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「自分が正しい」「あなたは間違っている」...。ツイッターは、最も身近な「戦場」かつ「正義の教室」だった!

  • 2022.12.21

2022年12月13日、坂爪真吾さんの新刊『ツイッターで学ぶ 「正義の教室」』(晶文社)が発売された。

坂爪真吾さんは、風俗で働く女性のための無料の生活・法律相談窓口「風テラス」理事長で、社会的な切り口で現代の性問題の解決に取り組んでいる。

本書は、自身もNPOの情報発信のために日々ツイッターを利用しているという坂爪さんが、ツイッターの世界を「正義を学ぶための最も身近な教室」と位置付け、これまでの経験で学んできた「他者と対話していくノウハウ」を詰め込んだ1冊。

一歩間違えれば炎上...戦場と化したツイッター

坂爪さんは、ツイッターを次のような特徴を備えた場所であると指摘している。

【ツイッターの特徴】
①正確さに欠けるが
②人々の感情に強く訴える情報が
③単純化されて
④ものすごい速さで広まっていく世界

こうした環境では、誰もが炎上に巻き込まれるリスクがあり、無名の人であっても、中学生であっても、うかつな投稿をした瞬間、数百人~数万人から叩かれて炎上してしまう可能性がある。そんなSNS上のトラブルを回避するためのノウハウ本は、すでに数多く刊行されている。

しかし、坂爪さんは「危険を過度に恐れるあまり、SNSで自分の意見を発信することに及び腰になったり、話題になっている事件や困っている人になるべく関わらないようにすることは、必ずしも正解ではない」としている。

ただトラブルを避ける方法を学ぶだけでなく、大事なのは、リスクをふまえて批判や炎上を恐れず、自分が正しいと思う主張を堂々と発信していくことだという。

正解のない世界で生き抜くためのキーワード「メタ正義」

では、具体的にどうすればいいのか。坂爪さんによると、対話に必要なのは「メタ正義」という概念だという。

みんなが正義だと考えているものは何か。自分は何を正義だと考えているのか。そうしたことを俯瞰的に捉え直したうえで、今必要な正義のあり方を構想する力。これが「メタ正義」だ。「メタ正義」を身につけることができれば、ツイッターという戦場にあふれる様々な正義を冷静に観察して、よりマシな正義を選ぶため、あるいはダメな正義を選ばないための基準を持つことができる。(「はじめに」より)

自分にとっての正義が、ある人にとっては正義でないこともある。「自分と異なる正しさを掲げる他者と対話」するノウハウを伝える本書は、そんな複雑な世の中を生きていくための必読書だ。

【目次】
はじめに
第1章 ツイッターにあふれる「こどもの正義」
1-1 正義って、「間違い探し」なの?
1-2 他者を裁いていいのは、自分が裁かれる覚悟のある人だけ
1-3 正義って、「悪者探し」なの?
1-4 怒ることは、正義なの?
1-5 正義って、「復讐」なの?
1-6 正義って、「誰かのため」なの?
1-7 正義って、「好き嫌い」なの?
1-8 正義って、二択なの?
1-9 データがあれば、正義なの?
1-10 社会のせいにすることが、正義なの?
1-11「こどもの正義」と「おとなの正義」の違い
第2章 「おとなの正義」のつくり方
2-1 「正義のコスト」は、誰が払うの?
2-2 正義と正義のぶつかり合いは、なぜ起こるのか?
2-3 対話する力を身につけるための言葉
2-4 空気に踊らされないスキル
2-5 空気をつくるためのアウトプット
第3章 「正義」を使いこなせるおとなになるために
3-1 「正義の道場」としてのクラウドファンディング
3-2 正義のリスク管理......自分のつくった「正義」に振り回されないために
3-3 まとめ:「わたしの正義」が社会を変える
あとがき

■坂爪真吾さんプロフィール
さかつめ・しんご/1981年新潟市生まれ。NPO法人風テラス理事長。東京大学文学部卒。脳性まひ・神経難病等の男性重度身体障害者に対する射精介助、風俗で働く女性のための無料の生活・法律相談窓口「風テラス」の運営など、社会的な切り口で現代の性問題の解決に取り組んでいる。著書『性風俗サバイバル』『情報生産者になってみた』(共にちくま新書)、『「許せない」がやめられない』(徳間書店)など多数。

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