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世界からお届け!SDGs通信 バンコク編。教育格差を埋めるべく設立された奨学金

  • 2022.11.19
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世界からお届け!SDGs通信 バンコク編

教育格差を埋めるべく設立された首相監督下の〈平等教育基金(EEF)〉

バンコクでは何台もの高級車が道を行き交い、高級なレストランで食事やパーティを楽しむ富裕層がいる一方、片隅のスラムではストリートチルドレンが生きるために日銭を稼いでいたりする。また、山岳地帯など田舎では国籍すらなく教育を受けられない子供たちもいる。極端な教育格差や経済格差を少しでも減らすべく、政府主導で設立された〈EEF〉とは?

タイの教育省の調べによると、現在教育を受けていない子供はタイ国内に67万人以上(3〜17歳)、そしてストリートチルドレンはバンコクだけで3万人にものぼるという。かつて「世界一不平等な国」などと揶揄されるほど貧富の差が顕著なタイでは、経済的事情で学校へ通うことができない子供が想像以上に多く存在する。2018年、激しい教育格差をなくし、全ての子供たちに平等に教育の機会を与えることを目的に設立されたのが〈平等教育基金(EEF)〉。内閣から任命された教育省、財務省、内務省など5つの省庁からの専門家たちが中心となり構成されているが、政府によって生まれたこのような組織は世界初となる。

具体的な活動としては極貧にある約57万人の学生を対象に、現金支給支援を行う。製造業や経済など優先分野の職業プログラムを学ぶための「職業革新奨学金」、大学の教育学部で学ぶための貧困地域の学生を対象にした「ティーチャーラックローカル奨学金」、条件付きの3種の現金給付、優秀な学生を対象とする「真の奨学金」の3種だ。
所得格差や地域格差などで学ぶことを断念せざるを得ないという悲惨な状況をなくし、質の高い教育を平等に受けられるようにサポートすることで優秀な人材を育て、将来的には経済的自立を実現し、貧困問題を緩和していくことが目的だ。

マネージングダイレクターのKraiyos Patrawart氏
マネージングディレクターのKraiyos Patrawart氏。2020年、タイ政府より任命され国家教育改革計画を監督し、様々な教育改革分野に携わっている
〈EEF〉で支援される子供たち
すべての子供たちに平等な教育が受けられるよう、経済支援を主体にサポートを行う
全国協議サミットの様子
EEF、ユネスコ、ユニセフ、教育委員会、タイ商工会議所などの機関が参加して行われた教育変革のための全国協議サミット

平等教育基金(EEF)

HP:https://en.eef.or.th/

profile

平原千波

ひらはら・ちなみ/「1年間だけ住んでみたい」とやってきたタイ暮らしが、なぜか早15年に!バンコクを拠点に活動する旅と猫好きの編集者・ライター・時々コーディネーター。
Instagram: @china173_bkk

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