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抹茶にきな粉、粒餡、こし餡。伊勢の名物餅を食べ比べしましょう

  • 2022.12.14

お伊勢まいりの人たちが、かつては食事代わりに味わったというお餅。参道界隈で生まれた多彩な名物餅は、今も観光客や伊勢市民に親しまれています。個性豊かなお餅の店は伊勢神宮周辺のにぎやかな場所や、少し足を延ばしたのどかなエリアなどに点在しているので、お餅をおめあてにめぐってみるのもいいですね。店内で味わえるお店が多く、伊勢みやげにもぴったり。食べ比べして味の違いを楽しんでみてはいかがでしょう。

抹茶にきな粉、粒餡、こし餡。伊勢の名物餅を食べ比べしましょう
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どっしりとした生餅のおいしさ「二軒茶屋餅」
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持ち帰り用は竹の皮で包まれる

天正年間、1575年創業と長い歴史を誇る老舗、二軒茶屋餅角屋本店。船を利用した参拝者が多かったころ、船着き場にできた茶屋が始まりです。老舗の風格と素朴で飾らない風情に郷愁が漂う本店のたたずまい。この雰囲気も含めて味わってほしいという思いから、現在も創業の地に根付いて営業しています。

店内にはかつて使われていた木箱や黒電話など、ゆっくりと刻まれてきた歴史を感じる調度品があちこちに。訪れた人に「どちらまで?」と気軽に声をかける、あたたかいもてなしにも気持ちが和らぎます。

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二軒茶屋餅1盆2個煎茶付き240円

もち米を水で浸して蒸し、臼で十分についた昔ながらの生餅でこし餡を包む二軒茶屋餅。時間が経つと固くなってしまいますが、加えるものを極力控えて、やわらかさのなかにもっちりとした歯ごたえのある食感を大切にしています。豊かな香りと上品な風合いのきな粉は、粗めと細かめを二段階に分けてかけるといった工夫により、お餅と餡、きな粉の調和を生み出しています。持ち帰り用は竹皮の包み。風情があるだけでなく、殺菌効果もあるとして用いられています。

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落ち着いた風情とぬくもりで満たされた店内

通常は二軒茶屋餅のみを扱っていますが、毎月25日は中のこし餡に黒砂糖を使った黒あん二軒茶屋餅のみの販売となり、月に一度だけの味を求めて訪れる人も多いそうです。
店の裏には昔使われていた道具などを収めた民具館もあります。お餅を味わった後はこちらを見学したり、船着き場の名残が感じられる川べりを眺めたりして過ごすのもいいですね。

香りのよいよもぎのお餅「神代餅」
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お餅アラカルトセット580円は、神代餅ときな粉たっぷりの御幸餅、神代餅を焼いた焦がし餅の盛り合わせ

国産よもぎの香りが豊かな神代餅(かみよもち)は、内宮の宇治橋前で営む勢乃國屋の名物。勢乃國屋から歩いて2分ほどの茶房太助庵では、神代餅をはじめとしたお餅や甘味などが頂けます。玄米から精製したもち米のみを使い、毎朝杵つきで作る餅はもっちりとした弾力が魅力。神代餅はかわいらしいひと口サイズで、中に包んだつぶ餡とよもぎの風味がマッチしています。

神代餅は焼いたり揚げたりしてもおいしいということで、こちらの茶房では焼いた焦がし餅も味わえます。また、神代餅はほかでの販売もありますが、餡が入らずきな粉をかけて味わう御幸餅は同店だけのメニュー。どれも味わってみたいという気持ちを満たしてくれるセットが用意されているので、ぜひ試してみてくださいね。

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レトロな雰囲気の店内に置かれた赤いイスがアクセントに

昭和初期に建てられ、倉庫として使われていた建物を生かしたお店。改修の際も必要以上に手を加えず、昭和の趣を大切にしたそう。骨董品の器や黒電話、古い看板などの調度品も、深い味わいを醸し出しています。

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あまり煮込まないので小豆の食感はしっかり、汁はさらりと仕上がっている草餅ぜんざい650円

