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メールや手紙の文章がワンランク上になる、今日から使える「品格ある」日本語20

  • 2022.11.26
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相手の姿が見えないメールや手紙でのやりとりは言葉の選び方によって、印象が大きく変わるもの。受け取った相手の心に残る、美しい日本語を紹介する。

筆ペンで日本語で書く
※写真はイメージです
へりくだる言葉
▶︎不躾ぶしつけ

「身を美しく」と書く「躾」がないこと。一般的に他人に対しては使わず、若輩者が目上に対して用いる。相手に心の準備をしてもらう言葉で、「不躾とは存じますが~」など本題に入る前に断りを入れることで場が和らぐ。

▶︎お引き回しのほど

異動先であいさつに回るとき、新しい取引先などに対して用いる。「春から営業部になりましたので、よろしくお引き回しのほどお願い申し上げます」などと使う。類義語に「おつき合いのほど」がある。

▶︎ご笑納ください

気兼ねなく贈り物を受け取ってもらいたいとき、「大したものではありませんが、笑って納めてください」との思いを込めて使う。お中元やお歳暮のほか、ノベルティーグッズや記念品を配るときなどにも用いられる。

▶︎心ばかり

「お返ししなければ」と相手に気を使わせないよう謙遜する言葉。「心だけで、お金は使っていません。気にしないでください」と解釈できる。「心ばかりの品で恐縮ですが、どうぞみなさまで召し上がってください」などと使う。

▶︎身に余る

自分の身分や業績以上に、よい処遇を受けたときに用いる。目上の人からほめられたとき、「私などには身に余るお言葉です」などと言い添えたい。謙遜しつつ断る場合も、「私には身に余る賞ですので~」などと使うことができる。

▶︎おめもじ

「会う」の謙譲語となる京言葉で、目上の人に会うこと。女性が手紙などで用いる。「1度おめもじいただきたく思っております」「みなさまとのおめもじを楽しみにしております」などと使う。

敬う言葉
▶︎心尽くし

こまごまと人のために気を使うこと。手作りの料理や、「つまらないものですが」という言葉とともに贈られたものに対して、「お心尽くしありがとうございます」と返そう。類義語に「心遣い」「お気遣い」がある。

▶︎私淑ししゅく

教えを直接受けなくても、ひそかに師として尊敬し、模範として学ぶこと。直接教えを受ける「師事」や、親しく接して感化を受ける「親炙しんしゃ」とは異なる。「○○先生のファンです」は、「○○先生に私淑しています」と言える。

▶︎心待ちにしております

招待の手紙やメールの末尾に、「お返事を心待ちにしております」などと用いる。ただ、「期待して待っています」という意味があるので、目上の人には「待ち」という言葉は使わず、「お会いできる日を楽しみにしております」などと添えて。

▶︎清遊

世俗を忘れ、風流な遊びをすること。名所などを案内してもらった際、お礼状に「近ごろにない清遊をさせていただきました」と添えてみよう。また、「当地をご清遊の折は、ぜひこちらにもお立ち寄りください」と相手を誘うこともできる。

依頼する言葉
▶︎折り入って

「折り入る」は、もともと言葉を挟むときに使われ、「あらためて」という意味合いをもつ。「あつかましいお願いで申し訳ないのですが」という気遣いが込められている。「折り入ってお話があります」「折り入ってお願いがあります」などと使う。

▶︎役不足

「あなたの実力からすると、大したことのない役ですみませんが」と気を使いつつ添える言葉。「役不足ですみませんが、部長代理をお願いできますでしょうか」などと使う。自分で自分を「役不足」と謙遜することではないと覚えておこう。

断る言葉
▶︎ご放念ください

「放念=気にしない、心配しない」。贈り物をする際、「お礼は気になさらないでください」と伝えるなど、相手が気を使いそうなことをした際に添えるとよい。「先日言ったことは私の失言でした。どうぞご放念ください」などにも使える。

▶︎荷が勝つ

自分にとって責任や任務が重すぎて、断りたいときに用いるクッション言葉。敵をつくることなく、物事を上手に断るために覚えておきたい。「このような大役は私には荷が勝ちますので、ほかの方にお願いしたいです」などと使う。

▶︎生憎あいにく

「生憎」は当て字で、もとは「あや、憎々しい」という言葉。のちに「タイミングが悪くて、いらだたしい=あやにく」と表現するようになり、現在は「残念ながら、お断りする」という意味で使う。「生憎その日はふさがっております」などと用いる。

ほめる言葉
▶︎壮健

男性をほめる際に使われる言葉。「壮」という字には「勢いが盛ん、元気、勇ましい、大きい」といった意味があり、「壮健」は「健康で丈夫なこと」を指す。「お父さまもご壮健とのこと、何よりです」などと用いる。類義語に「健康」「達者」「健勝」がある。

▶︎眼福、口福、耳福

「眼福」とは、ほかではめったに見られないものを目にして幸福感を味わうこと。「鮮やかな紅葉に眼福を得る」などと使う。同様に「口福」「耳福」も口にしたり、耳にしたりするものに対して用いられる言葉で、「秋の夜長に響く虫の声に耳福を得る」などと使う。

▶︎正鵠せいこくを射る

「正鵠」とは弓の的の中央にある黒星。転じて「物事の急所、要点」という意味をもち、急所をぴったりつかんだことを強調したいとき、「正鵠を射たご意見です」などと用いる。「正鵠を得る」と言うことも。類義語に「核心を突く」がある。

なぐさめる言葉
▶︎いかばかり

言い表せないほどの感情を体験した人に対して用い、「どれほど、どんなにか」と同様に使える。漢字では「如何ばかり」と表すが、「如何」は相手の心情や状態を尋ねるという意味をもつ。「こんなに急にお母さまを亡くされるとは、ご心痛はいかばかりでしょう」などと用いる。

▶︎胸中

心に思っていることを表す言葉で、悲しんでいる人を思いやる場合に使う。「胸中お察し申し上げます」などと用いる。また、「胸中を打ち明ける」など、自分が主体となる場合に使うこともできる。類義語に「心中」「お気持ち」「底意」がある。

※金田一秀穂監修『手紙に使える 会話に役立つ 美しい日本語が身につく本』(高橋書店)より引用。

金田一 秀穂(きんだいち・ひでほ)
杏林大学 外国語学部教授
日本語教育、言語行動、意味論が専門で東南アジア諸国の日本語教師への指導も実施。テレビや雑誌で活躍するほか講演活動も展開。『手紙に使える 会話に役立つ 美しい日本語が身につく本』(高橋書店)の監修ほか著書多数。

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