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ゆるく楽しく。アラフォー女性が二拠点生活を始めてみたら。

  • 2022.11.28
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バンド「チャットモンチー」の元ドラマーで作家・作詞家の高橋久美子さんは、2021年から東京と愛媛の二拠点生活をスタートした。東京では作家、愛媛では「お百姓」をする毎日を送るうち、数々の発見や感動に出合ってきたという。

高橋さんの暮らしをつづったESSEオンラインの人気連載が、一冊の書籍『暮らしっく』(扶桑社)になった。

タイトルの「暮らしっく」は、"暮らし"と"クラシック"をかけ合わせ、愛媛で送る古風な暮らしを表現した造語。15年間住んだ東京を離れ、「祖父の残してくれたみかん畑を守りたい」と、18歳まで暮らしていた故郷・愛媛に戻った高橋さんは、かつての暮らしの中にあった豊かさに初めて気づいたのだという。

本書には、たとえばこんな一節が。

朝5時半、みかん畑に到着。夏の朝、ってこんなに気持ちがいいんだなあ。まだ太陽は優しくて土は朝露で湿り気があり、生まれたての地球だ。大きく深呼吸をして、私は草刈り機のエンジンをかけ、木のように伸びてしまったツタを刈っていく。みるみるうちに長袖シャツは汗だくだ。

6時半、休憩。畦道に座って握ってきたおにぎりを食べる。木陰は風が抜けてなんと気持ちがいいことだろう。二拠点生活をする前まではどちらかというと、夜型の生活をしてきていた。田舎育ちだが、朝がこんな清らかな表情をしていることを知らなかった。夏の朝は気持ちがいいんだなあ。すごく得した気分。自然の中で食べる朝ごはんのおいしさといったらない。鳥がさえずり、朝でもヒグラシが鳴き、川のせせらぎ、風が木々を通り抜ける音。とてもいい時間だ。

(第5章「夏の朝活!」より)

自給自足の暮らしの中にある、自然のみずみずしさが切り取られ、読んでいるだけで心が洗われるようだ。他にも、古い一軒家での暮らし方、四季を楽しむ手作り野菜、ご近所さんとの交流など、愛媛での日々のあれこれが語られている。

特に都会の生活に慣れた読者なら、高橋さんとともに、古風な暮らしの中のさまざまな発見を楽しむことができるだろう。今の暮らしをもっと豊かにするヒントが、本書から得られるかもしれない。

できるだけ楽しく、できるだけゆるく、自分を活かせるように暮らせたら幸せだなと思います。参考にしてもらえたら嬉しいですし、こんな生活の人もいるのだな、私は私でいこうと、お隣の家をのぞくような気持ちで読んでもらえたらと思います。

(「はじめに」より)

〈目次〉
第1章 暮らしのこと
第2章 季節の食のこと
第3章 捨てない暮らし
第4章 ご近所さんとのこと
第5章 二拠点生活

■高橋久美子さんプロフィール
たかはし・くみこ/作家・詩人・作詞家。1982年、愛媛県生まれ。音楽活動を経て2012年より文筆家として活動。主な著書に、小説集『ぐるり』(筑摩書房)、エッセー集『旅を栖(すみか)とす』(KADOKAWA)、『一生のお願い』『いっぴき』(共に筑摩書房)、『その農地、私が買います』(ミシマ社)、詩画集『今夜 凶暴だから わたし』(絵・濱愛子、ミシマ社)、絵本『あしたが きらいな うさぎ』(絵・高山裕子、マイクロマガジン社)がある。翻訳絵本『おかあさんはね』(マイクロマガジン社)では、第9回ようちえん絵本大賞を受賞。執筆活動のほか、原田知世、大原櫻子、ももいろクローバーZなど、アーティストへの歌詞提供も多数。

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