お餅以外にもメニューは豊富。冬にはあたたかいぜんざい、夏にはかき氷や冷やしぜんざいが登場します。ほかにも、伊勢うどんやあられ茶漬けといった伊勢らしい軽食があるので、ちょっとお腹を満たしたときに便利ですよ。
おはらい町の通りから少し歩いた場所にあるので、にぎわいを離れて静かに休みたい時にもおすすめ。風味豊かなよもぎ餅をゆっくりと味わってみてくださいね。

つるんとして口当たりのいい「へんば餅」
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へんば餅2個入り160円。ほうじ茶、緑茶、玄米茶が用意されているので、好みのお茶をセルフサービスで

馬を返した場所、返馬所がへんば餅の名前の由来。渡し船で川を渡って伊勢神宮へ向かっていた頃は乗船前に馬を返す場所があり、1775(安永4)年にここで創業したことからこの名がついたと言われています。
厳選した国産の米粉を使った生地はなめらかで、もちもちしたおだんごのよう。一晩寝かせてやさしい甘さに仕上げたこし餡を包んで鉄板で焼き、焼き目を付けています。少し硬くなったへんば餅を、地元の人はトースターで焼いたり、ちぎってお湯で溶くことでお汁粉にしてみたりとアレンジも楽しんでいるそうですよ。

田園風景の中に立つ本店をはじめ、伊勢市内に4店舗あるへんばや商店。2020年にリニューアルしたおはらい町店は、茶店の原点に立ち返ることをコンセプトにした和モダンな雰囲気となっています。2階のイートインスペースは、木をたっぷりと使った心地よい空間。本店周辺の四季の風景が投影されていて、心が和みます。

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吹き抜けも設けられ、ゆとりを感じる空間

お餅とともに頂くお茶は、ほうじ茶、緑茶、玄米茶がそろうオリジナルブレンドの伊勢茶。茶葉やティーバッグの販売もあり、おはらい町店限定の馬缶は、へんば餅の由来を思わせる馬たちが表情豊かでかわいらしいと人気を集めています。お茶を楽しんだ後にも、小物入れや飾りとして、伊勢旅を思い出させてくれる存在になりそうです。

素材の良さを感じる「お福餅」
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お福餅のほか、お福餅 抹茶や包み餅きな粉なども販売(写真はイメージ)

かつては伊勢神宮への参拝前に心身を清める〝禊〟が行われていた二見浦。大小の岩が並ぶ夫婦岩でも知られるこの地で親しまれているのが、御福餅本家です。二見浦に打ち寄せる波の形を表したこし餡でやわらかなお餅を包んだ、お福餅を作り続けています。

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見た目の美しさも意識しながら行うあんつけの作業

ひとつひとつ手作業で詰める製法をはじめ、小豆は北海道産のきたろまん、もち米は北海道産のはくちょうもちのみを用いるなど素材にもこだわって伝統の味を守っています。水の量や火加減などを日々調節しながら仕上げるお餅は、柔らかさのなかにも張りがあるのが特徴。小豆は皮をとってなめらかな口当たりになるようにするなど、工夫を凝らしています。

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夫婦岩へと向かう参道に建つ店舗

お福餅はもちろん、ほろ苦い抹茶が効いたお福餅 抹茶や、餡を包んだ餅にきな粉をまぶした包み餅きな粉などを販売しています。お福餅 抹茶は以前はイートイン限定でしたが、好評で販売もされるようになったとか。販売数が限られるので、見つけたらぜひ手に入れたい一品です。

また、ころんと丸い形の包み餅きな粉は、こし餡を包んできな粉をまぶした風味のよいお餅。包み餅にはそのほかにもココア、抹茶、プレーンがあり、4種類の詰め合わせも。どれも魅力的であれもこれもと欲張りたくなってしまいそうです。

それぞれに違った魅力を持つ、伊勢の名物餅はいかがでしたか?ぜひ伊勢を訪れて、お餅の味やお店の雰囲気を確かめてみてくださいね。

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