実とは――?

KADOKAWAから発売された『16歳の母 ~助産師が見た、奇跡の出産物語~』(著者:おたんこ助産師、漫画:ふらみんこ)は、産婦人科の助産師として働き始めた主人公と16歳で妊娠した少女、それぞれのドラマを描く産婦人科ヒューマンドラマ漫画だ。妊娠・出産・育児の知識も盛り込まれている。

本書は、Instagramで人気の現役助産師・おたんこ助産師のつぶやきを電子書籍化したもの。

「そういえば生理がきてない」。16歳で妊娠した少女

やっぱり私、浮いているのかな――。

産婦人科で診察の順番待ちをしている時、島津紗季はそんなふうに感じていた。その姿は確かに浮いていて、周りの患者はちらちらと視線を送っていた。紗季が「若年妊婦」だったからだ。

紗季には、中学の時からつき合っている同級生の彼氏(哲くん)がいる。哲くんは、実家の仕事を手伝いながら、夜間の高校に通っている。高校は別々になったが、とても仲よしで、大好きだった。「この人と将来結婚するだろうな......この愛は永遠だ」と、少なくとも紗季は信じていた。

「この人となら...」と思えたので、2人はSEXもしていた。そんなある日、生理がきていないことに気づいた紗季は、妊娠検査をする。結果は陽性だった。

紗季が妊娠したことを知った哲くんは、覚悟を決めた表情で言った。

「ごめん 自分勝手かもしれないけど産んでほしい」
「定時制高校通いながらだけど オレ頑張って働くから」

2人は子どもを産む決意を固める。しかし、シングルマザーとして娘を育ててきた紗季の母親は、「今回はあきらめなさい」と説得をはじめた。哲くんの父親も「お前たちに育児なんかできるわけない」と猛反対。

それでも、2人の意志が固いことを知ると、親たちはしぶしぶ出産を認めてくれた。紗季は16歳で、子どもを産むことになった。

ベテラン助産師が少女に語った「現実」

それから数か月。赤ちゃんは、紗季のお腹の中で順調に大きくなっていた。

一方で、紗季は周りから白い目で見られることも。お腹が膨らんだ16歳の妊婦は、どこに行っても目立ってしまう。学校にも行けなくなり、家族と彼氏以外のつながりがなくなっていく。

そんな中、紗季に温かい言葉をかけてくれたのが、通っていた病院の助産師さんだった。親から厳しい言葉を投げかけられて不安になっていた紗季に、助産師さんは言った。

「あなたが若くして産むことが間違いかどうかなんて 他人が決めることじゃないからね 私は今まで何千人ものお母さんたちに出会ってきたけど 正直大人の中にもいろーんな大人がいるからね 一概に子どもだから大人だからってのは言えないなと思うこともあるわね 頭ごなしに『若いからダメ』って言うなら 大人の中にも一定の基準がなきゃおかしいわ」

ただ、若いゆえのリスクもあるという。思春期はホルモンバランスがまだ不安定で、体調や心がゆらぎやすい。骨盤も発達途中だから、大きくなる子宮を支えきれず、早産や帝王切開になるリスクがある。

そして若さとは関係なく、産まれた後の育児は重労働。授乳・離乳食・おむつがえ・沐浴......ほぼ1日中赤ちゃんの面倒をみることになる。産んでから「やっぱり大変だった」とならないように、産む前からちゃんとイメージしておくことが大事だという。

やがて訪れる出産と育児に対し、紗季は決意を新たにする。そしてついに、その時がきて――。若年出産と、妊婦を支える助産師の現場のリアル。読みながら、生きていく力が湧いてくる。妊娠・出産・育児を経験した人にも、これからの人にも読んでほしい、命をつなぐストーリーだ。

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