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「あれ買って!」とねだるわが子のわがままがピタリと止まる"最強のマジックワード"

  • 2022.12.9
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子どものウソやわがままにはどう対応するのがいいのか。現役の小学校指導教諭、庄子寛之さんは「笑顔で『どうしたの?』というマジックワードを使うようにすることで、すぐ叱らなくなり、我が子とのコミュニケーションが豊かになってくる」という――。(第2回/全3回)

※本稿は、庄子寛之『子どもが伸びる「待ち上手」な親の習慣』(青春出版社)の一部を再編集したものです。

息子を叱る母親
※写真はイメージです
「宿題した」と言ったのに、していなかったときにどうするか


この間、我が子が「宿題をした」と言って、本当はしていませんでした。
イラッとして、子どもにキレてしまいました。
一言目は、「なんで宿題するって言ったのに、していないの‼」
そして、

「今日はゲーム禁止ね!」
「一週間テレビ禁止ね!」
「いつもあなたはうそばかりつくの!」
「反省しているの?」

とにかく感情まかせの言葉が止まりませんでした。
こんなとき、どうすればよかったのでしょうか?

分かります。そんな経験、誰もがあるのではないでしょうか?

こんなに叱っても、我が子は一時的に反省しますが、心の底からは反省していません。とにかくその場をどうやり過ごすかしか考えていないからです。

そして、これからも、どうやって親の目をごまかしながら宿題をさぼれるか、ということばかり考えてしまうでしょう。

我が子のできていないところを見つけた際には、すぐ叱ったり教えたりするのではなく、「どうしたの?」と聞いてみてください。

できるだけ、笑顔で。

「どうしたの!(怒)」

と引きつった顔で声をかけてはいけません。大切なことは、「どうしたの?」と声をかけることで、我が子に「興味をもって見ているよ」ということを伝えるのです。

「自分をちゃんと見て、考えてくれている」と伝わる

やっていないと見えても、それはあなたの勝手な解釈かもしれません。

一生懸命考えても分からなくて、休憩している最中だったのかもしれない。

宿題のことを考えている最中だったのかもしれない。

何か考え事をしていて、少し手が止まっていたのかもしれない。

近くに漫画があったから、その誘惑に負けただけなのかもしれない。

たとえ、本当にやる気がなくてやっていなかったのだとしても、「やりなさい! なんでやらないの!」と怒られるのと、「宿題が終わっていないようだけれど、どうしたの?」「どうしたの? わからないことでもあった?」と、何か困っていたら助けるよという気持ちを込めて話しかけられるのとでは、受け止め方はまったく違ってきます。

子どもは「ママ(パパ)はぼくのことをちゃんと見ていて、考えてくれているんだ」と感じるようになってきます。

このマジックワード「どうしたの?」は、前回ご紹介した3つのポイント(「『人はすぐには変われない』ことを理解する」「やらない権利を認める」「小さな変化を感じ取る」)を一度に実践できる優れた言葉です。3つのポイントを意識しながら使ってみてください。

なぜ宿題をやらないといけないのか

そもそも、なんで宿題をやらないといけないのですか?

我が子が、勉強ができるようになってもらいたいからですか?

我が子が、学校で怒られないためですか?

それ以上に、自分がちゃんとした親だって見られたいという気持ちはありませんか?

私にはありました。

こうやって本を書いている教師なのに、「子どもは全然だめだね。親として何をしているんだか」って思われたくないという意識がありました。

長男が小学生になったときは、「なんで、こんなことも分からないの。将来困るよ」と言いながら、どこかで自分の体面を気にしていただめな親でした。

今はとても反省しています。

今は、「そこにいるだけでいいよ。あなたはあなたで素晴らしいよ。できないことがあったら、必ず助けるからね」という気持ちで接することができるようになりました。

すぐに怒りをぶつけなくなる

それができるようになったのは、「どうしたの?」が使えるようになったからです。マジックワード「どうしたの?」が口グセになると、我が子にすぐ怒りをぶつけなくなるようになります。

あなたは怒っている自分のことが好きですか?

