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多くの技法から、自由に紡ぐ首里織。

  • 2022.12.10

他国の影響を受けて発展した、沖縄の工芸品。ちむぐくる(心)が宿る、伝統的なものづくりを紡いでいきたい。いま、作り手たちが考えていることとは。

上間ゆかり首里織職人、首里織 U工房主宰

奥から、ピンク地は沖縄に自生するサクラの木で染めた花織に絣が入った帯、黒地はロッグウッドで染めた着尺、白地はイタジイの淡い色合いで染めた花倉織の帯(すべて参考商品)

約30年間、沖縄で首里織を織り続けてきた上間ゆかり。琉球王朝時代に誕生した首里織は、貴族や士族の着物として、色、柄ともに華やかさが追求されてきた。花織や道屯織(どうとんおり)をはじめ、沖縄では最も多くの技法があり、「多種多彩で、色柄も無限で自由に織れるのが魅力」だという。その分、高い技術力を要し、特に花倉織が織れるようになるまでには何年もかかる。首里織作りは、琉球藍や福木、イタジイなどの沖縄の植物で糸を染めるところから始まる。

「木工職人から木の皮を分けてもらったり、伐採された木を取りに行ったりして染料を手に入れます。私は、やんばるの森を形成するイタジイの木で淡灰色に染めるのが好きですね」

日常の風景や絵から着想を得てイメージを描き、緻密な計算のもと、設計図に起こす。織る作業よりも、デザインから糸を染めて織り機に仕掛けるまでが、全体の7割の時間を要する。出来上がった首里織には、上間の優しい人柄と熟練の技が滲み出ている。きものを着る機会が減り、伝統的な帯や着尺だけでなく、ハンカチやコースターも作り始めた。柔軟でおおらかに時代の変化を受け入れながら、ずっと首里織は紡がれていくだろう。

左:花倉織を織っている様子。「夏用の技法なので、透け感を出すために絽を作ります。経糸が張った部分と弱い部分の張力の差を意識して織るのが難しい」右:ピンクはサクラ、アイボリーとグレーはイタジイ、オレンジは福木など、沖縄の植物で染めた美しい絹糸。

手織りのよさを伝えたいと、ルフトが企画するハンカチプロジェクトに首里織の担い手3人で参加中。奥から、新垣斉子、金良勝代、上間のハンカチ(すべて参考商品)

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Yukari Uema首里織職人、首里織 U工房主宰1963年、那覇市生まれ。東京で働いた後、沖縄に戻り、首里織の後継者を募集する新聞広告を見て応募。93年、那覇伝統織物事業協同組合に加入。首里織 U工房を主宰し、着尺や帯を中心に制作を行う。那覇市のデザインショップ、ルフトのプロジェクトでハンカチの制作を始めた。2022年8月には東京で初の展示を開催した。

 

*「フィガロジャポン」2022年12月号より抜粋

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