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「ナイロン」と「ポリエステル」、どちらも化学繊維だけどなにが違うの?それぞれの性質や特徴とは

  • 2022.12.5

衣類の生地をチェックすると綿やナイロン、ポリエステルなどの表示がされているものが多いですよね。 ナイロンとポリエステルはどちらも化学繊維の一種ですが、このふたつはなにが違うのでしょうか。

そこでここでは、それぞれの性質や特徴について見ていきましょう。

ナイロンとポリエステル、ともに石油由来も素材

 

ナイロンとポリエステルは、どちらも石油由来の合成樹脂です。 衣服や水着、カーペットなど繊維製品の素材となります。

ナイロン

石油を原料とする「ポリアミド」と呼ばれる合成樹脂から作られた繊維のことで、はじめは「ナイロン」という商品名だったものが、のちに一般名として使われるようになりました。 現在のように世界中に広まったのは、ストッキングの素材になったことだとされています。

そしてナイロンにはいくつか種類があります。

アジピン酸 (炭素原子数6) とヘキサメチレンジアミンから作られるものを、「6.6-ナイロン (ポリヘキサメチレンアジポアミド)」と呼び、カプロラクタムの開環重合でできるナイロンは「6-ナイロン (ポリカプラミド)」 と言います。 その他、6,10-ナイロン、7-ナイロン、9-ナイロン、11-ナイロンなどの種類もありますが、日本では主に6-ナイロンが作られています。

ナイロンは、絹(シルク)に似た光沢があるのが特徴です。 絹に比べて耐久性はあるものの、熱には弱いという性質があります。

ポリエステル

ポリエステルとは、ポリエチレンテレフタレートをはじめとし、ポリブチレンテレフタレートやポリトリブチレンテレフタレートなど、ポリエステル糸または繊維を材料に作られた素材の総称です。 石油由来の素材であり、世界で最も生産量の多い合成繊維になります。

ポリエステルは、綿(コットン)との合成繊維としてよく目にすることが多いでしょう。 これは、ポリエステルが綿の代用品として開発されたためです。

乾きにくいという綿のデメリットを補う素材として広く用いられるようになりました。 私たちの冬場の防寒着には欠かせない「フリース」の素材としても使用されていますよ。

どちらもアメリカのデュポン社のもの

世界には化学繊維を開発、製造販売する企業はたくさんありますが、実はナイロン、ポリエステルはどちらもアメリカのデュポン社の製品です。 ナイロンは、1935年にデュポン社のウォーレス・カロザースが合成に成功しました。 そしてポリエステルは、1941年にイギリスの化学者J.R.ウィンフィールドとJ.T.ディクソンが開発し、1953年にデュポン社が特許を取得し工業化したものです。

商品化したポリエステルはあっという間に世界中に広まったといわれています。

ナイロンとポリエステルの違い

 

ナイロンとポリエステルは、繊維としての性質に大きなが違いがあります。 それぞれの違いや特徴について見ていきましょう。

耐熱性

耐熱性に関しては、大きな違いがあります。 ナイロンは熱に弱いという点が、最大の弱点ともいえるでしょう。 乾燥機やアイロンなどを使用すると変形してしまうこともあるので、取り扱いには注意が必要です。

一方、ポリエステルはナイロンに比べて熱に強い素材になります。

伸縮性

ナイロンは繊維自体に伸縮性があり、衣服に使用するととても着やすく体を動かしやすい素材です。 一方、ポリエステルには伸縮性がほとんどありません。

強度

どちらの素材も、アウトドア用の衣服などにもよく用いられていますね。

ナイロンは、非常に強度が高い素材として有名です。 ナイロンが登場した当初は、日本では「戦後、女性と靴下が強くなった」という言葉が生まれるほど。

天然素材と比較してもその強度は非常に高く、特に摩擦や耐アルカリ性に優れており、洗剤や洗濯による傷みや劣化も少ないです。 綿の10倍ほど摩擦に強いともいわれていますよl。

一方、ポリエステルは伸縮性がないため生地にした時にしっかりしていて、変形しづらくショックに強いとされています。 温度や熱に対する強度はナイロンよりも優れていますが、繊維の強さとして考えるのであればポリエステルよりもナイロンの方が軍配は上がるようです。

保湿性

ナイロンは吸湿性が低いため、インナーなど肌に触れる衣服には向いていません。 逆に、吸湿性が低いため早く乾くというメリットもあります。

ポリエステルもまた吸湿性自体は低いです。

軽さ

どちらの繊維も、天然素材に比べて非常に軽い素材です。

しかし、より軽いのはナイロンでしょう。 登山用のリュック、衣服など軽さを重視させる製品にも重宝されていますよ。

耐久性

摩擦特性から見ると、ナイロンの方がポリエステルよりも優れています。 耐摩耗性が必要な製品に関しては、ナイロン生地が使われるのが一般的です。

もちろんポリエステルも摩擦には強いのですが、表面に毛玉ができやすいというデメリットがあります。 害虫に関する耐久性に関しては、どちらも合成繊維のため、害虫の被害に合いにくいです。

衣類に付く害虫は、絹やウールなど動物繊維を好み、合成繊維は虫に食われにくいですよ。

ナイロンとポリエステルの用途の違い

 

ナイロンとポリエステルはどちらも合成繊維ですが、それぞれ特徴が異なるため用途も違います。 それぞれどのようなものに向いているのでしょうか?

ナイロンの主な用途

身に着けるものに特性を生かせる素材といえます。 素材としてよく使われる製品としては以下のものが多く見られます。

・合羽などレイングッズ ・ウインドブレーカー ・ジャージ ・スキーウェアなど冬用のスポーツウェア ・ストッキング ・靴下 ・鞄、バッグ ・水着 ・スモック、お食事エプロン ・財布 ・ペンケース ・釣り糸 ・ギターの弦

雨や汚れにも強く、強度や伸縮性もあるため、様々な用途に用いられていますね。

ポリエステルの主な用途

衣料品としての利用が多いですが、様々な製品に使用されています。 以下のものは、ポリエステルを素材として使う製品としてよく見るのではないでしょうか。

・フリース ・シャツ ・ジャケット ・パンツ ・帽子 ・バッグ全般 ・カーテン ・テーブルクロス ・布団 ・毛布、シーツ ・ベルト ・自動車用タイヤ ・ペットボトル

ペットボトルも実はポリエステルからできているんです。

まとめ

 

ナイロンもポリエステルも石油由来の合成繊維ですが、それぞれ性質や特徴は異なります。 絹の代用として作られたナイロンは、伸縮性があり、摩擦にも強く、強度もありますが熱には弱いです。 一方、ポリエステルは綿の代用品として開発され、伸縮性はないものの、強度や摩擦力があり、熱にも強い素材となっています。

どちらの素材も天然素材に比べて軽く、乾きやすく、様々な衣類の素材として使用されています。 衣類以外にも様々な製品に使われていますよ。

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