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「スキルも経験も申し分ないのに…」せっかくこぎつけた最終面接で、まさかの「不採用」になる人の共通点

  • 2022.12.15

転職の最終面接では、どんなポイントが見られているのだろうか。転職エージェントの森本千賀子さんは「求められているスキルの要件を満たし、1次・2次面接で高い評価を受けて最終面接に進んでも、そこで不採用になってしまう人は少なくない。最終面接の判断ポイントは、1次や2次面接とは大きく違う」という――。

面接を受けている女性
※写真はイメージです
最終面接は「もう内定したも同然」ではない

1次・2次面接で話が盛り上がったり、高く評価されたりした状態で最終面接に進むと、「もう内定したも同然。最終面接は役員との顔合わせ程度だろう」と思う人も多いようです。

ところが実際には、最終面接で不採用を言い渡されるケースは多数あります。くれぐれも油断せず、面接の準備を行いましょう。

まず、1次・2次面接と最終面接の違いについて理解しておいてください。

1次・2次面接の相手は、多くの場合、人事担当者+現場担当者(配属予定部署の上長)です。

ここでは主に、次のポイントが見られています。

●採用ポジションの業務を遂行できる経験・スキルを持っているか
●採用ポジションの業務経験が乏しくても、早期にキャッチアップできるポテンシャルを持っているか
●配属予定のチームの雰囲気になじめそうか(チームメンバーと良好な関係を築けそうか)

一方、最終面接の相手は、中小規模の企業であれば社長や役員、大企業であれば事業部門長などです。このクラスの方々は、細かなスキルマッチ、チームレベルでのカルチャーマッチではなく、次の視点で応募者を見極めようとしています。

●組織全体にどのようなプラスの影響を与えてくれるか
●中長期的に会社の成長を支えていける人物か

特に中小ベンチャーやスタートアップなどの場合、比較的少人数で運営していく分、一人ひとりのメンバーの影響力が大きくなります。

現場の上長が「とにかく忙しくて人が足りないから、即戦力となる人にすぐにでも入社してほしい」と考えていたとしても、経営陣の視線は少し先の未来に向けられていることが多いのです。

最終面接で不採用になったAさんのケース

では、経営陣が「期待できない」「任せられない」という判断を下すのは、どんな応募者なのでしょうか。

実際に、最終面接で不採用になったAさん(30代後半)のケースをご紹介しましょう。

社長との最終面接で不採用に

Aさんには、大手企業やベンチャーなど複数社での勤務歴があります。管理部門のさまざまな業務を経験しており、最近ではカスタマーサポート部門でマネジメントも手がけていた方です。

Aさんが応募したのはX社。急成長を遂げ、「上場」も視野に入った段階のベンチャー企業です。

事業が拡大し、組織や職種の細分化も進んでいたX社では、多様なポジションでの採用を行っていました。どんな経験を持つ人が応募してきても、何らかの「当てはまるポジション」があるような状態です。

幅広い経験を持つAさんも、いずれかのポジションで活躍できることを期待され、書類選考~1次面接を通過しました。

ところが、社長との最終面接で不採用となってしまったのです。

「何でもやります」が「自分の意思がない」と判断された

社長はAさんの採用を見送った理由を、こう語りました。

「自分の意思がない人だね。いずれはチームリーダー、マネジャーとして活躍してほしかったけれど、ちょっと任せられるイメージが持てないな」

Aさんはもともと、強く自己主張しないタイプの方。X社の面接では、「配属先・担当業務の選定はお任せします」「私にできることであれば、アサインいただいた業務で頑張ります」というスタンスで受け答えをしたのです。

もちろん、企業によってはAさんの「何でもやります」的なスタンスを歓迎し、採用することもあるでしょう。しかしX社の社長は、「私はこの会社でこれをやりたい、これを実現したい」という意思がない人は、メンバーや組織の成長を引っ張っていけない、と考えたのです。

