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【上野】2022「美をつむぐ源氏物語—めぐり逢ひける えには深しな—」と「源氏物語と江戸文化」@東京都美術館2023年1月6日(金)まで

  • 2022.12.7

上野の東京都美術館では、上野アーティストプロジェクト2022「美をつむぐ源氏物語—めぐり逢ひける えには深しな—」およびコレクション展「源氏物語と江戸文化」展が2023年1月6日(金)まで開催されています。

出典:リビング東京Web
上野アーティストプロジェクト2022「美をつむぐ源氏物語―めぐり逢ひける えには深しな―」

「美をつむぐ源氏物語—めぐり逢ひける えには深しな—」の展示会場はギャラリーA・Cになります。2017年より東京都美術館の歴史の継承と未来への発展を図るために開始され、第6弾となる本展は、「源氏物語」がテーマになっています。

出典:リビング東京Web
コレクション展「源氏物語と江戸文化」

コレクション展「源氏物語と江戸文化」の展示会場はギャリーBになります。こちらの展示の入場料は無料です。(※事前予約なしでご覧いただけます。ただし、混雑時に入場制限を行う場合がございますのでご了承ください)

各展示の見どころ

「美をつむぐ源氏物語―めぐり逢ひける えには深しな―」は、絵巻や屏風などに描かれた絵画だけでなく、書、ガラス工芸、染色という多彩な手法で表現した作品を通して、新たな視点から源氏物語の世界を体感しながら鑑賞する新感覚の源氏物語展です。源氏物語が持つ多様性をもとに、書、ガラス工芸、染色、絵画など7名(青木寿恵、石踊達哉、高木厚人、鷹野理芳、玉田恭子、守屋多々志、渡邊裕公)の多彩なジャンルの作家の作品が展示されています。

現代作家のバラエティに富んだ源氏物語の世界が紹介されています。

出典:リビング東京Web

展示風景

過去に5回開催した上野アーティストプロジェクトでは、書と美術を隔年で取り上げてきましたが、本年はその2つが同時に展示されています。

出典:リビング東京Web

展示会場風景

展示会場で一際目をひいた作品の一つは、ガラス作家 玉田恭子氏によるガラス工芸の作品です。源氏物語をテーマにした絵画、屏風図、書は見た事がありましたが、ガラス工芸で源氏物語の世界観を鑑賞するのは今回初めてで印象に残る展示作品のひとつでした。

出典:リビング東京Web

会場展示風景

書物の様な曲線とガラスの光沢感が優美な雰囲気を醸しだしています。書物の上の部分にある着物もガラス細工です。ガラスが何層にも重ねられ、ガラス内部には「紫式部日記」や源氏物語の和歌が空間に浮遊するかのように封じこめられています。「もののあわれ」が作品で表現されています。

出典:リビング東京Web

会場展示風景

右奥の赤い着物の作品は青木寿恵氏の作品です。天然染料の草木染めを用いた独自の手書き更紗です。作者は草木染には自然の命や太陽の香りがあると述べています。源氏物語を題材にした独創的な王朝の世界を描いています。

出典:リビング東京Web

会場展示風景

石踊達哉氏の作品は、日本画が持つ装飾性・象徴性・抽象性という日本の美学を再認識し、「花鳥風月」をテーマに現代的に捉えた日本の美の世界を追求した作品を制作しています。瀬戸内寂聴が現代語訳をした「源氏物語」(講談社)全54帖の装丁画を手掛けています。

出典:リビング東京Web

会場展示風景

源氏物語をわかりやすく紹介

源氏物語は、全54帖と長編であることに加え、登場人物が多いことから読破するにはとても時間がかかります。本展では、作品を鑑賞する手引きとして、物語のあらすじや人物関係をわかりやすく紹介されています。高校生以下の来場者にはジュニアガイドも配布されておりウェブサイトからダウンロードもできますので作品の理解度も深まるかと思います。

出典:リビング東京Web
源氏物語と江戸文化

平安時代に紫式部が執筆した源氏物語は、江戸時代になると印刷技術の普及により、大衆に浸透します。人びとに広く受け入れられたことで、本文だけでなく、挿絵や註を付けたものから手軽く内容がわかるあらすじ本まで、源氏物語にかかわるさまざまな書物が出版されました。

