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大掃除や片付けがメンタルに与える3つの影響 モチベーションを高める対処法も【臨床心理士解説】

  • 2022.12.16

早いもので今年が終わるまであと少し。年末年始といえば、大掃除や片付けをして新しい年を迎えたいという人が多いのではないでしょうか。大掃除や片付けをすることは、身の回りがキレイになるだけではなく、実はメンタルヘルスにも意外な影響が。大掃除や片付けが心理状態に与える影響を心の専門家・臨床心理士が解説します。

掃除や片付けがもたらす、意外な影響とは?

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1.自分のことも相手のことも大切にできる

アメリカの犯罪心理学者であるジェームズ・ウィルソン氏とジョージ・ケリング氏が提唱した理論に【ブロークン・ウィンドウズ現象】と呼ばれるものがあります。最初は小さい違反や犯罪だったことが、それを放置することでそこにいる人たちのモラルの低下や犯罪の増加を促してしまうということです。これを自分の家の片付けや大掃除に当てはめてみると、最初はそんなに散らかっていなかったとしても、それを放置していることで、どんどん部屋が荒れていく。そしてそういった習慣は自分の心身や人間関係にも影響する可能性が。例えば、自分の中の小さな不調を放っておいたことで大きな病を引き起こす、相手へのあいさつやコミュニケーションに気を配らないことで気づいた時には大きな亀裂が入るなど。小さな乱れは放置せずに対処することの大切さは、片付けや大掃除に限らず生き方にも必要なようです。

2.ウェルビーイングを高める

ミネソタ大学カールソン経営大学院のキャスリーン・D・ヴォースとジョセフ・P・レッドデン博士は、整頓された環境と整頓されていない環境がそれぞれ個人に及ぼす影響を明らかにするための実験を行いました。その結果、整頓された環境の中にいる人は、慣習的で健康的な選択をしたり、ウェルビーイングが高まることが明らかになったそう。最近心身のバランスを崩しがちだと感じるのであれば、部屋の中を見直してみる必要がありそうですね。

3.作業の正確性がアップ

ナバラ大学のリカルド・マテオらが行った、作業環境の整頓状況が個人の作業の正確さに及ぼす影響についての研究によると、散らかった環境よりも整頓された環境の方が、正確に作業を進めることができるということが明らかに。例えば、仕事のクオリティを高めたい、テストで良い結果をもたらしたいといった気持ちがあるのであれば、整理整頓は欠かせないものでありそうです。

掃除や片付けに踏み切れない理由と対処法は?

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掃除や片付けには心身ともにメリットが多い一方で、「モチベーションが高まらず、なかなか動き出せない」「片付けや大掃除するのが苦手」といった声を聞くことも。そうした場合に試してみたい思考や行動を心理学的に解説します。

報酬を用意する

目標が「片付け・大掃除で部屋をキレイにし、環境を整える」だとあまりやる気にならないという人は、片付けや大掃除をすることで自分に得があること(報酬)を目標としてみてはどうでしょうか。例えば、片付けや大掃除の中で出てきた不用品を売ってお小遣いにするというのは、まさに報酬ですよね。自分の中で気持ちが高まりそうな報酬を考えてみましょう。

目標を細分化してハードルを低く

大掃除や片付けと聞くと、『家の中のあらゆるところがピカピカで整っていなければいけない』という思考になっていませんか?例えば、SNSや片付け本などで見るようなキレイで整った部屋を目標にしたとして、自分の家の状態とのギャップが大きければ大きいほど、ハードルの高さを感じ、片付けや掃除へのモチベーションを下げてしまう原因になりかねません。そうならないために、まずは目標を細分化してみましょう。例えば、『今日はクローゼットのここのエリアに取り組んでみよう!』『今日は○分でできる範囲でお風呂場を掃除してみよう』といった感じです。小さい目標から取り組み、最終的に憧れのお部屋を近づいていけると良いですよね。

片付けなければいけない状況を作る

掃除や片付けについて、『何か目標や目的がないとやる気にならない』といった声が聞かれることがあります。そんな時は、強制的に片付けなければいけない状況を作ってしまうのもアリです。例えば、自宅でホームパーティーを開く(人を家に呼ばなければいけない状況を作る)、不用品の回収にきてもらう日をあらかじめ設定しておくなど。期日を作った途端に、やらなければいけない優先度が高くなります。

どうしても難しい時は、思い切ってプロの力を借りても良いかも
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自分で掃除や片付けをするのが難しい時は、思い切ってプロの力(業者など)を借りるのも良いと思います。苦手だけど頑張って取り組む。でもうまくいかず、『また掃除や片付けができなかった……』という失敗体験を重ねてしまうと『私に掃除や片付けは向いていないから、部屋はずっとこのままなんだ』という思考に陥り、掃除や片付けへの苦手意識がますます高まってしまいます。【餅は餅屋】という言葉のとおり、得意な人にお願いして、自分は違うことに注力するという選択肢もありかも。また、プロにお願いすることのもうひとつのメリットとして、プロのやることがロールモデル(お手本)となり、自分で掃除や片付けをする時のヒントになるかもしれないとったことも考えられます。自分に合う方法をえらび、気持ちよく新しい年を迎えましょう。

【参考・引用文献】

Mateo, R., Roberto, H. J., Jaca, C., & Blazsek, S. 2013 Effects of tidy/messy work environment on human accuracy. Management Decision, 51, 1861-1877

Vohs,K. D., Redden, J. P., & Rahinel, R. (2013). Physical Order Produces Healthy Choices, Generosity, and Conventionality, Whereas Disorder Produces Creativity. Psychological Science, 24, 1860- 1867.

片付け行動の心理学的研究―青年期後期と成人期初期を対象とした研究― 2021 目白大学心理学研究

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