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ファッションも選手も大注目! 【韓国女子プロゴルフ】事情や歴史をおさらい

  • 2022.12.14

男子ツアー、女子ツアー、シニアツアーの3つのツアーから上位選手が集まって戦う「Hitachi 3Tours Championship」は、男子ツアーの優勝で終了! 来季の出場権をかけたクォリファイングトーナメントも男女共に終わり、いよいよ全日程が終了して、プロゴルフ界はシーズンオフに入りました。今年も、1年間お疲れ様でした!

さて、今年も盛り上がった「Hitachi 3Tours Championship」。各ツアーの上位から選抜される出場選手の中、今年の女子チームに韓国勢がいないこと、気が付きましたか? 第1回大会を除く昨年の第16回大会まで、出場選手の中に必ず入っていた韓国勢。女子ツアー代表選手の半分が韓国勢という年もあったほど、その勢いは素晴らしいものがありました。しかし、今年度の大会を終えて来年のシード権を獲得した韓国人選手は5人ほど。隆盛を誇った一時期よりも、かなり減った印象です。

リコーカップでのペ・ソンウ プロ〈左〉と全美貞プロ〈右〉

◆日本女子ツアーを盛り上げた韓国勢

なぜ、韓国女子プロゴルファーが日本でプレーするようになったのか? その理由は、韓国の女子プロゴルフツアーの試合数と大きな関係があるようです。

韓国女子プロゴルフ協会(KLPGA)が創設されたのは、1988年。韓国プロゴルフ協会内にあった「女子プロ部」が独立した形で創設されました。日本女子プロゴルフ協会(JLPGA)が創設されたのは、1974年。そこには14年もの差がありました。

KLPGA創設当時は、年間でまだ10試合ほどしか無いような状況だったようです。その頃のJLPGAは、年間40試合に届く勢い。そのため、日本ツアーと掛け持ち、または日本ツアーを主戦場とするプロが多くなるのも必然的なこと。私が日本ツアーに関わるようになった1990年代後半、まだ韓国国内における女子ゴルファーの人口自体がそれほど多くなかった時代にも関わらず、日本ツアーの中におけるその存在感は非常に大きなものになってきていました。

その後、先人たちの軌跡を辿るようにして徐々に増えて行った印象の韓国人選手たちでしたが、日本の第一線で戦っていた彼女たちが引退後にマネジメントやコーディネーターとして日本で活躍するようになると、劇的に日本でプレーする選手を増やし、一時期はシード選手50人の内19名が韓国人選手という状況にまでなりました。ちなみに、その当時のKLPGAの試合数は20試合ほど。JLPGAの試合数は34試合でした。

◆コロナ禍? 制度変更? 韓国人選手が減った理由

さて、ここ数年で数を減らしている韓国人選手。その減った理由としてまず思い浮かぶのは、2019年に発生した新型コロナウィルスの影響です。コロナ禍による渡航制限、外出自粛などにより、日本へ来る韓国人選手そのものが減ったと考えられます。しかし、制限が解除され始めてもなかなか以前のように戻ってきていません。どうやら、理由が他にあるようです。

まず、大きな理由のひとつとしてよく耳にするのが、2019年に施行されたJLPGAのクォリファイングトーナメント(以下「QT」)の制度変更です。今まで、条件さえ満たしていれば誰でも出場できていたQT。QTさえ通れば、TPD (Tournament Players Division)単年登録者としてツアーに出場することが可能でした。しかし2019年、プロテストを通過した正会員との区別が難しいという理由から、「プロテストに合格した者に限る」とその出場資格を変更。海外勢の締め出しとも揶揄される制度改変となりました。

ところが、韓国人選手が減った大きな理由はそれでは無いと多くの関係者が口を揃えて言います。実は、今年のKLPGAの大会は全部で32試合。賞金総額もかなり増えて、いまや日本の女子ツアーに並ぶ勢いの人気興行となっているのです。つまり、韓国国内から出る必要が無くなったというわけです。

日本女子ツアーにおける韓国人シード選手数とKLPGAの試合数

JLPGAツアーの韓国人シード選手が最も多かった2011年から、着々とその数を減らしていた韓国人選手。それに比例するようにKLPGAの試合数が増えていっているのがわかります。それに相まったように発生したコロナ禍により、より韓国国内に比重を置くようになった選手が多いのではないでしょうか。

◆ゴルフも韓流! 盛り上がりを見せる韓国ツアー

KLPGAの大きな特徴は、「興行」としての部分を強く打ち出しているところ。シード選手の中から、ファン投票によって広報モデル10名を選び、ファンとの交流やメディアへの露出などを積極的に行っています。今年の賞金女王であるパク・ミンジプロの獲得賞金は、約14憶ウォン(1億4000万円)。賞金的にも、国内で十分に稼げる状況です。それにより、日本のツアーを足掛かりにしてアメリカの女子ツアーへという道が必要なくなり、韓国国内からそのままアメリが女子ツアーへと向かう選手が増えているようです。

世界的に見ても、既にその強さを見せていた韓国ゴルフ界。韓国国内だけなく日本国内でも今まさにゴルフブームな今、その波に乗ってますます盛り上がって行くことでしょう。ゴルフ界も、いよいよ韓流から目が離せません。

◆おだみなプロフィール

おだみな/元プロキャディ。男子、女子両ツアーで活動し、宮里藍プロのデビュー年からアメリカ本格参戦までの専属キャディとして転戦。現在は二児の母をしながら、近所のゴルフ場でハウスキャディとしてアルバイト中。学生時代に家族の影響でゴルフを始め、ゴルフ歴だけは長いがスコアはイマイチ。

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