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アメリカ人が憧れる「風変わりな街」。ポートランドって、どんなところ?

  • 2022.12.21

アメリカの西海岸オレゴン州にあるポートランドは、これまで国内の住みたい街や環境にやさしい街などのランキングで上位に入ってきた、多くの人の憧れの街。この街には、こんなスローガンが掲げられている。

「Keep Portland Weird(風変わりな街でいよう)」

風変わりな街って、いったいどんな街? 『好きなことして、いい顔で生きていく 風変わりな街ポートランドで、自分らしさを貫く15の物語』(イカロス出版)で、ポートランド在住のライター・東リカさんがその魅力を伝えてくれている。

本書の表紙になっているのは、非営利団体「ウィアード・ポートランド・ユナイテッド(Weird Portland United)の記念写真〈Spirit of Portland(ポートランドの精神)〉。バグパイプ吹きに豪華なドレス、人形、人魚、銀色の肌? 振り切った"風変わりさ"が目に飛び込んでくる。

東さんの語るポートランドの一番の魅力は、「『そのままでいいよ』と個性を受け入れる度量の深さ」。名声やお金につながらないことでも、人目を気にせずやりたいことを選びやすい環境のため、幅広い働き方が実現されているのだという。

本書で紹介されているのは、ポートランドの価値観を体現するような、"風変わり"な生き方をする人々の15のエピソードだ。

世界最高齢の現役ドラァグクイーン

ポートランドの人々が思い浮かべる街の代表が、「世界最高齢の現役ドラァグクイーン」としてギネスブックにも登録されている、ダーセル15世さんだ。彼女が経営・出演する「ダーセル15世ショープレイス」は、アメリカでもっとも長く営業を続けているドラァグ・キャバレーであり、2020年にはアメリカ合衆国国家歴史登録財にも指定されたという。

ダーセル15世さんは、どんな人生をたどってポートランドのドラァグクイーンになったのか? その生い立ちが本書で紹介されている。

表紙でバグパイプを担いでいるのは、火を吹くバグパイプを演奏しながら一輪車に乗るパフォーマーのユニパイパーさん。ポートランドのマスコット的存在だそう。衣装は、下の写真の「ウォーリーをさがせ!」シリーズのウォーリーをはじめ、『スター・ウォーズ』のダース・ベイダー、ティラノサウルスなど50着を超えるという。

サラさんとブライアンさんは、「アンセトリング・トイズ(不気味なおもちゃ)」というサービスを立ち上げた。さまざまな理由で捨てられないおもちゃを集め、欲しい人に、そのおもちゃのストーリーとともに届けるという試みだ。

子ヤギが放し飼いされているスペースにヨガマットを敷いておこなう「ヤギヨガ」は、ポートランド在住のレイニー・モースさんが、離婚・病気・失業などを乗り越えて考案した「幸せな気晴らし」。癒し効果絶大と、アメリカ中で人気を集めた。

どんなに"風変わり"でも、好きなことをめいっぱいして自分らしい人生を楽しんでいる、ポートランドの人々。その生き方を知ると、「ここまでやっている人がいるなら、自分も何かできるかも」と前向きな気持ちがもらえるはずだ。

本書では、15のエピソードを「好きなことが変で周りに言えない」、「好きなことが見つからない、見つけたい」、「今のキャリア・環境を変えようか迷っている」という3つのお悩み向けに分類して収録している。もし周りに生き方の悩みを抱えている人がいたら、「ポートランド、いいかもよ」と教えてみては。

●目次
グラビア(プロフィール)
はじめに

【1】好きなことが変で周りに言えない
・最高齢の現役ドラァグクイーン
Darcelle XV(ダーセル15世)
・猫への愛が止まらない癒し系ラッパー
iAmMoshow The Cat Rapper(アイアムモーショウ・ザ・キャットラッパー)
・水中と陸地を行き来するプロの人魚
Una The Mermaid(ウナ・ザ・マーメイド)
・不気味なおもちゃの養子縁組サービス
Unsettling Toys(アンセトリング・トイズ)
・謎の巨人「ビッグフット」博物館長
Cliff Barackman(クリフ・バラクマン)

【2】好きなことが見つからない、見つけたい
・奇妙なポートランドのマスコット
The Unipiper(ザ・ユニパイパー)
・機知に富むマルチなドラァグクイーン
Poison Waters(ポイズン・ウォーターズ)
・夜のお仕事専用ミール・デリバリー創業者
Nikeisah Newton(ニキーサ・ニュートン)
・巨漢のサーカス団長&パフォーマー
Jon Dutch(ジョン・ダッチ)
・リャマとアルパカの癒しを提供する「リャマ・ママ」
Shannon Joy(シャノン・ジョイ)

【3】今のキャリア・環境を変えようか迷っている
・アート体験キュレーター
Strawberry Pickle(ストロベリー・ピクル)
・ユニークなお酒を造るディスティラー
Andy Garrison(アンディ・ギャリソン)
・プラトニックな抱擁を販売するプロのカドラー
Samantha Hess(サマンサ・ヘス)
・学術的アプローチでお酒や蜂蜜をつくる職人
Lee Hedgmon(リー・ヘッジモン)
・ヤギヨガ旋風を巻き起こした起業家
Lainey Morse(レイニー・モース)

おわりに

■東リカさんプロフィール
ひがし・りか/ポートランド在住のフリーライター・マーケティングリサーチャー。オレゴン大学への交換留学をきっかけに、2000年から約2年間ポートランドで暮らす。日本、ブラジルでの広告·出版業界勤務を挟み、2014 年末から再びポートランド在住。フリーランスとして多様な人々を取材し、日本語で現地情報を提供している。得意分野は、カルチャー、ライフスタイル、グルメ、旅行、アート、サステナビリティなど。

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