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贈答品にもされる「上用饅頭」とはどんな饅頭?他の饅頭との違いは?大福とも違うものなの?

  • 2022.12.31

上用饅頭は、贈答品などにもよくされる饅頭です。 この素朴な味わいの上用饅頭は、古い歴史を持つ和菓子です。

ここでは、この上用饅頭がどのような饅頭なのか、他の饅頭や大福などとの違いについてを見ていきましょう。

「上用饅頭」とは

 

まずは、上用饅頭がどのような和菓子なのかを見てみましょう。

上用饅頭はこんな和菓子

「上用饅頭(じょうようまんじゅう)」とは、すりおろした大和芋・山芋と米粉を用いた皮で、餡を包んだ饅頭です。 薄皮と餡が上品な味わいを生む饅頭として人気です。

素朴でシンプルな饅頭でもありますから、職人の腕前が問われる饅頭ともされます。

この上用饅頭、贈答用としても使われます。 古くから婚礼や祭事など贈答品とされてきました。 妊娠や出産、入学や卒業のお祝いとして贈られる紅白饅頭も上用饅頭の1つです。

生地によって変わる饅頭の名前

饅頭は、生地によって名前が変わることも多いです。 例えば、茶饅頭は生地の色合いから名前が来ているのですが、その生地には黒糖が使用されています。 酒饅頭であれば、お酒を造るのにも用いる「麹」を使う事、そしてできあがると日本酒の香りがすることから来ています。 また、葛饅頭は葛粉、麩饅頭はお麩が材料に含まれています。

元々は「薯蕷」饅頭だった?

 

上用饅頭はもともと「薯蕷饅頭」といったとされています。 ここからは、この薯蕷饅頭について見ていきましょう。

「薯蕷」

薯蕷饅頭の「薯蕷(じょうよ)」とは長芋の別名です。 前述のとおり、上用饅頭の生地にはすりおろした大和芋・山芋が含まれています。 材料となった、この長芋が由来となっているわけですね。

中国から来た僧侶が考えたとされる薯蕷饅頭

上用饅頭の原形は、室町時代に中国・当時の元から来た僧侶が考えたとされています。 その僧侶の名は「林浄因(りんじょういん)」、上用饅頭という名前はこの人物の名前にあやかったという説もあります。

それまでの日本では、饅頭といえば肉入りとされていました。 しかし、林浄因が考案した饅頭は小豆を具とする新しいものでした。 これは、お茶とお供にするのに饅頭が肉入りでは僧侶が口にすることができなかったことから考え付かれたものだったのだとか。 この饅頭が、上用饅頭の原形とされています。

そうして生まれた薯蕷饅頭は、大和芋や山芋が使われています。 薯蕷は本来「じょうよ」と読むのですが、時が経つにつれ読みが「じょうよう」に変化し、表記も「上用」になったとされています。

今でも和菓子屋さんの中には、上用ではなく「薯蕷饅頭」と表記するお店もあるようですよ。

貴重だったから「上用」に変化した?

では、なぜ「薯蕷」が「上用」になったのか。 これは当時使っていた材料が貴重だったことに関係しているそうです。

当時は、砂糖がとても貴重なものでした。 当然、それを使った饅頭も地位の高い人しか食べられなかったわけです。

そこから「上に用いる」と書く上用に変化し、定着したとされています。

大福との違い

 

上用饅頭と似た和菓子、「大福」との違いはどのようなところにあるかを見ていきましょう。

大福に使われている生地

大福もまた、小豆でできた餡を生地で包んだ和菓子です。

大福の場合は、生地に白玉粉や餅粉などを使います。 時には、白玉粉や餅粉に砂糖や水飴を加えて作る「求肥」を生地にすることもあります。

大和芋・山芋と米粉を使う上用饅頭とは生地からして違います。 また、生地の食感も上用饅頭はしっとりしているのに対して、大福はもっちりしていることが多いですね。

大福のはじまり

大福は、饅頭とは異なる歴史があります。

大福が生まれたのは江戸時代とされています。 当時、庶民の食べ物として「鶉餅(うずらもち)」という食べ物が親しまれていました。 この鶉餅を小さくし、代わりに餡に砂糖を加えのが大福の始まりとされています。

砂糖の甘みが加わったことで、江戸の街で生まれた大福は一気に全国に広がったとされています 当時は焼いた大福も販売されていたそうです。

確かに焼いた大福というのも美味しそうですね!

まとめ

上用饅頭は、大和芋や山芋などを生地に用いている饅頭です。 その素朴な味わいは古くから親しまれてきました。 しかし、当時は砂糖などを使っていたことから高級品とされていました。 そのため、もともと長芋の別名である薯蕷を用いていたことから「薯蕷饅頭」と言われていたのが、「上用饅頭」に代わったのだとか。

今でこそ誰もが食べられる饅頭も、かつては地位の高い人しか食べられないものだったのです。

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