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「中高年の転職では厳しくチェックされる」書類選考で秒殺される「退職理由」のNG表現

  • 2022.12.14

30代後半から40代の転職活動で厳しくチェックされるのが「退職理由」だ。キャリアカウンセラーの中谷充宏さんは「書類選考の成否を左右するのが『退職理由』。誰もが『やむを得ない』と認める事由であれば、できるだけ具体的に書いておくのがよい」という――。(第2回/全2回)

※本稿は、中谷充宏『30代後半~40代のための転職「書類」 受かる書き方』(秀和システム)の一部を再編集したものです。

履歴書と職務経歴書
※写真はイメージです
人間関係、リストラ…どう書くべきか

この世代の転職で必ず厳しくチェックされるのが、退職理由の妥当性、正当性です。

たとえば、十数年前に自分のわがままで自己都合退職したとしても、「若気の至り」で済まされることでしょう。しかし、直近数年間にわがままな辞め方をしていたり転職回数が多いのは悪印象です。

したがって、まず、わがままではない場合、単に「○○株式会社 退社」だけにせず、先回りしてその理由に触れておくことが大切です。

たとえば「同社倒産による会社都合退職」と書いておけば、不可抗力だと明確に伝わるので、倒産だからと隠さず、明瞭に堂々と書いた方がいいことになります。

逆に、人間関係が嫌になって退職した場合は、「一身上の都合による退職」とサラリと触れるにとどめておきましょう。

人間関係の悪さや給与の安さ、休みのなさなど、本音や事実をありのまま伝えるとマイナス評価や誤解につながると思われる場合は「一身上の都合による退職」でとどめます。

一方、勤務していた事業所や工場の廃止・撤退で代替勤務地が示されないような100%会社都合によるものや、部署ごと海外に全面移転が決定し海外赴任ができず自ら退社したといった、誰もが「やむを得ない」と認める事由であれば、できるだけ具体的に書いておくのが最善です。

なお、この世代特有の「リストラ対象となって退職を余儀なくされた」場合、「マイナス評価になるのでは?」と懸念する人が多いのですが、今や大手電機メーカーのような一部上場企業であっても何千人、何万人単位で大量リストラしている時代です。もはや日常茶飯事なので、採用人事も応募者固有の特殊事情とは見ない可能性が高いです。

「経営不振による人員削減策に応じたゆえの会社都合退職」と、粛々と書いておけば大丈夫です。

NG! これはダメ!

2003年4月 リプロック株式会社 入社
2013年3月 リプロック株式会社 退社

↑「退社」だけでは、なぜ辞めたのか、採用人事の一番知りたいところが見えない。

OK! 誰が見てもやむを得ない場合

2003年4月 リプロック株式会社 入社
2013年3月 同社倒産による会社都合退職

↑勤務先の倒産や事業所閉鎖といった本人ではどうしようもないレベルの話なので、きちんと書いておけば余計な疑念を持たれず、やむを得ないと認めてもらえる。

OK! 本音や事実をそのまま伝えると不利な場合

2003年4月 リプロック株式会社 入社
2013年3月 一身上の都合による退職

↑自己都合退職の場合、「上司の過度なパワハラにより~」のように具体的に書くと墓穴を掘るケースがある。サラリと書くにとどめるのがおすすめ。

「退職理由」は履歴書選考の成否を左右する

退職理由は100%聞かれます。採用人事が最も知っておきたい項目の一つです。履歴書選考の成否を左右します。

既に退職していればその理由を、在職中であれば現職を退職する理由を書きます。弊社の履歴書フォームでは150字くらいは書けるスペースがあります。

他のものでもスペースが確保されていますから、具体的かつ納得性の高い退職理由を書くことが求められます。

もちろん、ブランクのままや「更なるキャリアアップを目指すため、退職を決意しました」といった抽象的でボリューム不足なものは論外です。

中谷充宏『30代後半~40代のための転職「書類」 受かる書き方』(秀和システム)
中谷充宏『30代後半~40代のための転職「書類」 受かる書き方』(秀和システム)

「新卒での就活時期から貴社にずっと憧れがあって、ようやく今応募できる時期が来た。けじめをつける意味で前職を辞めた」といった、この年代に似つかわしくない、初々しすぎる内容ならば多少ネガティブな要素が入っていてもかまいません。

といっても、前職の不平不満や誹謗ひぼう中傷、恨み節といったネガティブワードのオンパレードでないことが大前提です。

ミドルの転職市場が多少にぎわってきたとはいえ、少々厳しい状況に置かれていたとしても中高年が高いリスクを負ってまで、わざわざ進んで退職などしないことを採用人事は重々知っているからです。

OK! 例①

前職では入社以来、約18年間営業一筋でしたが、昨年末に市場調査部門への異動を打診されました。この先も営業にキャリアの軸を置きたい旨を申し出ましたが、異動の方針は変わらず、最低3年は営業には戻れないとのことでした。営業職としてのブランクを空けたくない想いから、新天地を探すべく、人事異動発令前に退職いたしました。

