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もうすぐお正月。年末に読み聞かせしたい絵本3冊をご紹介

  • 2022.12.29

ちょうど今読むのにいいタイミングの絵本をおすすめする「今日の絵本だより」。過去にwebでご紹介した絵本の中から、年末に読みたい絵本を3冊ご紹介します!

ほしのさんちの おそうじだいさくせん

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『ほしのさんちの おそうじ だいさくせん』 新津春子/原案 もとしたいづみ/文 つじむらあゆこ/絵 ポプラ社 本体1430円

12月も後半に入り、「大そうじ」という言葉が気になる頃になりましたね。 (自分で書いておきながら、ギクッとしますが……。) 今回ご紹介するのは、おそうじが不得意なママにおすすめの一冊、 『ほしのさんちの おそうじ だいさくせん』です。

おそうじが苦手なほしのさんの家に、おばあちゃんが泊まりに来ることになり、 りかちゃんのママは大あわて。 そこへ突然、 「ぼくは カジカジ。そうじなら まかせてカジ!」 と、ぬいぐるみのような緑の生きもの、カジカジが現れました。 「みんなで たのしく そうじしようカジ!」

まずカジカジが教えてくれたのは、出かける前の3分かたづけ。 「さ、はりきって やってみようカジ」 3分間でりかちゃんは、ばらばらのクレヨンをしまって、 ゴミをゴミ箱に捨てました。 たった3分、されど3分。 パパとママも真似をして、ゴルフバッグをしまったり、手紙を整理したり。 3分でも、結構いろんなおかたづけができる。 家族みんなで発見です。

次のお休みの日は、りかちゃんのおもちゃや絵本のおかたづけ。 カジカジは、まず持ちものの「なかまわけ」をすること、 思い出の品は無理に捨てようとせずに、「たからばこ」に入れて 時々見直せばいいこと、を教えてくれました。 こうして、家族みんなで整理整頓やふきそうじをして、 おばあちゃんが来る日には、無事におうちはすっきりきれいに。

このお話の原案は、TVにもよく登場するおそうじのプロで 羽田空港の環境マイスター、新津春子さん。 達人の手ほどきをきっかけに、りかちゃんのように小さい頃から 「きれいになると気持ちいい」を実感できると、お子さんにとっては 一生のおそうじスキルにつながるかもしれません。

新津さんからの読者への言葉も、いいんですよ。 「おそうじは めんどうですよね? それは いちどに ぜんぶを やろうとするから。」 おおお、確かに! 目からウロコです。 さらに保護者の方へのメッセージには、「うーん、おそうじ、……深い!」と 思わずうなってしまいます。

「おそうじを すると、いいことが たくさん。」 新津さんのこの言葉、呪文のように唱えて、 まずは目の前のできるところから、おそうじにのぞみたいと思います!

おしょうがつのかみさま

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『おしょうがつのかみさま』 おくはらゆめ/作 大日本図書 本体1430円

クリスマスが終わったと思ったら、もうすぐお正月。 クリスマスツリーをかたづけたそばから、大掃除、年賀状、他にもお正月準備のあれこれ……。 家族がいるとにぎやかな反面、大人は息つく暇もないこの年の瀬シーズン。 ミッションの多さについつい険しい顔になりがちですが、そんなときこそ、あえての~んびり、ゆ~ったりと、こんな絵本はいかがでしょうか。 先月出たばかりの新刊、『おしょうがつのかみさま』です。

ねこやうさぎがおうちをきれいに掃除して、門松を立てて、玄関で待っています。 「かみさま まだかな〜」 「はやく こないかな〜」 年が明けたら、へびやかめやつる、仲間たちがたくさんやってきました。 「かみさま、もう きた?」 「まだ みたい」 最後にとらがやってきて 「あけまして おめでとう みんなで おもちを たべようぜ」 すると、とらの背中に乗っていたかがみもちが、ぱちっと目を開けて 「ちょいと おまち! わたしが おしょうがつの かみさまなのよ」

えええ? 神様って、おもちだったの? なんて読者の驚きはさておき、みんなは 「わーい! かみさま いらっしゃい」 「まってたよ」 と大喜び。 みんなでついたおもちを食べて、たこあげ、花札、お菓子にテレビ。 「ふーへーほー おせちでも たべようっと〜」 「ふーへーほー すきなだけ ねようっと〜」 みんなそろって、どこまでものんびり、のんびり。 いくつもの 「ふーへーほー」 を声に出して読むたびに、こちらもほどよく力がぬけていきます。

ページを追うごとに眉間のしわがゆるゆるほどけていくような、滋味にあふれた絵と言葉。 おくはらゆめさんの絵本は、いつでも理屈抜きで、のびやかでほっこり。 息を詰めて肩に力が入りがちな子育ての日々に、ひととき、ほうっとよい風を入れてくれます。 そう、みんなで過ごすお正月は、のんびりと、笑顔でいるのが一番ですね。 そうそう、裏表紙には、今年と去年と一昨年の、みんなとかみさまの記念写真が。 最後まで続いているストーリーを、どうぞお見逃しなく。

毎日頑張っている皆様も、たまにはほっと一息ついて。

年の瀬

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『くまのこのとしこし』 高橋和枝/作 講談社 本体1650円

いよいよ年の瀬。 今年最後の「今日の絵本だより」でご紹介する作品はこちら、 『くまのこのとしこし』です。

「もう すぐ ことしも おわりだね」 というおとうさんの言葉に、くまのこはびっくりします。 「ことしが おわるの? おわったら どう なるの?」 「ことしが おわったら、 らいねんが くるのよ」 というおかあさんの言葉に、くまのこはまた驚きます。 「らいねん?」

くまのこには、来年がどんなものかわかりません。 「らいねん」のために家の中をきれいにすると聞き、 自分の部屋のふとんのしわをぴんとのばし、 おもちゃを箱にしまいます。 「らいねん」のためにおめでとうの年賀状を書くと知り、 輪飾りをつくり、画用紙に「おめでとう」と書いてみます。 「らいねん」のためのお買いもの、「らいねん」のための松飾りに、 おせち料理。 「おしょうがつって、らいねんの おたんじょうかいみたいだね」とくまのこはつぶやきます。

クリスマスやお正月よりはちょっぴり地味めな、年越し。 大人は大掃除や新年の準備にてんてこまいだけど、 子どもはちょっと手持ちぶさたで、でもなんだか特別な気配に、 自分も何かお手伝いしてみたくなったり、そわそわしたり。 そんな子どもの目から見た年越しの空気感が、くまのこ一家の様子から、 温かく伝わってきます。

いよいよ、大みそかの夜。 除夜の鐘が鳴って、くまのこはついに「らいねん」と初対面。 その感想は……。 ぜひ、絵本で見てみてくださいね。 そう、子どもって、そうだよね、そうだったなあ、と、しみじみします。 親子で読んだら、お子さんはきっと、くまのこに共感すると思います。

それでは皆様、どうぞよいお年をお迎えください。

選書・文 原陽子さん はらようこ/フリー編集者、JPIC読書アドバイザー。kodomoeでは連載「季節の絵本ノート」をはじめ主に絵本関連の記事を、MOEでは絵本作家インタビューなどを担当。3児の母。

※過去にkodomoe webに掲載された記事の中から抜粋して編集しています。

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