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ニューヨークで見つけた、恋人との理想の暮らし。

  • 2023.1.2
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同性愛、離婚約、不倫愛……多様性が謡われる時代だからこそ、愛への考え方やパートナーとの在り方も人それぞれ。8組のさまざまな愛の物語を聞きました。今回はニューヨークに住むおふたりの暮らし方にフォーカス。

ニューヨークで見つけた、恋人との理想の暮らし。

細野まさみ〈ベーカンシー・プロジェクト オーナー/ヘアスタイリスト・33歳〉& Laura Chautin〈アーティスト・29歳〉

愛犬の弁当くん(Bento、4歳)と、ふたりが暮らすイーストビレッジのアパート。「私は自宅かスタジオでひとりで作業する日々だけど、まさみはたくさんの人に会う仕事。だから、彼女がリラックスして、ひとりの時間を持てるように心がけている」と、ローラさん。

ニューヨークのファッション業界で、彼女を知らない人はいないと言っても過言ではないほど絶大な支持を集める、ヘアスタイリスト細野まさみさん。自身がクィアであることをオープンにして、LGBTQ+ に関するトークやディスカッションも積極的に行っている。パートナーは、アーティストのローラ・ シャウテンさん。ふたりはSNSなどでもよく知られている人気カップルだ。

ふたりの出会いは、ローラさんのルームメイトがきっかけだった。まさみさんのことをSNS 知り、ローラさんにぴったりだと感じていたルームメイトから、「明日まさみのヘアカットの予約を入れるから、ついてきなよ!」と、やや強引に誘われた。ヘアサロンで短い会話をして 連絡先を交換したが、その時には、まさみさんはローラさんがレズビアンだとは気がつかなかった。後日マッチングアプリのティンダーで偶然に繋がることとなり、ローラさんがレズビアンであることを知ったのだという。最初のデートは寿司を食べに行ったが、ローラさんは緊張であまり喉を通らなかった。それでも意気投合したふたりは連日会うようになり、3週間後にはオフィシャルのカップルになった。

「ローラはおもしろくて、ジョークをたくさん言うんです。私たちは、すぐに親友になりました。彼女のアートは素晴らしいし、一緒にいて居心地がいい。こんなに毎日一緒にいたいと感じる人に、これまで出会ったことがなかったんです」(まさみさん)「まさみの自信あふれる姿に惹かれたんです。ニューヨークに来て、ここまで人望やキャリアを築くのは、決して易しいことではなかったはず。彼女は一生懸命に努力してきたんだと思います。それに、私のこともいつも励ましてくれる」(ローラさん)

出会いから1年後、ふたりは婚約した。「ローラと付き合って、すぐに結婚したいと感じたけれど、1年は待つことにしたんです」と、まさみさん。プロポーズは京都の友人宅に滞在している時だった。まさみさんは、祖母から母へと受け継がれてきたダイヤモンドの指輪をリサイズて用意。母が、こっそりとまさみさんのバッグに忍ばせてくれたのだという。一緒にお風呂に入っている時にプロポーズしたところ、まさみさんが本気だと思わなかったローラさんは、「うん」と受け流しただけ。「本気で言っているの!指輪も用意したの!」と、バスタブから出て、大慌てで指輪を取りに行った。「気まずくて完璧ではなかった」と笑いながら、当時の様子を振り返る。

婚約の報告に、お互いの家族もとても喜んでくれた。28歳の時に、自分がクィアであると家族にカミングアウトしたまさみさん。家族は和やかに受け止めてくれて、ほっとしたという。一方でローラさんは、20歳の時に家族に告白。母親だけはあまり寛容ではなかったというが、数年後に母から謝罪を受けた。

ふたりは 6月に結婚する予定(取材時は2021年冬)、ドナーから精子を提供してもらい、ローラさんが妊娠する計画だ。「もし健康面で私が妊娠したほうがいいと判断されたら私が妊娠するつもり。ローラが妊娠する場合は、日本人かアジア系の精子を提供してもらいたい」(まさみさん)家族を増やしていく未来を描きながら、あくまでふたりの考え方は自然体。そして、それはアメリカにいるからこそ叶えられるものだ。「何があるかわからないので、あまり気負わず、難しかったらそれはそれでいい。必ずしも結婚して子どもを持つことが大切だとは思いません。私たちはアメリカにいるから、同性同士でも法律的に結婚できて子どもが持てる。日本でも早くそうなるといいですね」(まさみさん)

*「フィガロジャポン」2022年3月号より抜粋

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