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今だから観たい、さまざまな愛の形。(Maki Saijo)

  • 2015.11.12
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『チョコレートドーナツ』(C)2012 FAMLEEFILM,LLC

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つい先日、日本で初めて渋谷区が同性のカップルを結婚に相当する証明書の交付をスタートさせました。日本でも少しずつ変化が起きているいま、性別を超えた「愛」が描かれた映画をご紹介します。

実話から生まれた、一つの「家族」のストーリー。

カルチャーに造詣が深い美容師さんと最近観て良かった映画の話題になったとき、教えてもらったのが『チョコレートドーナツ』でした。DVDを早速借りて観たのですが、とても心揺さぶられる内容でした。ストーリーは、1970年代に、ニューヨークで同性カップルの男性二人が母親に育児放棄された子供を育てるという実話から生まれたもの。ショーダンサーでその日暮らしをするルディ(アラン・カミング)と同性愛者であることを隠して生きる弁護士のポール(ギャレット・ディラハント)、そして母の愛情を受けずに育ったダウン症の少年・マルコが登場人物。血は繋がっていない、法が許していない、だけど深い愛情で結ばれ幸せな家庭を心から望む三人。現在は、ニューヨークでも同性婚が合法化されていますが、当時は差別や偏見など今より大きな壁があったはず。予想もしなかった結末に、涙が止まりませんでした。「家族」とは一体、何なのか、この映画を通して、改めて考えさせられました。この映画を観てからは、最近観て良かった映画を聞かれたら、『チョコレートドーナツ』と答えています。

『チョコレートドーナツ』

発・販売元/ポニーキャニオン

価格/DVD ¥3,800(本体)、 Blu-ray ¥4,700(本体)

喜び、悲しみ、怒り、初めて味わう究極の愛。

女性と男性が自然に惹かれ合うように、同性同士が愛し合うこともきっとおなじこと。そう思わせてくれた映画『アデル、ブルーは熱い色』。公開当初は過激な描写もあり、問題作としても話題を呼びましたが、全体的に見ると素直に、人間らしさを描いた繊細なラブストーリーという印象を受けました。高校生のアデル(アデル・エグザルコプロス)は、すれ違っただけのブルーヘアのエマ(レア・セドゥ)に一目で魅了。男性と関係を持っても何か足りないと感じていたアデルが、エマと知り合っていくことで、初めて人を愛することを覚えていきます。驚いたのが、この映画、ラストシーンまで一切BGMが流れません。二人の心情、特に「アデルの恋」にフォーカスされています。相手が、男性だろうが、女性であろうが、子供であろうが、大人であろうが、全力で愛することが人を一回り大きくさせることを教えてくれる名映画です。

同性婚したトム・フォードのメッセージが詰まった傑作。

『シングルマン』(09)は、一言で表すとただただ美しい映画。1960年代のカリフォルニアを舞台に美しい衣装やインテリアをはじめ、どのカットを切り取っても、まるでファッション広告のよう。それもそのはず、この映画の監督はファッション・デザイナーのトム・フォード。彼自身、昨年、27年間をともにしたパートナーと同性婚したことでも話題になりました。27年間も人生をともにする関係に、深い愛情なくしては成り立ちません。『シングルマン』では、長年暮らした最愛の恋人を亡くし、生きる意味を見失った大学教授のジョージ(コリン・ファース)が死を決意した最期の一日が、恋人との回想を交えながら描かれています。同性愛者が抱える苦悩は計りしれず、これは私たちが昔から直面してきた古くて新しい問題。このことも含め、トム・フォードは自身の立場と置き換え、映画を通して偉大な愛とは何かを伝えたかったのではないでしょうか。

参照元:VOGUE JAPAN

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