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【韓国の視点】「飛躍した日韓」と「没落した中東」 カタールW杯がアジアにもたらした教訓

  • 2022.12.7
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サッカーワールドカップ92年の歴史上、初めて中東の地で開催された2022年カタールW杯には、歴代最多となるアジア勢6カ国(韓国、日本、オーストラリア、イラン、サウジアラビア、カタール)が出場した。

そして、このうち半分の3カ国がベスト16に進出するという新たな歴史を築いた。

ただ、このような結果のなかで、開催国カタールから“事実上のホームゲーム”のように試合を戦ったはずのイラン、サウジアラビアまで、中東3カ国がすべてグループステージ敗退となった点が目を引く。

もちろん、開催国史上初めて3戦全敗に終わったカタールを除き、イランとサウジアラビアはそれぞれ1勝ずつ挙げた。特にサウジアラビアは南米の強豪アルゼンチンを2-1で破り、アジアの反乱を知らせる契機にもなった。

それでも、中東3カ国の成績表は、ベスト16入りした韓国、日本、オーストラリアと比べると寂しいものと言える。オセアニアから編入したオーストラリアは比較対象から除外したとしても、長い間アジアの舞台で争ってきた韓国や日本のパフォーマンスとは差があった。

悲喜が交錯した日韓と中東。その理由は

 

東アジア勢と中東勢の悲喜が交錯したのは、「サッカー文化」と「トレンドの反映」は軌を一にする。

伝統的に、中東勢は“窒息守備”やいわゆる“ベッドサッカー”という巧妙な時間稼ぎで、国際舞台でも実利的サッカーを見せ続けてきた。その代表例がカルロス・ケイロス監督率いるイランだ。

ケイロス監督のもと、イランは2014年ブラジル大会と2018年ロシア大会で徹底した守備組織の完成に集中した。未だベスト16に進出した経験はないが、ロシア大会では1勝1分1敗を記録して可能性を示した。

一般的に、守備の枚数を増やしてスペースを与えず“ゴールに鍵をかける”サッカーを展開すれば、いくら技量が優れた相手でも攻略に困難をきたすしかない。

しかし、ここ最近は密集した守備の攻略のため、部分的な戦術がより多様化している。これまでのようにサイドを中心に攻めるのではなく、個人戦術を持った攻撃陣を柔軟に配置し、中央とサイドでさまざまな形のテンポから守備の後方を崩すようになった。

今大会でも、グループステージ初戦でイランを6-2で破ったイングランドがそうだった。1トップのFWハリー・ケイン(29、トッテナム)が前線にとどまらずさまざまな位置に顔を出し、イランのDFを引き出しながら、低く速いテンポのクロスでかく乱した。加えてセットプレーも上手く活用し、イラン相手に一挙6ゴールを叩き込んだ。

イラン代表

開催国カタールは約6カ月間も合宿を行い、組織力を徹底して固めたが、やはり密集した守備の限界に直面した。

初戦ではエクアドルの変則的なサイドのクロスを阻止できず、0-2で完敗。続くセネガルに1-3、オランダに0-2と敗れたカタールは、初出場のW杯で1ゴールを決められたことに満足しなければならなかった。

カタール代表

それでも、サウジアラビアが大金星を挙げたアルゼンチン戦では、完璧に近いDFラインのコントロールが勝利に一役買った。

FWリオネル・メッシ(35、パリ・サンジェルマン)などレベルの高いパサーのパスを断ち切るべく、ただ枚数を増やして守るのではなく、DFラインを適宜に上下動して攻撃を阻止した。そして、徹底したカウンターから2発を沈める高い決定力で勝利をモノにした。

しかし、すべての試合で完璧にDFラインをコントロールすることは容易ではなかった。サウジアラビアはアルゼンチンにこそ勝利したものの、その後はポーランドに0-2、メキシコに1-2と連敗し、グループ最下位で敗退となった。

サウジアラビア代表

一方、韓国と日本は中東勢とまったく違うサッカーを展開した。

韓国はいわゆる“後方からのビルドアップ”で、自チームのボール所有時間を増やし、絶えず相手を圧迫するサッカーをW杯の舞台でも披露した。

日本は“死の組”と呼ばれたグループEを戦ったが、3バックと4バックを併用するオーダーメイド戦術と試合の流れを支配する賢い選手起用で、W杯優勝経験国のドイツとスペインを破った。

日本は4年前のロシア大会でも、これまでのアジア勢と違った攻撃志向的に世界に対抗し、ベスト16入りに成功したことがある。

韓国代表
日本代表

今や中東式の徹底守備は、世界のサッカーと競うときに限界に直面したことを証明するW杯だった。

韓国や日本のように、アジア勢も相手の特性に合わせて戦術的な準備を行い、支配するサッカーをしてこそ、W杯の舞台で有意義な成績を得られるということを実感させる大会となった。

(構成=ピッチコミュニケーションズ)

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