前職の批判ばかりを展開したら当然NGですが、「異動を受け入れられず辞めた」ということなら、ネガティブな要素が入っていても差し支えありません。

逆に、すべてポジティブな要素だけで塗り固めると、「経験ある年代なのに現実を直視していない」と見られ、かえって怪しまれるケースもあります。

OK! 例②

コロナにより主要取引先が大打撃を受け、前職では前年度比売上50%ダウンと危機的状況に陥り、徹底したリストラ策を断行することになりました。今まで会社の成長を支えてきた同僚社員も次々とリストラされ、次は私ではないかと疑心暗鬼のまま働くのではモチベーションが保てませんので、一旦リセットして次を探そうと思い、退職を決意いたしました。

「経営再建に尽力すべきだ。途中で逃げ出すのは良くない」と見る向きもありますが、あいまいなポジティブワードで本質をごまかすより、地に足が着いた理由で納得を得やすいと言えます。

OK! 例③

前職では管理職候補として採用されましたが、勤務した約1年間は一般社員レベルの業務しか任されず、管理職への昇格は数年先であることを知らされました。管理スキルを伸ばしたいと考えて転職したのですが、このままでは貴重な時間を無駄にするだけと思い、退職を決意いたしました。

1年という短期間での自己都合退職でも、入社前後で話が大きく違ったというケースであれば、当時の状況が自分の想いや目標と合っていなかったことを実直に書くことで、採用人事に伝わりやすくなります。

履歴書を確認する人の手元
※写真はイメージです
履歴書の自己PRは職務経歴書の要約で

履歴書の自己PRは、職務経歴書で作成する自己PRの要約を書くことをおすすめします。同じ項目なので、わざわざ内容を変える必要はないからです。

「詳細は職務経歴書を参照願います」は、おすすめしません。履歴書は履歴書で一つの書類として完結させておくべきですから、要約で埋めておきます。

志望動機では二つの要素を盛り込む

「志望動機書」といった他の書類で志望動機を語らない場合、応募先への熱い想いを語れるのはこの欄だけ。非常に重要です。

二つの要素を盛り込んでください。

① なぜその企業の、その職種なのか
② そこで自分はどういった貢献ができ、どうしていきたいのか

今どき就活生でも書かないような抽象的なものは避けましょう。たとえば、以下のようなものでは、目も当てられません。

NG! これでは抽象的

貴社の“私達は地域社会に信頼され、成長する企業であり続けます”という経営理念に強く惹かれました。社会貢献度の高い貴社でぜひ頑張りたいと思い、志望いたしました。

ネット上で拾ったサンプルを加工するのではなく、必ずオリジナルのものを作り、熱い想いを端的に語ってください。

OK! 例 ①

競争の激しい金融商品業界において、私が現場最前線で培ってきた商品先物取引の営業スキル・経験は貴社で最大限に活かせると考え、また貴社の成果主義を重視する姿勢と私の志向がマッチしたのが最大の動機です。
貴社が長年蓄積してこられた信頼感や安心感を後ろ盾にしつつ、これに甘んじることなく着実に成績を残せる渉外営業社員になる自信があり、今回応募した次第です。

OK! 例 ②

貴社であれば前職と同じ業種であり企業規模も同等であることから、私が培ってきた約18年の経理経験、スキルを余すことなく発揮できると考えました。また、生涯勤務するつもりだった前職の会社が倒産してしまったため、安定成長を続ける貴社には大変魅力を感じます。落ち着いた職場環境の中で、持ち前の迅速さ、正確さを活かすことで、貴社の発展の一翼を担いたく、志望させていただきました。

OK! 例 ③

同じ○○業界で約15年間働いてきた私にとって、約30年間トップシェアを維持する貴社は特別な存在です。新しいヒット商品を次々と生み出す商品開発力を尊敬しております。直近5年間は商品開発業務に携わり、一昨年大ヒット商品となった△△△△の開発プロジェクトでは中核を担っていましたので、この経験・スキルを憧れの貴社で発揮したく、応募いたしました。

前ページ①②の要素を、自身の職務経験から具体的かつ端的に語ることが作成のコツです。抽象的なもの、どこの企業にでも流用できるものはNGです。必ずその企業向けのオリジナルなものを作成してください。

中谷 充宏(なかや・みつひろ)
キャリアカウンセラー/キャリアコンサルタント/社会保険労務士
同志社大学法学部法律学科卒。米国MBAホルダーや代表取締役といったエグゼクティブ層から、転職回数が多い等のハンデを背負った層まで、幅広い方々の転職支援の実績あり。また社会保険労務士として人事採用コンサルティングの経験も豊富で、人事部長として企業人事を一任されるケースもあり、生々しい採用現場や面接シーンも熟知している。著書に『人事の本音がわかれば転職面接は必ず受かる!』、『30代40代のための転職パーフェクトガイド』『30代後半~40代のための 転職「書類」受かる書き方』、『30代後半~40代のための 転職「面接」受かる答え方』(秀和システム)等、多数あり。◎運営サイト:中高年の転職の悩み相談室

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