怒りというのは、とてもエネルギーを使う感情です。もちろん時には必要な感情ですが、できるだけ使う機会は少なくしたいもの。そうすることで、あなたが笑顔で幸せを感じながら生活する時間が増えるからです。

あなたが笑顔で過ごしていると、その笑顔は連鎖します。

人間関係は鏡です。

鏡は笑いますか? 笑いませんよね。

あなたが笑うから、鏡が笑うんです。

同じように、あなたが笑うから、子どもも笑うんです。

家庭が笑顔になるためには、まずはあなたが笑う環境を作れるようにしていきましょう。

笑顔の連鎖で我が子たちにも笑顔が増え、笑顔あふれる家庭になっていきます。

「どうしたの?」の上手な使い方

「ただ見る」ためのきっかけとなるマジックワード「どうしたの?」。

子どもが何かできていないことを見たときに「どうしたの?」と聞く。すると、すぐ叱らなくなり、我が子とのコミュニケーションが豊かになってきます。

ここで、「どうしたの?」の使い方の一例を紹介しましょう。

〈デパートで「買って~」とねだる場合〉

×買わないって言ったでしょ。
×なんであなたはそんなにわがままなの!
×(周りの目を気にして)買ってあげるから泣きやんでね。みっともないでしょ。 ○親「どうしたの?」
子「あのおもちゃが買ってほしくて」
親「どうして買ってほしいの?」
子「あのおもちゃ、クラスでもはやっているし、テレビでも見たことあって」
親「そうなんだ。いつも買えるわけじゃないけれど、本当に必要なものかな」
子「本当に必要なの!」
親「どうしてそう思うの?」
子「(友達の)○○ちゃんにもってるって言っちゃって……」
親「そうなんだ。正直に言えてすごいね。そう言ったことをどう思ってる?」
子「よくなかったと思う」
親「そうか、そう言えてすごい。ママなら言えないかな。今日はどうする?」
子「うーん。今日はやめておく」
親「自分で決められて素晴らしいね」

おもちゃ売り場でおもちゃを選ぶ母と娘
※写真はイメージです
〈怒られたくないためにうそをつく場合〉


×なんでそんなうそをついたの⁉
うそつきはどろぼうの始まりだって言ったでしょ!
×うそをついたことで、家族みんなが困ったのよ。どうするの!
×あなたはいつも、「やる、やる」って言って、結局やらないじゃないの。
○親「どうして、こんなうそをついたの? ○○ちゃんはそんな子じゃないのに。どうしたの?」
子「うそついちゃいけないと思っていたけれど、本当のことを言うとママに怒られると思って」
親「正直に言ってくれてありがとう。まず今、本当のことを言えたことが素晴らしいと思うよ」
子「ママをがっかりさせたくなくて、うそをついちゃった」
親「お母さんもうそをついてしまうことがある。そこで反省することもあるよ」
子「うそをついてごめんなさい」
親「自分から謝れることも素晴らしいね。お母さんは○○ちゃんのこと信じているから、これからうそはつかないでほしい。お願いできる?」
子「うん。わかった」

子どもを無条件に信頼する

「どうしたの?」を使うためには、日頃から子どもを無条件に信頼することを意識します。

庄子寛之『子どもが伸びる「待ち上手」な親の習慣』(青春出版社)
庄子寛之『子どもが伸びる「待ち上手」な親の習慣』(青春出版社)

この無条件にってことが大事です。何かができているから信頼するのではないのです。

「あなたのことを信じている」
「この子なら、どんな失敗をしても、その出来事を経験として成長していける」

そう無条件に思い込みましょう。

思い込みの力は素晴らしいです。私は毎回自分の担当するクラス、自分の職場を最高だと思い込むようにしています。

私は教員生活が長いので、ちょっと問題のあるクラスを受けもつことも多いです。

4月当初は課題山積で引き継ぎますが、無条件に、

「このクラスは素晴らしい」
「このクラスの子、一人ひとりは素晴らしい」

と思い込んで接するようにしています。

すると、本当に素晴らしくなります。

ならないとしたら、4月に思っていたことが継続できなくなっているときでしょうか。

そんなときは「素晴らしい。素晴らしい」と心の中でつぶやくようにしています。

心の中でつぶやきマインドを整える

イラッとする前に、イラッとしないマインドに整える。

この記事を読んでいるとき、きっとイラッとしていないはずです。

もしイラッとしそうなときは目をつぶって、我が子の顔をイメージして、

「この子は素晴らしい」
「この子はどんなことがあっても成長できる」
「いろいろな失敗をして、いろいろ経験してほしい」

と心の中でつぶやいてください。

あなたの表情が優しくなっているはずです。

庄子 寛之(しょうじ・ひろゆき)
東京都公立小学校指導教諭
大学院で臨床心理学科を修了。道徳教育や人を動かす心理を専門とする。学級担任をするかたわら、「先生の先生」として全国各地で講演を行っている。最近では、教育関係者だけでなく、企業や保護者向けにも講演。担任した児童は500人以上、講師として直接指導した教育関係者は2000人以上にのぼる。元女子ラクロス日本代表監督の顔も持ち、2013年、U-21日本代表監督としてアジア大会優勝、2019年、U-19日本代表監督として日本ラクロス史上トップタイの世界大会5位入賞を果たす。著書に『叱らない技術』『withコロナ時代の授業のあり方』(ともに明治図書出版)、『オンライン学級あそび』(学陽書房)など著書多数。

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