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【うるおい女子の映画鑑賞/自分を知る痛み】『イン・ハー・シューズ』(米・2005年)

  • 2015.11.7
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身体と同様に、こころもエクササイズが必要。週に1本映画を観ることで、こころの筋肉をしっかりと動かし、“きれい”を活性化しませんか? そんな“きれいになれる”映画を毎週紹介する【うるおい女子の映画鑑賞】。

第8回のテーマは「自分を知る痛み」。ご紹介するのは、キャメロン・ディアス主演の『イン・ハー・シューズ』です。ラブコメの女王と言われ、底抜けに明るいキャラクターを多く演じてきたキャメロンが、女優としての新境地を開いた作品です。

『イン・ハー・シューズ』ブルーレイ発売中 ¥4,700(税抜) 販売・発売元:20世紀フォックス ホーム エンターテイメント ※2015年11月7日現在

主人公マギー(キャメロン・ディアス)は、その恵まれた容姿で不自由なく生きてきたように見えます。

そんな自由奔放に生きているように見る彼女も、30歳を前に「若さだけでは乗り切れない限界や虚しさ」を感じ始めていました。そこで、なんとか自分の力で地に足の着いた人生を歩もうと進みはじめるのです。

しかし、世間の風当たりは厳しく、サイズの合わない靴をはいたかのように、彼女のこころは擦りむけてしまいます。落ち込んでいると追い討ちをかけるように、唯一の理解者であった姉ローズと大ゲンカ。弁護士としてバリバリ働くローズと比べて、学歴もキャリアも何も無い自分に人知れず抱えていたコンプレックスが爆発してしまったのです。マギーは取り返しのつかない仕打ちをローズに対してしてしまいます。

【美しいシューズを眺めるマギー。彼女の足に”ぴったり”のシューズを見つけることができるのか】

ローズと決裂し、傷つき、孤独なマギーはフロリダへ向かいます。喪失感にさいなまれた彼女は半ばややぶれかぶれ、最近までその存在すら知らなかった祖母を訪ねることにしたのです。

【自分のこころを直視する勇気をもったマギーは、大きく成長していく】

祖母を訪ね、ひょんなことから老人ホームで働くことになったマギー。ここで彼女は、温かい人々に出会います。彼らとの触れ合いをとおして彼女は、その明るい笑顔の奥底で抱えてきた自身のこころの暗闇を発見していくことになります。それは彼女にとって、非常に痛みを伴う作業ですが、ここで彼女は逃げることなく、それに向き合い、ありのままの自分を受け入れていこうと努力していくのです。

【母親の死が家族皆のこころに暗い影を落としていたけれど、祖母と孫の3人は愛を再発見する】

マギーが心を開き、自分の足にぴったりと合うシューズを見つけたとき、久々にローズと再会します。祖母のおかげで、ふたりはお互いの存在の大切さを改めて確認することができ、3人には感動的な愛の連鎖が訪れます。

マギーは、”痛い”自分を認め、直視し、受け入れることで、人間として女性としてとても大きな成長を遂げます。映画の後半、彼女の穏やかな表情は、若くキャピキャピしていた頃とは違う”許し”を知った温かみのあるものになっていて、感動せざるを得ません。

「自分を知る」ことは痛いです。生きるために、前に進むために蓋をしてきた過去や傷は、誰にでも多かれ少なかれあると思います。自尊心に関わることだったり、ルーツに関することだったりして、アイデンティティがぐらぐら揺らいでしまうようで、それらと向き合うことは辛くて痛みが伴う作業です。

ですが、自分を知ってそれを認めることは、自分を愛することに等しいと思います。

マギーほど勇敢になれなくても、自分の傷の存在をまずは認めてあげることが第一歩。すると温かい気持ちになれるから不思議です。「いろんな経験をしてきた大人女子ほど泣ける」と噂の1本、今週末「おうちシネマ」にいかがでしょうか?

text:kanacasper(カナキャスパ)(映画・カルチャー・美容ライター/編集者)

編集を手がけた韓国のカリスマオルチャン、パク・ヘミン(PONY)のメイクブック『“かわいい顔”はつくるもの! 秘密のオルチャンメイク』(Sweet Thick Omelet/DVD付/¥1,500・税別)が好評発売中。こころもからだも豊かに美しくしてくれる日々の”カケラ”をブログで収集中。

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