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〈レショップ〉コンセプター・金子恵治が探求する、無名のヘリテージ。

  • 2022.11.22
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47Brandのキャップ、A.PRESSEのニット、Langlitz Leathersのライダースジャケット、StüssyのモックネックTシャツ、Rosaria Productのベルト、Dormeuilの生地でオーダーしたパンツ、Vansのスニーカー/James Lockのキャップ、PANのバルカラーコート、Hermèsのニットポロ、Hilditch & Keyのカーディガン、MAATEE & SONSのハンドメイドスラックス、F.LLI GIACOMETTIのシューズ

古今東西の誰かが愛した、無名のヘリテージを探求する

アイビーやフレンチ・アイビーなど、古今東西のトラッドは、大人の普遍的なスタイルだが、金子恵治さんはそこに新たな解釈を加えてアーカイブを収集している。

「トラッドは日本では広く浸透していますが、海外では“ヘリテージ”という言葉で紹介されます。ヘリテージ=伝統服は、シーンが加わるとスタイルになるという考えのようで、例えば避暑地では普段穿くチノパンの裾を切ってショーツにしてしまうという具合」

こういった個人のアーカイブが、結果として、代表的なスタイルとして語り継がれてきたのだという。

「僕たちがイメージするトラッドはあくまでも歴史の断片にすぎないんです。国やシーンが変われば、当然着こなし方は変わる。時代が変われば、そのシーンの捉え方も変わる。ある時代に登場した伝統服であるヘリテージは“点”と捉え、そこに現代を生きる個人の解釈が加わると“線”となり、スタイルとして確立するというのが持論です。

ブリーチしたデニムシャツや、1950年代にどこかのテーラーにオーダーしたハンティングジャケット、自らスタッズを打ち込んだデニムジャケットなど、歴史に残らない無名のヘリテージはたくさんあります。その経年変化は、個人が愛でていた証し。教科書には載っていないトラッドの変遷を辿る、ヘリテージ収集を今年から始めました」と、独自の視点でトラッドを探求。その一部がここで紹介された服だ。

47Brandのキャップ、THE GENTLEMAN IN THE PARLOURのブレザー、Wranglerのデニムシャツ、ヴィンテージのコンチョベルトとウエスタンパンツ、RIOS of MERCEDESのウエスタンブーツ
紺ブレ、ベージュパンツ、デニムシャツ、と王道の組み合わせだが、その多くがウエスタンを背景にしたアイテム。「デニムの表情や、独特な形状のベルトループなどのディテールをアクセントに、英国クラシックをお手本にした紺ブレスタイルにパンチを加えています」47Brandのキャップ、THE GENTLEMAN IN THE PARLOURのブレザー、Wranglerのデニムシャツ、Soliにオーダーしたレザーグローブ、ヴィンテージのコンチョベルト、ヴィンテージのウエスタンパンツ、RIOS of MERCEDESのウエスタンブーツ。
47Brandのキャップ、CHARVETのドレスシャツ、50sヴィンテージのハンティングジャケット、ヴィンテージのベルト、LEVI'S®のヴィンテージデニム、Vansのスニーカー
個人がオーダーしたヴィンテージの、〈シャルベ〉のドレスシャツとハンティングジャケットを取り入れた。「どちらも贅沢な素材使いで、一張羅として愛用していたものだと思います。狩猟の趣味はありませんが、そこはファッションとして着て楽しめばいい」47Brandのキャップ、CHARVETのドレスシャツ、50sヴィンテージのハンティングジャケット、ヴィンテージのベルト、LEVI'S®のヴィンテージデニム、Vansのスニーカー。
47Brandのキャップ、A.PRESSEのニット、Langlitz Leathersのライダースジャケット、StüssyのモックネックTシャツ、Rosaria Productのベルト、Dormeuilの生地でオーダーしたパンツ、Vansのスニーカー
ショートで身幅のある、〈ラングリッツ レザー〉のヴィンテージのライダースジャケットも、誰かのオーダー品。「本来、バイカーが身を守るためのジャケットですが、生地はとても柔らかくて上質。まるで古さを感じさせない新鮮な佇まいをしています」47Brandのキャップ、A.PRESSEのニット、Langlitz Leathersのライダースジャケット、StüssyのモックネックTシャツ、Rosaria Productのベルト、Dormeuilの生地でオーダーしたパンツ、Vansのスニーカー。
James Lockのキャップ、PANのバルカラーコート、Hermèsのニットポロ、Hilditch & Keyのカーディガン、MAATEE & SONSのハンドメイドスラックス、F.LLI GIACOMETTIのシューズ
ニットポロやカーディガンはヴィンテージ。コートは新作。時代を感じさせないのも普遍的な服の魅力。「一点ずつはベーシックでも極端なレイヤードをするとパンチが出る。あと10年か、はたまた50年先か、今纏う新作のコートも無名のアーカイブに変わっていく」James Lockのキャップ、PANのバルカラーコート、Hermèsのニットポロ、Hilditch & Keyのカーディガン、MAATEE &SONSのハンドメイドスラックス、F.LLI GIACOMETTIのシューズ。

「僕の解釈では、アメリカ西部の人にとってはウエスタンもヘリテージ。それを現代の僕が、ここ日本の風土で着こなすことでトラッドに昇華できるのではないか、と考えました。

実際に、80年代のパリに同じような考えで服をセレクトする〈エミスフェール〉というショップがありました。それをお手本に、僕がディレクションするレショップを2023年春にリニューアルする予定です。まだ探求途中のトラッドの新解釈を、そこでお披露目できたらと思います」

〈レショップ〉コンセプターの金子恵治
「おそらく誰かの晴れ着でしょう」と読み解いた、〈リーバイス®〉のヴィンテージジャケットには無数のスタッズが打ち込まれている。「現代の都市生活に馴染むようにベルナール ザンスのカシミヤ混のスラックスを組み合わせました」ロサンゼルス・レイカーズのキャップ、Anderson & Sheppardのニット、LEVI'S®のジャケット、BERNARD ZINSのスラックス、LEVERのローファー。
〈レショップ〉コンセプターの金子恵治が海外で買い付けたヘリテ ージ
今年、海外で買い付けたヘリテージで、ワードローブを更新。

profile

金子恵治(〈レショップ〉コンセプター)

かねこ・けいじ/1973年東京都生まれ。国内の大手セレクトショップでバイヤーを経験。その後、国内外のブランドを渡り歩き、現在は〈レショップ〉のバイイングのほか、日本を拠点とするブランドのディレクションを複数手がける。

HP:https://lechoppe.jp/

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