女性に多い「“受け身”の姿勢で評価ダウン」

なお、私が知るスタートアップやベンチャー企業の社長の多くは、X社と同様の考えを持っています。

つまり、どんなに豊富な経験や高度なスキルがあっても、「受け身」の姿勢では評価ダウンにつながってしまうのです。

言い換えれば「本気」「覚悟」を感じられない。本気で会社の成長を目指している経営陣の目には、頼りなく映ってしまいます。

実は、女性にはAさんと同様のタイプの方が多く見受けられます。それは、「謙虚」「柔軟」という良い面もあるものの、採用選考においては裏目に出てしまう可能性もあることを理解しておいてください。

採用と不採用の間に引かれた線
※写真はイメージです
自分の目標やビジョンを考える

これらを踏まえ、面接対策のポイントを押さえておきましょう。

まず、1次・2次面接では自身の経験・スキルの強みを伝えられるように整理・言語化しておくことが大切。しかし最終面接に臨む際には、自分自身の「WILL」=「自分はこの会社で何を成し遂げたいのか」「自分はどうなりたいのか」といった目標やビジョンを考えておくことをお勧めします。

ただし、注意も必要です。「WILL」を持っている人は成長可能性を感じられますが、それに固執し過ぎると逆に警戒されます。

「私はこれがやりたいので、それ以外のことはやりません」といったような印象を与え、強いこだわりを見せてしまうと、それはそれで採用を見送られてしまうことになります。人数が限られているベンチャー企業では、担当範囲外の業務にも柔軟に、臨機応変に対応していく姿勢が求められるからです。

「WILLを持ちつつ、状況に応じて柔軟に対応する。変化も受け入れ、新しいことにチャレンジする」

そんなマインドを持てば、採用される可能性は高まります。

「理念への共感」も重視される

「WILL」を語れるようにしておくことと同時に、コーポレートサイトなどを見て確認しておきたいのが、応募先企業が掲げる「理念」です。

近年は、「パーパス(存在意義)」「ミッション/ビジョン/バリュー」などとして表明する企業も多いですね。

これらを、社会に向けた「ポーズ」「建前」などと捉えている方もいらっしゃいますが、成長力が高い企業の経営陣ほど、「理念」「パーパス」「ミッション/ビジョン/バリュー」にこだわりを持ち、大切にしているものです。

採用選考において最重視するポイントとして「自社の理念に共感してくれる人」と明言する社長も少なくありません。

最終面接前には、会社の「理念」「パーパス」「ミッション/ビジョン/バリュー」を改めて理解し、自分がそれに共感できるかどうかを考えてみましょう。

できれば、これまでの自身の経験の中で、応募先企業が大切にしている理念や行動指針を体現していたことを振り返り、具体的なエピソードとして語れるようにしておいてください。

以上、女性が最終面接でつまずきやすいポイントをお伝えしました。

その他にも最終面接で不採用になる理由には以下のようなものもあります。

●謙虚な姿勢。自信がない印象に見えてしまう
●自分をアピールしようとして「自慢話」に終始し、辟易される
●1次・2次面接で語っていたこととズレがあり、不信感を抱かれる
●「内定」を確信して態度が一変。給与・待遇面などで強気の交渉を持ちかける
●経営方針や事業戦略に対して出過ぎた発言をする。自分の考えを述べたものの、的外れな内容だった

こうした点にも注意して、最終面接に臨むようにしてください。

構成=青木典子

森本 千賀子(もりもと・ちかこ)
morich 代表取締役 兼 オールラウンダーエージェント
1970年生まれ。93年リクルート人材センター(現リクルート)入社。2017年morich設立、CxOレイヤーの採用支援を中心に、企業の課題解決に向けたソリューションを幅広く提案。NPO理事や社外取締役・顧問等も務め、パラレルキャリアを体現した多様な働き方を実践。NHK「プロフェッショナル~仕事の流儀~」出演。日経オンライン等のWeb連載のほか『本気の転職』等著書多数。2022年2月、日経新聞夕刊「人間発見」の連載にも取り上げられる。二男の母。

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