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50代、大切な人をなくしたあなたに読んで欲しい。猫沢エミが綴る愛の物語

  • 2022.12.13
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現在52歳、ミュージシャンで文筆家、生活料理人。パリと日本を行き来する暮らしを20年近く続けたのちに、今年2月にパリへ移住した猫沢エミさん。2021年に刊行された『ねこしき 哀しくてもおなかは空くし、明日はちゃんとやってくる』(TAC出版)では、同居する3匹の猫との出会いや彼らとの暮らし、立て続けに看取った両親や家族との関係、仕事や恋愛のことなど、猫のようにしなやかに人生を生きるヒントを綴っている。

食べることは命をいただくこと、生きること。
同時に食べ物は「消えもの」、そして私たち人間だって「消えもの」。

『ねこしき』では、そんな猫沢さんの死生観とともに紹介される、パリのエスプリ香る日々の食卓のレシピが大反響を呼んだ。

その猫沢さんがこのたび、『イオビエ ~イオがくれた幸せへの切符』(TAC出版)を上梓した。2019年に路上で保護した猫、イオとの出会いから別れまでの1年半の物語がテーマだ。

餓死寸前から復活をしたイオは、急性の扁平上皮癌が発覚して2021年3月に亡くなった。イオが生きた軌跡は猫沢さんのSNSで発信され、多くの人が心を動かされた。

まず私が幸せにならなきゃ

猫沢さんが東京の家を引き払い、パリへ引っ越す決心をしたのは、ある時亡くなったイオの存在が、自分の中に息づいていることに気づき、「『まず私が幸せにならなきゃ』って真剣に思った」からだとういう。そのために、思い出の殻に閉じこもらず、「残された生の時間を、爛々と輝かせて生きていこう」と決意。フランスで待つパートナーのもとへ向かった。

<ワタシたち動物は、体のあるなしに重きを置いていない。だからやがて来る死は、まるで水溜まりをぴょんと飛び越えるように軽やかで、決して哀しいことじゃないの。見るべきなのは、死の瞬間なんかじゃない。その1秒手前まで、生きた時間に愛があったかどうか。>

本書はイオのことばで語られる小説と、猫沢さん自身のSNSの日記を交えながら、猫と人との1年半の交流が綴られている。

目次は以下の通り。作りたくなる「猫沢飯」レシピも紹介されている。

【小説】
巴里へ

1章 運命の赤い糸
あの夏の日
ママと出逢って家族ができた
猫沢組との契り、運命の赤い糸

2章 神さまとの最後の会話
大江戸お伊緒物語
ワタシの『ローマの休日』
謎の病気の克服
不治の病と神様との最後の会話
魂の住処

3章 親愛なるママへ
天国からのタクシー
ハワイでのヴァカンス

【猫沢日記】
#猫沢イオ
#イオの扁平上皮ガン日記
#イオちゃんフォーエバー

【猫沢飯】
目玉焼きのっけ焼きそば
ほたるいか素干しバターごはん
雪の山小屋で食べる三猫シチュー
ひな祭りの鰻のちらし鮨
命のスープ ~豚バラと根菜のカフェライムスープ
大丈夫 !ÇA VA味噌サンド
ポルチーニ茸と栗の炊き込みごはんドリア
豚ヒレソテー茸と蓮根の赤ワインソース
おかひじきとレタスと梨のサラダ~猫草オマージュ
猫沢組おにぎりとハチワレ漬け

【猫沢エッセイ】
神さまへのプレゼンテーション
イオちゃんの稚鮎の天ぷら
最愛の娘、イオちゃんへ

【おわりに】
オーダーメイドの神さまと天国

大切な誰かを失って喪失感から立ち上がれずにいるとき、そっと心に寄り添ってくれる、温かい愛の物語。哀しくても立ち上がり、自分で自分を幸せにするために、どう生きていけばよいのか。猫沢さんの暮らしぶりや考え方に勇気をもらえる。

■猫沢エミさんプロフィール
ねこざわ・えみ/ミュージシャン、文筆家、映画解説者、生活料理人。2002~2006年、一度目のパリ在住。2007年より10年間、フランス文化誌『Bonzour Japon』の編集長を務める。超実践型フランス語教室《にゃんフラ》主宰。著書に『ねこしき』(TAC出版)、『猫と生きる。』『パリ季記』(ともに扶桑社)など多数。2022年2月より愛猫を引き連れ、二度目のパリ在住。
Instagram:@necozawaemi

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