出典:リビング東京Web

武家は源氏物語を王朝文化教養の一種として受容していました。江戸時代後期完成の改革を行った松平定信をはじめ徳川三卿や幕臣らが詠んだ和歌をもとに描かれた「十二ヶ月築地風俗図」です。人々が憧れた王朝文化の優美な情景が描かれています。

出典:リビング東京Web

展示風景

江戸時代に大衆化

江戸時代以前は公家や武家を中心に親しまれていた源氏物語は17世紀後半には一枚の版木から作る製版本が普及し、大衆にも親しまれていきました。読みやすく工夫された書物が出版されたことで江戸文化のなかで独自の発展を遂げ、例えば源氏物語を翻案した柳亭種彦著・歌川国貞(初代)画の『偐紫田舎源氏(にせむらさきいなかげんじ)』が人気を博しました。

出典:リビング東京Web

展示風景

源氏物語意匠化

源氏物語を意匠化したデザインを用いた着物や工芸品も制作されました。江戸時代の源氏物語は読むだけではなく着物の柄にも取り入れられていきました。

出典:リビング東京Web

展示風景

手前の図案は、貴族が使用していた牛車の別称で車輪を図案化したものです。奥の源氏香は数種類の香りの違いを当てる香道の組香のひとつです。順番にお香をたいて香りを聞きます。 5回聞いた中でどの香りが同じであったかをあてる「組図」を意匠化したものです。図形のパターンは52種類あり、「桐壺」と「夢浮橋」を除いた源氏物語の巻名がそれぞれつけられています。「源氏車」と「源氏香」の意匠も洗練されており源氏物語の世界観が充分感じられます。

出典:リビング東京Web

手前:《長板中形型紙 源氏車》大正~昭和時代 20世紀 東京都江戸東京博物館蔵 奥《長板中形型紙 源氏香に菊》明治~大正時代 20世紀 東京都江戸東京博物館蔵

平安時代に紫式部が執筆した源氏物語は約1000年もの間、現代に至るまで美術工芸、芸能の分野にも影響を与えており人々を魅了し続けています。

2022「美をつむぐ源氏物語—めぐり逢ひける えには深しな—」の展示では、絵画・書・染色・ガラス工芸といった作品から源氏物語の世界観を様々な作品を通して鑑賞できるのは魅力的な展覧会です。江戸文化の展示は錦絵、書物、意匠展示等の展示を鑑賞して見ると源氏物語が大衆文化に馴染んできた様子がわかりやすく展示されています。二つの展覧会を鑑賞して一般入場料500円、学生無料なのは嬉しいですね。

改めて源氏物語の魅力が再発見できる見応えのある展覧会です。

上野アーティストプロジェクト2022 「美をつむぐ源氏物語―めぐり逢ひける えには深しな―」 東京都美術館 https://www.tobikan.jp/ 住所:東京都台東区上野公園8-36 TEL:03-3823-6921(代表) 2023年1月6日(金)まで ギャラリーA・C 9:30~17:30(入室は閉室時間の30分前まで) 休室日:2022年12月5日(月)、19日(月)、29日(木)~2023年1月3日(火) 夜間開室:12月2日(金)、9日(金)、16日(金)、23日(金)は9:30~20:00(入室は閉室時間の30分前まで) 当日券 | 一般 500円 / 65歳以上 300円 ※学生以下は無料 ※身体障害者手帳・愛の手帳・療育手帳・精神障害者保健福祉手帳・被爆者健康手帳をお持ちの方とその付添いの方(1名まで)は無料 ※学生の方、65歳以上の方、各種お手帳をお持ちの方は、証明できるものをご提示ください ※特別展「展覧会 岡本太郎」(会期:12月28日(水)迄)のチケット提示にて、入場無料 ※事前予約なしでご覧いただけます。ただし、混雑時に入場制限を行う場合がございますのでご了承ください。

コレクション展「源氏物語と江戸文化」 2023年1月6日(金)まで ギャラリーB 無料 ※事前予約なしでご覧いただけます。ただし、混雑時に入場制限を行う場合がございますのでご了承ください

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