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【人型の不思議なクッキー】クリスマスシーズンになると現れるジンジャーマンとはどんな存在??

  • 2022.12.23
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クリスマス時期になるとかわいらしい人型のクッキーを見かけますよね。 このクッキーの名前は「ジンジャーマン」もしくは「ジンジャーブレッドマン」といい、その名の通りジンジャー(ショウガ)入りのクッキーとなります。

では、なぜ生姜入りのクッキーをクリスマスシーズンに食べるのでしょうか!? そしてなぜ人型をしているのでしょうか? その理由やジンジャーマンに関する昔話をご紹介します。

ジンジャーマンってなにもの?

 

ジンジャーマンはお菓子として食べられるだけでなく、クリスマスツリーに飾られている場合があります。 ツリーに飾る際は杖とセットとされており、ジンジャーマンの側には一緒に杖をかたどったクッキーや飴が飾られることが多いです。

由来はペスト対策?

ジンジャーマンの歴史は古く、16世紀にイギリスで生まれたとされています。

この時代のイギリスでは、長年ペストの被害に悩まされていました。 そんな中、当時のイギリス王「ヘンリー8世」は、ショウガにはペストの予防効果があると聞いたことから広めていったとされています。

丸っこい人型をしているのは、子供をかたどったとも、太り気味だったヘンリー8世の体型をイメージしたともいわれています。

ヘンリー8世って?

ヘンリー8世はイギリスで最も有名な人物の一人、女王・エリザベス1世の父親です。 エリザベス1世はスペインの無敵艦隊を破り、イギリスの最盛期を築いたことで有名ですが、父親であるヘンリー8世はそれほど知名度は高くありません。

ヘンリー8世はラテン語・フランス語・スペイン語を巧みに操り、芸術に関しても造詣が深かったことから、歴代のイギリス王の中で最も教養深い人物とされています。 イギリスの宗教改革を推し進めた人物でもあり、ローマ教会からの離脱もしています。

クリスマスのために保存期間を長くする必要があった?

 

日本でクリスマスと言うとクリスマス・イヴとクリスマスの2日間というイメージが強いですが、欧米では待降節(アドベント)と呼ばれる11月末から年明けの1月6日までの長い期間続く長い行事です。 そのためデコレーションには日持ちする工夫が必要だったとされています。

そこでジンジャーマンクッキーには、ショウガをはじめ様々なスパイスを加えることで傷みにくくしていたとされます。

冬の寒さを乗り越えるため?

 

クリスマスは、冬至のお祭りにキリストの降誕を祝う行事が結びついたものとされます。 そのため、寒い冬を乗り越えるために体を温める効果があるとされるショウガを摂取するようにしたのがはじまりともいわれています。

日本では冬至にかぼちゃを食べて、ゆず湯に浸かることで風邪予防をするという風習がありますが、それと似たような感覚でヨーロッパでは行っていたのかもしれません。

民話で伝わるジンジャーマン

 

クリスマスデコレーションや、クリスマスのクッキーとして知られるジンジャーマンクッキーには、民話が伝わっていますのでご紹介します。

ジンジャーマンの物語

むかしむかし、おばあさんがジンジャークッキーを作ろうとショウガを混ぜた小麦粉の生地をこねて、男の子の形に切り取ってオーブンで焼き上げました。 焼き上がったか確認するためにおばあさんがオーブンを開けると、ピョンとオーブンの中からなにかが飛び出してきました。

なんと、飛び出してきたのは男の形にしたジンジャークッキーでした!!

飛び出したジンジャークッキーの男の子は、そのまま勢いよく外に飛び出していきました。 おばあさんは慌てて捕まえようとしますが、すばしっこいジンジャークッキーの男の子は捕まりません。 「はしれ!はしれ!ぼくは捕まえられないよ!ぼくはジンジャーマンさ!」 そう歌いながらおばあさんから逃げるジンジャークッキーの男の子。&

更に逃げる途中でジンジャークッキーの男の子を見つけた牛や馬も捕まえようと追いかけてきますが、それでも悠々とジンジャークッキーの男の子は逃げ続けます。

しかし、逃げていった先にあったのは川。 小麦粉でできたジンジャークッキーの男の子は濡れるわけにいきませんので、その先に進めなくなってしまいました。 後ろに戻ろうにも、おばあさんや牛に馬が追いかけて来るので戻ることもできません。

そんな困っているジンジャークッキーの男の子にキツネが声をかけてきました。 『僕の背中に乗りなよ、川を渡ってあげるよ』 それはステキな提案だったので、ジンジャークッキーの男の子はすぐにキツネに飛び乗りました。

キツネに乗って川を渡りますが、次第に川は深くなりキツネの背に乗っていても濡れてしまう恐れが出てきました。 キツネは『じゃあ、僕の頭に乗りなよ』と提案してきたのでジンジャークッキーの男の子はすぐさまキツネの頭に飛びつきました。 キツネは更に川を渡っていきますが、どんどん川は深くなっていきます。 このままでは濡れて溶けてしまうとジンジャークッキーの男の子が思っているところに、キツネは『鼻先に乗るといいよ』と声をかけてきました。

キツネの提案に従って鼻先にジンジャークッキーの男の子が向かった瞬間のことです。

キツネは口を大きく開けてカブリ! ジンジャークッキーの男の子の体を半分食べてしまいました。 「ああっ」と後悔してももう遅く、キツネは再び口を大きく開けるとガブリ!としてしまったのです。

おばあさんから逃げ、誰も捕まえられないと歌っていたジンジャークッキーの男の子ですが、こうしてあっけなく終わりを迎えてしまったのでした。

キツネに騙されて悲惨な最期を迎えるジンジャークッキーの物語ですが、さまざまなバリエーションがあり、中にはジンジャーマンを騙すのが他の動物になることもあるそうです。

まとめ

発案者ともいわれるイギリスの王様をデザインしたとされるジンジャーマン。 民話で語られているように、親しみのある存在でもありました。

ショウガが入っているので体が温まるとも、風邪予防にもなるとされるジンジャーマンクッキーは冬を乗り越えるのに非常に手助けになる存在だったようです。

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