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給与からの天引きは「なぜ」引かれているのか【今すぐ給与明細をチェック】

  • 2022.12.24
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給与明細を見てみると、会社から支給された給料の総額からさまざまなものが天引きされていることがわかります。天引き前の「額面」と天引き後の「手取り」の金額差に、驚いたことがある人も多いのではないでしょうか。

この記事では、天引きはなぜ行われているのか、何が天引きされてどう使われているのか、簡単に解説します。

■給与明細をチェック!何が天引きされている?

給与から天引きされているものやその金額は、本人の勤務先や収入、家族構成、年齢などによって違います。自分の給与天引きの状況を知りたいならば、給与明細の「控除(差し引くもの)」の欄や源泉徴収票などをチェックしてみましょう。

たとえば、以下のような税金や社会保険料などが天引きされています。

●税金

・所得税:個人の所得にかかる税金。国に納付する。
・住民税:「都府県民税」と「市町村民税」を合わせたもの。住んでいる自治体に納付する。

どちらも、教育や福祉といった行政サービスの提供、道路や公園といった公共施設の整備などに幅広く使われています。

●社会保険料

社会保険とは、以下の4つのことを指します。

・健康保険
・厚生年金保険
・雇用保険
・介護保険

いずれも「保険」と名の付くとおり、もしものときに支えになる制度です。これらの公的保険に加入していれば、病気やケガで多額の医療費がかかったとき、勤務先を退職したとき、老後を迎えたときなどに、お金を受け取ったり負担を軽減できたりします。

●会社の財形や労組

企業が独自に定めたルールや自分の意思によって天引きされる、以下のようなものもあります。

・財形貯蓄の積立金(将来に備えて非課税で貯蓄できる制度)
・労働組合の組合費
など

これらは税金や社会保険料と違い、勤務先によっては制度自体が存在しない場合もあります。

■税金や社会保険料はどうして引かれないといけないのか

税金は、いくら「払いたくない」と思っていても納める義務があります。国の維持・発展に欠かせないものなので、日本国憲法で「納税の義務」が定められているのです。社会保険も、民間の保険のように自分で加入するかどうか決められるものではなく、条件を満たせば必ず加入しなければいけません。

自営業者やフリーランスなどは自分で税額を計算し、確定申告を行って納税します。しかし、会社員は、経理などの担当部署が代わりに年末調整の手続きを行ってくれます。

自分で支払いや納税を行わない分、給料から差し引かれているのです。天引きされた税金は、源泉所得税として勤務先が本人に代わって納税しています。

●天引きされない方法はある?

先述のとおり、納税は義務なので逃れられません。納税手続きを会社に任せられるという点では、メリットもあります。

一方、財形貯蓄のように自分の意思で天引きをやめられるものもあります。労働組合など企業が独自に定めているものについては、強制加入になっている場合もありますし、自分で脱退して支払いをやめられる場合もあります。勤務先の就業規則や労働協約などを確認してみましょう。

■まとめ

税金や社会保険料は基本的に、従業員の代わりに勤務先が手続きして納めることが義務付けられています。そのため、自分の意思で天引きをやめることはできません。一方、財形貯蓄のように天引きする金額ややめる時期をある程度自分で決められるものもあります。

まずは自分の給与明細や源泉徴収票を見て、何がいくら天引きされているのか、一度じっくりと確認してみましょう。

文・馬場愛梨(ばばえりFP事務所 代表)
関西学院大学商学部卒業後、銀行・保険・不動産などお金にまつわる業界での勤務を経て、独立。自身が過去に「貧困女子」状態でつらい思いをしたことから、むずかしいと思われて避けられがち、でも大切なお金の話を、ゆるくほぐしてお伝えする仕事をしています。AFP資格保有。

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