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1人100万円の負担増に⁉国民年金の「納付期間5年延長」がまねくセカンドライフ崩壊の危機

  • 2022.11.15
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国民年金保険料の納付期間を、「5年延長して、65歳未満までにする」という案が検討されています。もしそうなった場合、国民は64歳まで保険料を納付し続けなければなりません。

では、5年の延長によって、いくら納付額は増え、いくら受給額に変化があるのでしょうか。具体的に試算してみます。

■納付期間「64歳まで」延長検討

国民年金保険料の現行の納付期間は、「20歳以上60歳未満の40年間」です。しかし、国はこの納付期間を「65歳未満までの45年間」に延長することを検討しています。この検討は2022年10月から本格化し、2025年に改正法案を提出することを目指して進められています。

納付期間を延長するのは、年金財源を確保するためです。超少子高齢化の日本では、年金を受給する高齢者は増える一方で、社会保障を支える現役世代が減っており、現行のシステムでは年金の財源を確保することが難しいと言われています。

そのため、国は納付期間の延長によって、現行の受給水準を将来も維持したいと考えています。

■5年延長で支払額は100万円増⁉

納付期間が5年延長された場合、私たちの納付額や受給額にどのくらい変化があるのでしょうか?

現在の国民年金の保険料は月1万6,590円、年間の納付額は約20万円です。したがって、納付期間が5年間延長されれば、総額約100万円の負担増となります。

少子高齢化の日本において、財源を確保するためには仕方がない……と思う人もいるかもしれませんが、そう簡単には許容できない金額です。

■定年退職後のセカンドライフは崩壊

60歳といえば、定年退職を迎える人も少なくありません。希望すれば65歳まで再雇用で働き続けられる法律もありますが、還暦を節目にセカンドライフを楽しみたいと考える人も多いでしょう。

もしくは、家族の介護や、本人の病気などの事情で、働けない状況になっていることも十分に考えられる年齢です。

そんな年齢で、年間20万円の支払いを強いられるとなると、悠々自適のセカンドライフはもはや絵空事でしょう。

■65歳から受け取れる額はいくら?

現行上、40年間納付し続けた場合、65歳から受け取れる受給額は月約6万5,000円です。国は延長後の受給額の増減について、現時点では明確に言及していません。延長の狙いは、あくまで受給水準の「維持」であると説明しています。

専門家の間では、「受給額は増えない」という意見もあれば、「現行の受給額に支払った保険料分が上乗せされる」という意見もあります。延長した場合の受け取れる金額の具体的な数字は、まだわからないという状況です。

■SNSでは批判の嵐

現在、記録的な円安や物価高騰、増え続ける税金などの影響で、国民の生活が困窮しています。納付期間の延長は、さらなる打撃となることは言うまでもありません。

SNSには「老後が不安で安心して生活できない」「もはや日本に『老後』はないということ」「死ぬまで低賃金で働かされる!」「年金もらう前に死んじゃうよ」など将来を不安視する声や政府を批判する声であふれています。

■「老後貧乏」を避けるためには

現役世代の不公平感は募る一方ですが、残念ながら、現状が改善される見込みはありません。公的年金を頼りにしていると、将来「老後貧乏」が待ち受けていると言っても過言ではありません。

老後の生活を不安なく過ごすためには、公的年金に頼らなくてもよいくらい、貯蓄額を増やしておくしかありません。所得を投資で増やすことも有効な手段です。

老後はまだ先と考えずに、厳しい日本の未来を見据えて今のうちから備えておくことが大切です。

文・岡本一道
政治経済系ジャーナリスト。国内・海外の有名メディアでのジャーナリスト経験を経て、現在は国内外の政治・経済・社会などさまざまなジャンルで多数の解説記事やコラムを執筆。

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