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「尾生の信」とはどんな意味の言葉?その由来や類義語は?

  • 2022.12.8

「尾生の信」という言葉には、ポジティブな意味とネガティブな意味があります。 固く約束を守るという意味がある一方、馬鹿正直で融通が利かないという意味もあるのです。

ここでは、そんな極端に印象の異なる意味を含む「尾生の信」という言葉について、その意味や成り立ち、類義語について見ていきましょう。

「尾生の信」の2つの意味

 

「尾生の信」にある、ポジティブな面とネガティブな面という2つの意味について見ていきましょう。

「尾生の信」のポジティブな意味

「尾生の信」には、固く約束を守るという意味があります。 信義を重んじることの例えとして使用されることもあります。

「尾生の信」のネガティブな意味

「尾生の信」には、馬鹿正直で融通が利かないという意味もあります。 生真面目すぎるが故に柔軟な対応をできないことの例えとして使用される事もあります。

「尾生の信」の由来

 

では「尾生の信」がどのようにして生まれた言葉なのかを見ていきましょう。

「尾生」という人物の故事から

「尾生の信」は、「尾生」という人物にまつわる故事から来た言葉だとされています。 その故事は、「荘子」-盗跖、「戦国策」-燕策・昭王、「史記」-蘇秦伝などいくつかの書にまとめられています。

古代中国の戦国春秋時代、魯国に尾生という人物がいました。 彼は、橋の下である女性と落ち合う約束をしていました

しかし、女性はいくら待っても来てくれません。 次第に雨も降りはじめ、ついに大雨になってしまいました。

尾生がいた橋の近くを走る川も増水しています。 それにもかかわらず、彼はその場を立ち去ろうとせずに橋脚の下で待ち続けた結果、ついに増水に巻き込まれて亡くなってしまいました。

この物語の死を迎える事になっても待ち続けたという面から、固く約束を守るという意味が。 逆に、その場から去れば命を失わずに済んだのにという面から、融通が利かないという意味が生まれました。

「抱柱之信」と表現されることもある

「尾生の信」は、「抱柱之信」と表現されることもあります。 これは、尾生が女性を待っている間に川が増水した際に、橋脚にしがみついてでも彼女がやって来ることを信じて待っていたという描写から来ています。

同じ尾生の逸話ということもあって、「抱柱之信」も約束を破らない人や凝り固まった思考を持つ人という「尾生の信」と同じ意味の言葉となっています。

「尾生の信」の類義語

最後に「尾生の信」の類義語も見ておきましょう。 「尾生の信」の類義語としては、「石部金吉」や「四角四面」などの四字熟語があげられます。

石部金吉

「石部金吉」は、道徳に厚く誘惑に惑わされない人を意味します。 男女間の情愛などを理解しようとしない、堅苦しい人に対して使用される言葉でもあります。

生真面目すぎるため、融通が利かない人という意味でも用いられます。

四角四面

「四角四面」とは、極めて真面目である人を指す言葉です。 真面目すぎて、逆に面白みに欠ける人という意味合いも含まれています。

堅苦しい人や厳格な人といった、頭でっかちな人ということになります。

まとめ

「尾生の信」には、ポジティブな意味とネガティブな意味の2つがあります。 ポジティブな表現としては、固く約束を守る義理堅い人となります。 それに対して、馬鹿正直で融通が利かない人というネガティブな表現として使用されることもあります。

この表現は、古代中国でまとめられた史記や荘子という書物に描かれている、女性と待ち合わせをしていた男性の様子とその最期にまつわる物語から来とされています。

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