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家入レオ「言葉は目に見えないファッション」vol.68ツアーの日々

  • 2022.11.25
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クォーター・ライフ・クライシス。それは、人生の4分の1を過ぎた20代後半〜30代前半のころに訪れがちな、幸福の低迷期を表す言葉だ。27歳の家入レオさんもそれを実感し、揺らいでいる。「自分をごまかさないで、正直に生きたい」家入さん自身が今感じる心の内面を丁寧にすくった連載エッセイ。前回はvol.67明日もお腹は…

vol.68ツアーの日々

スマホで時刻を確認して、もう一度目を瞑った。枕に頭を押し付けるようにして腰を浮かし伸びをする。10時間寝たのなんていつぶりだろうと記憶を辿ろうとしてすぐにやめた。すごく嬉しかった。眠りが痛みだった頃があったから。

10月1日からはじまった全国ツアーは約3年ぶりの開催。平日は東京でレコーディングや制作、打ち合わせし、週末はライブ先を目指す、というのがざっくりとした最近の私のスケジュールで。先日伺った名古屋の会場で入り口にあったウェルカムボードの「3年4ヶ月ぶりのライブ!おかえりなさい!」の文字を目にした時は、改めて決して短くはない年月みんなの前で歌うことができなかったんだと感じ入った。

けれどこの時間が私に与えてくれた気づきはとても大きく、それは「久しぶりだから新鮮に感じる、頑張れる」というひと時の魔法ではなく、この数年迷った私が選択をし、また歩み出したことで得た小さな自信が少しずつ見える景色を変えてくれているのだと思う。きっと世界はあの頃のままで、世界を見つめる私の方が変わってきているのだ。同じことをしていても、まるで違うく見えるひとつひとつが、より輝きを持って私を音楽の世界に誘おうとする。

街がロックダウンした日、私の心は疲れ切っていて、どうしてこんな事になってしまったんだろうと、その所在なさを遠くに旅立つことを考えて誤魔化していた。でももうそんな夜の話はいい。希望の話がしたい。

待ってくれていた人たちがいる。あなたがいる。とてもシンプルなことがこんなに深くて、嬉しくて、心地良いその重みをしっかりと抱き締めて私は今日もステージに立つ。来てくれてありがとう!みんな生きててくれてありがとう!

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