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ドキュメンタリー好き・佐久間宣行、忘れられないあのシーン。『ザ・ステアケース 〜階段で何が起きたのか〜』

  • 2022.12.19
『ザ・ステアケース ~階段で何が起きたのか~』イメージイラスト

容疑者の義理の妹が法廷で怒りの陳述をするとき

まず驚くのは、どうしてこんなところまで撮れているのだろう、ということ。裁判の様子はもちろん、弁護士との打ち合わせ、家族の間で交わされる会話、刑務所での面会、些細な電話に至るまで、ありとあらゆるシーンが映像に収められていることが不思議でならないんですよね。

焦点が当たるのは、2001年に作家のマイケル・ピーターソンの自宅の階段で妻が命を落とした出来事について、それが事故死なのか、マイケルによる殺人なのかという一点。一見善良な夫であり父親であった彼を追いかけていくと、ある男性との秘められた関係や過去の事件が明かされていき、話が二転三転していくんです。

『ザ・ステアケース~階段で何が起きたのか~』

フィクションでも出来すぎなほど、どんでん返し続きなのですが、何より強烈なのが、明らかになった事実によって彼の犯行を確信した義理の妹のキャンデスが、長年の闘争を経て法廷でマイケルを罵倒するこのシーン。

彼女からしか放たれ得ない迫力ある言葉の数々に圧倒されるとともに、「映画はピーターソンのプロパガンダです」の言葉は、私たちが観ているこの映像の正当性すら揺るがしてしまうんです。どんな家族にも秘密や確執はありますが、その極北にある地獄を見ましたね。

『ザ・ステアケース ~階段で何が起きたのか~』イメージイラスト

Information

『ザ・ステアケース〜階段で何が起きたのか〜』

2001年、ミステリー作家のマイケル・ピーターソンが妻を殺害した容疑で逮捕されたことを契機にしたドキュメンタリーシリーズ。遺体が発見されたのは、自宅の階段下。マイケルは転落死を主張するのだが、過熱するマスコミ報道や度重なる裁判を通じて、彼の私生活と人間性が少しずつ明かされていく。現在13話までが配信されており、製作期間は17年にも及ぶ。Netflix独占配信中。

profile

佐久間宣行(TVプロデューサー)

さくま・のぶゆき/『ゴッドタン』『あちこちオードリー』等を担当。YouTubeチャンネル『佐久間宣行のNOBROCK TV』も。

Twitter:@nobrock

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