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〈KANDYTOWN〉のMASATOとMinnesotahが語るレアグルーヴの魅力

  • 2022.11.22
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KANDYTOWNのMASATOとMinnesotah

80年代中頃、ロンドンのDJたちが、古く珍しいソウルミュージックやファンク、ジャズのレコードを、ダンスミュージックとして掘り起こしてプレーし、フロアを盛り上げていた。同時期にはアメリカのヒップホップDJたちも、過去の音楽をサンプリングし、新しいビートを作っていった。DJたちから愛された過去の音楽はレアグルーヴと呼ばれている。

10月に発売された書籍『レアグルーヴ 進化するヴァイナル・ディガー文化』は古典に、近年発掘された激レア作品を追加し、更新したディスクガイドだ。ヒップホップクルー〈KANDYTOWN〉のMASATOとMinnesotahに、レアグルーヴはどう響くのか。

過去の音楽が、新しい輝きを帯びる理由

Minnesotah

最初にやられたのはファットバック・バンド「Mr. Bass man」(1974年)。サンプリングソースとして有名な曲でもあるし、ファンクだけどメロウさがあるから好きになって。

MASATO

レアグルーヴと呼ばれる曲は、当然昔のものだけど、普遍的なんだよね。オレはクール&ザ・ギャング「Chocolate Buttermilk」(69年)に衝撃を受けたんだけど、今のレアグルーヴといえば「Summer Madness」(74年)だよね。

Minnesotah

そうなんだよね。個人的な意見だけど、80年代や90年代のレアグルーヴはファンキーで踊れるものが中心だったけど、今はメロウかつディープなものになると思う。そういう曲をドープと呼んでいるけど。現行のヒップホップのサンプリングソースになる曲もドープが多いから、リンクしているのかもしれない。

MASATO

時代の流れで、聴き方が変わるから。

Minnesotah

そういう意味で、昔はゴミ扱いされていた日本盤だけど、今は面白いと思う。アメリカのオリジナル盤は、レコーディング後に各パートをミックスする段階で、音に凹凸がある。でも、日本盤は音がフラットできれい。シティポップが世界中で流行っているのも、クリアな音が求められた結果なんじゃないかな。

MASATO

ハワイのレアグルーヴや、ちょっと前のチカーノソウルとか、音がきれいで聴きやすいから好きなんだ。日本でも人気があるのもわかる。

Minnesotah

レアグルーヴは時代によって価値感が移り変わるけど、なんでもありの雑多感も増していて。この本(『レアグルーヴ 進化するヴァイナル・ディガー文化』)には、知らないレコードがいっぱい載っているから見ていて楽しいな。

MASATO

再発されていなさそうなオリジナル盤ばかりで、この本は参考になるよね。しかし、読みながら買っていたら、お金がいくらあっても足りなくなりそうだな。

2人が選んだレアグルーヴのLP6枚

KANDYTOWNのMASATOとMinnesotah が選んだレアグルーヴのLP6枚
写真左上から、MASATOセレクト。Jewel『Cut'n'Polished』(1982年)、Cal Tjader Quintet『Ritmo Caliente! Hot Rhythm』(1955年)、Ramp『Come Into Knowledge』(1977年)。左下から、Minnesotahセレクト。Little Beaver『Party Down』(1974年)、Yutaka『Love Light』(1981年)、Jules Broussard『Jules Broussard』(1980年)。

Information

KYANDYTOWN『LAST ALBUM』

『LAST ALBUM』

11月30日に発売される、KANDYTOWNの3枚目にして最後となるアルバム。「Curtain Call(feat. KEIJU, Ryohu, IO)」など、全16曲を収録。年内はイベント出演。来年にはライブも予定しているとか。

Information

『レアグルーヴ 進化するヴァイナル・ディガー文化』

『レアグルーヴ 進化するヴァイナル・ディガー文化』

90年代から人気かつ、現在聴くと新鮮なファンクやソウルなどの定番からアンビエントやプログレッシブロックなどのニューエリアまで、全130枚のディスクを掲載。また、MUROや橋本徹が語る、レアグルーヴ過去未来。タックス・スカム・レーベルと呼ばれ「売られないために作られたレコード」を発売した、70年代アメリカのレコードビジネスの謎を探求したコラムも。Pヴァイン/1,980円。

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MASATO (KANDYTOWN)

マサト/16名からなるヒップホップクルーKANDYTOWNのDJ。70s〜80sのソウルミュージックを基調にしたミックスCD『CRATES SHIP』がKANDYTOWN公式ホームページにて発売中。

profile

Minnesotah (KANDYTOWN)

ミネソタ/KANDYTOWNのDJ、トラックメーカー。今年9月に幕を閉じたSound Museum Visionにて、MASATOと共にパーティ『MARI』を主催。現在は都内各地にてDJプレーしている。

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